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処世訓「菜根譚」の後編は癒されます

皆様こんばんは、Biz Craftです。
今回ご紹介するテーマは人生訓です。
といってもよくありがちな「人は~すべき」のような押し付け論ではありません。
菜根譚後編は四季の移り変わりの楽しみを述べる章句になっています。
15選をセレクトしましたのでご紹介したいと思います。

1.菜根譚(さいこんたん)とは何か?

菜根譚とは、江戸時代に日本に紹介されて以来、実践的な人生の指南書として、幅広い階層の人々に読み継がれてきた中国古典です。
前集225、後集135の合わせて360からなる章句は、儒教・仏教・道教の教えを融合しつつ、主として社会生活上の心得を説く「前集」と、風月を友とする楽しみを述べる「後集」から成り立っています。

前集は非常に役に立つ実践的な処世訓で、現代のような混迷の時代に失われがちな人間本来の在り方を問い正す指南書として活用出来るでしょう。
なお同じ処世訓でもマキャベリの君主論とはその性質は全く異なります。

今回私があえて後集に注目したのは、風月を友とする考え方に魅了されたからです。
自然大好き派の私としては、実践的な処世訓よりもこちらに目がいくのも無理はありません。

仕事が忙しく疲れている方は一度目を通してみるのも良いかもしれません。
それでは早速ご紹介していきたいと思います。

2.菜根譚「後集」のセレクト15選

菜根譚「後集」の中から筆者がセレクトした15章句をご紹介します。
詩を味わうような感じで読んでみてもいいかと思います。

1.仮の姿、真の姿

鶯が鳴き、花が咲き乱れ、山も谷もあでやかな色に塗りつぶされる。
だが、このような陽春の景色は天地の仮の姿にすぎない。
水は枯れ、木の葉も落ち、石も崖もむき出しの姿をさらす。
このような晩秋の景観こそ天地の真の姿なのだ。

2.風流は身近にある

風流を楽しむには、ことさら道具立てに凝る必要はない。
箱庭の池や石ころにも自然のおもむきがそなわっている。
風景を愛でるには、わざわざ遠くまで出かけていく必要はない。
草むしたあばら屋にも風月はのどかに訪れる。

3.すべての対象から

鳥の囀り、虫の声は真理を伝える無言の教え。
花の色、草の緑もみな心理を語る文字なき文章だ。
それを会得したかったら、心を澄まし気持ちを集中して、
見るもの、聞くもの、すべてのものから真理を学びとらなければならない。

4.風月を友として

松の生えた谷のあたりを、杖をひいてのそぞろ歩き。
ふとたたずめば、破れ衣にかかる雲。
竹の茂った窓のあたり、本を枕にひと寝入り。
ふと目覚めれば、破れ畳に月の影。

5.自然の中に別天地

ひそやかな田舎のたたずまい、竹垣のあたりで、犬が吠え、鶏が鳴く。
まるで雲のかなたの仙郷にいる心地。
書斎に座れば、蝉が歌い、烏が騒ぐ。
まるで静かな別天地にいる思い。

6.秋のおもむき

春は、一面に華やいだ雰囲気となり、心をうっとりさせる。
だが、秋ともなれば、雲は白く風は止み、蘭やモクセイが薫る。
昼は空も水も青一色に澄みわたり、夜は夜で空にも水にも月の光が冴え、
身も心もすがすがしい。
これに比べれば、春のおもむきは遠く及ばない。

7.流れにまかせて

わたしの体は、網をとかれて捨て小舟。
行くも止まるも流れまかせ。
わたしの心は、生気の失せた枯れ木のよう。
切ろうが塗ろうが、気にならぬ。

8.自然の営みのなかで

高窓のすだれをあげて、
緑の山や谷に雲が湧くのを眺めていれば、
天地の自由な働きを知ることができる。
竹や樹の茂みに、燕がたわむれ鳩が鳴いて四季の営みを続けているのを目にすれば、思わずうっとり見とれて自他の区別もつかなくなる。

9.自然の最高傑作

林をわたる松風の音、岩間を走る清水の音。
心静かに耳を傾けていると、自然の奏でる絶妙な音楽のように聞こえてくる
野末にたなびく霞、水面に写る雲の影。
心のどかに眺めていると、自然の画いた最高の絵画のように思われてくる。

10.心が自然と融けあう

雪景色を照らす月の光を眺めれば、心まで澄み切ってくる。
穏やかな春風に吹かれれば、心までなごんでくる。
人の心と自然のたたずまいは、一つに融け合っているのだ。

11.自然を愛でる心のゆとり

風薫るなかにこぼれる可憐な草花、雪景色を照らし出す清澄な寒月。
これを愛でることができるのは、心静かな人物だけである。
四季の移り変わりとともに装いを変える水の流れ、石のたたずまい、草木のおもむき。
それらを鑑賞できるのは、心のどかな人物だけである。

12.そぞろに野趣を愛す

気の向くままに、若草の中、履物を捨てて、そぞろ歩けば、野の鳥までが、気安げに、後を追う。
心ゆく眺めにであい、落花の下、襟をくつろげ腰を下ろせば、
白雲も語るなく、しばしたゆたう。

13.冬来たれば春ちかし

草木が枯れだすころ、根元にはすでに新しい芽生えが始まっている。
凍てつく寒さが来れば、春の訪れも遠くない。
ものみな枯れはてた中にも、常に生き生きとした生命が宿っている。
これこそが自然の心にほかならない。

14.ひとしおの風情あり

雨あがりに眺める山は、ふだん見るよりいっそう新鮮に感じられる。
夜更けに聞く金の音は、いつにもまして澄んでいる。

15.心の洗濯

高い山に登れば心が広々としてくるし、川の流れに見入っていると俗塵を脱したような心境になる。
雨や雪の夜に書物を読めば心が洗われたようになるし、小高い丘で詩を口ずさめばひとりでに気持ちがはずんでくる。

3.菜根譚は自分の心を洗ってくれる


菜根譚「後集」セレクト15選をご紹介いたしました。
皆さんは読んでみてどのような心境になりましたか?

落ち着いた、という方もいらっしゃるかもしれません。
私もリラックスして心が洗われるような感覚に陥りました。

こういう瞬間って、あくせく働く日常でははなかなか味わえるものではないと思います。
いつもビジネスや人間関係のことだけを考えていたら、さすがに心も曇ってくることでしょう。

ですから1週間のうち1回はこのようなひとときを設け、自分の心を洗濯する時間を作ってみてください。

きっとクリアな視界で新たな発見が見つかるかもしれません。

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