[夜話03] メソポタミア完結後のジレンマと「使命感」
▶ジレンマをかかえつつ…
現在,ノロノロと追加更新中の古代オリエントシリーズも(欠番10を除いて)ようやく14回を数えました。
この時期になって,まさか最初の1シリーズすら完結していないとは,当初,思いもしませんでしたが…
もともと商材開発のための基礎研究であり,目的は実用的ナレッジベースの構築なので,急いでいい加減な記事を上げるわけにもいかず…
しかしながら,そのために費やす時間は膨大でもあり…
一方で,別に受託開発案件が入って,今後,なかなか多くの時間を割けなくなるという事情もあり…
「最早なるようにしかなるまい」と腹を括り,半ば開き直り気味な今日この頃であります。
ただ,先日の14回で,新バビロニア(別名「バビロン第11王朝」)を滅ぼし,ようやくメソポタミアの最期を看取った(?)ことで,ひとつ目処がたったかなというところではあります。
↓14回で掲載が漏れていた写真
ちなみに欠番10は「古代エジプト文化」をはめる予定で空けてあり,記事の構成も検討済みで,写真やイラストまで集めていたのですが…
エジプト3000年史に酷く苦しめられたトラウマから,ちょっと間を開けてしまったのがいけなくて… 文献のそろえ直しや調べ直しの手間が億劫で,なかなか再起できない。。
一度スリープしてしまうと,再起動には過大なエネルギーが要るものだと反省しきり。まあ,いずれ何とかいたします。
▶︎そろそろ見切りをつけて…
次回から「アケメネス朝ペルシア」を2回に分けて記事にしたあと,一旦,古代オリエントに見切りをつけ,「ギリシア・ローマ」へ移行していこうと考えています。
当初は,某社の権威ある(?)世界史教科書につられて,イスラーム以前のイラン文明(ササン朝まで)をまとめて扱おうと思っていたのですが…
やはり,どう考えても流れがおかしい。
アケメネス朝に続けて(むしろ並行して)古代ギリシア→アレクサンドロスの帝国をまず押さえておかないと,あとが続かないし…
昨今のトレンドに従うなら,古代ギリシアは,東地中海世界の一員として,オリエント世界との繋がりで捉えなおすのが常套。
さらに,アルサケス朝(パルティア)→ササン朝の流れは,ローマ史との関係性で捉えたい。
というわけで,次はギリシア,そしてローマ,そのあとイラン文明後期という流れで予定しています。
▶︎残されたハードルと「使命感」
オリエント世界の結節点「シリア・パレスチナ」が手つかずで残っているのですが…
この地域の考古・歴史学研究については邦語文献に乏しく,悲しいかな新しい研究成果がほとんど手に入らないのです。
何しろ,あのシリアとパレスチナですから…
既に10年を超えて未だ終わりの見えないシリア内戦。
テロリストが跋扈し,貴重な歴史遺産を平然と破壊するような状況下,研究を重ねていくのはやはり困難なのだと推察されます。
一方で,ヘブライ(ユダヤ)については,「聖書考古学」のような境界領域の文献に頼らざるを得ず,聖書的素養に乏しい身には辛くもあり…
さらに,フェニキアやアラムについては,またそれぞれ全く別世界だったりするわけで…
教科書的には小項目に一緒くたに押し込まれていながら,なかなか多様性に富んでいて,一筋縄ではいかない領域でもあるのです。
しかしながら,この地は,オリエント文明の十字路であり,アルファベット文字文化の故郷であり,何より,その後の「世界史」を左右するユダヤ教・キリスト教の発祥地でもあり…
そう簡単にスルーするわけにはいきません。
他方,旧約聖書に語られる「モーセの出エジプト」を,確固たる史実であるかの如く記載し続ける世界史教科書に対して,何としても一撃をお見舞いしておかねば!というナゾの使命感もあり…
少し時間がかかっても,地道に情報収集を重ね,記事にしたいと思っている次第です。