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僕の好きなクリエータ049 オイゲンヘリゲル 

弓と禅

僕がこのオイゲンヘリゲルという人物を知ったのはスティーブ・ジョブズの愛読書があり、しかもそれは日本の武道の本だと聞いた時に興味を持ったからだ。

スティーブ・ジョブズとは言わずと知れたアップルの創業者で、彼の商品哲学には禅が生きていると言われる。

僕も常々プロダクトデザインと禅は密接な繋がりがあると思うのだ
デザインを美しくしようと思ったらシンプルになっていく コストを安くしようと思ったら余計なものを捨てる 機能でさえ余計なものを捨てていく。

まさにアップルがそうだ。かつて、昔スマートフォンが出るまで、日本はガラ携帯に機能を沢山つけた。おかげで説明書が辞典のように分厚くなっていく。僕はこんなもの誰も読まないだろうなと思っていたら、Apple社からiPhoneが販売された。

iPhoneと禅


ところがこのiPhoneにはろくな説明書がない 機能も、いらないアプリケーションをどんどん捨てていくとどこまでもシンプルになる。そしてボタンがない。
総じて、アップル製品を買うと説明書がない。 『説明書がなくても感性で使っていってください」というわけだ。

以前に 前途プロダクトデザインでも紹介したけど、「応量器」という禅僧が使うお椀があるんだけど禅僧は生きていくための道具いがい何も持たない なにも所有しない 使う道具はシンプルなのに理にかなっている  
それと同じでアップル製品も極限まで何もない。

禅と武道

禅は日本の武道とも関係がある 外国で禅と関係がある武道と言えば少林寺だった  それもそのはずで少林寺といえば禅を広めた達磨大使と深いゆかりがあるからだ。禅と武道はどう繋がっているのか?

それを描いた著書が。ジョブズの愛読書だった 『弓と禅』という書物だ しかもコレを描いたのはドイツ人の 哲学者だったらしい ここから先は、ナタバレ注意です

ヘリゲル先生の弟子入り

はじめは趣味程度で東北の弓道の日本の道場の門を叩いた
そこで出会った師匠からは。けんもほろろに 外人には無理だと追い返したらしい。
が、ここでヘーゲルさんは諦めない 弟子にしてくれ 弟子にしてくれとしつこかった。
なぜかというと 実はこのヘリゲルさんは哲学者なので、いったい日本の禅ってなんだろう? そしてどうやら武道と関係があるらしい 花道も関係があるらしい。歌舞伎にも、剣道にも関係があるらしい。って興味津々だったのだ。 なので、それを学んでみたいと思ったらしいのだ。

で、あまりにもしつこいから 仕方がない、弟子にしてやろうって とうとう東北の弓道の先生の弟子になった。

弓の師匠とヘリゲル

ところがこのヘリゲルさん 理屈っぽいのである。どうしたら弓が上手くなるのか?と考えてしまうんですね、ところが、禅というものは無になる修行なのだから 頭で考えてはダメらしい、 師匠は言う 考えるのをやめなさいと。そして、弓を引く時に力を入れてはいけないと。

そして呼吸法を学ぶ。 ヘリゲルは思った。こんなことをしても何もわからないのではないか? 私は禅を学びたいのだ。極意を教えて欲しい。

ヘリゲル先生はそう言うが、師匠は何も考えるな 力を入れるな。の一点張りだった。

「それ」

だいたい 何も考えず 力も入れす 誰が弓をひいているんですか? 弓を引いているのは私ではないのか? とヘリゲルは師匠に聞いてしまう。

師匠は、『それ』が弓を引くのだと言った。ヘリゲルは驚いて 『それ』とはなんです!と聞く

師匠は ひとたび、「それ」が何かわかれば あなたには  もう何も教えることが無くなる。

それは極意というものではなかった」 ヘリゲル先生は質問することを一切やめた どれくらいの時がたったのであろう、何回も何回も反復しているうちに 師匠が

こちらに向かって深々と頭を下げて。 『いま、あなたにもそれがおりてまいりました』 と突然言われる。

そのとたんに ついに 的をいただくようになる。 (マトはここでやっともらえるんですね) 師曰く、 的に当てようと思ってはいけない。 全ての的に当たるならそれはただの見せ物であると。

形あるものを何も残すな

ある日突然ヘリゲル先生は師匠に言われる あなたにはもう何も教えるものがないと。6年の歳月がっていた。
記念に弓をもらう。が師匠は、 形あるものを残してはいけません この弓も、いつかは捨てないさいと。

形のあるものは全てなくなる 形のないものだけがのこるのだ と言われた、だが、その頃は師匠に何を言っているのかわからなかった

そしてヘリゲルは国に帰っていく 戦前の話だ ドイツは敗戦する。 師匠からもらった弓も敗戦で米軍に奪われる。 ヘリゲルがなくなる時、彼の哲学書物も 全てを焼いて燃やした 師匠の言いつけどうり。にしたのだ。

形あるものは残らない でも この書物は偶然 残って、ジョブズの愛読書となった。 

サポートなんて とんでもない!いや、やっぱりお願いします。次の商品開発の足がかりにします。決して呑みになんか行きません!