〜「場のにおい」に共感という芳香を ―——3つの共感力を活用して多様性を活かすには〜
組織の多様性を活かすのは「心理的安全性」
組織には多様性が必要だということは
もはやコモンセンスとなりつつあります。
ですが、ただ多様性があるだけでは不十分であり、
その多様性を活かすためには
心理的安全性が不可欠でもあります。
心理的安全性とは
「こんなことを言っても、こんなチャレンジをしても、
恥をかいたり咎められたりはしない」
という組織の前提です。
では、その心理的安全性を高めるためには
どうすれば良いでしょうか?
その鍵の一つが、本プログラムの「共感力」です。
インド出身の経営学者
スマントラ・ゴシャール教授は
組織に漂う雰囲気や目に見えない風土を
「場のにおい」と評しました。
醸し出される職場の「におい」の中に、
優しく包み込むような「共感性」を
いかに香らせるか。
これがリーダーの重要な役割となります。
心理的安全性を高めるための3つの「共感力」
リーダーが発揮すべき共感力には
3つのレベルがあります。
「こころの知能指数」(EQ)の考え方で有名な
心理学者のダニエル・ゴールマンは、これを
1.認知的共感
2.感情的共感
3.共感的配慮
と定義しています。
1.認知的共感(Cognitive Empathy)
相手の視点を客観的に理解する力です。
例えば、外交交渉が挙げられます。
交渉相手の立場やボトムライン、
重要なニーズや優先事項を考慮しつつ、
合意案を提案するためには、
まさに認知的共感が重要となります。
日々の業務では、メンバーにフィードバックを
行う際などにもこの共感力を働かせ、
リーダーとして言葉をよく選ぶ必要があるでしょう。
2.感情的共感(Emotional Empathy)
相手の感情をそのまま共有する能力です。
相手に寄り添いながら悲しみや喜びを
自分のことのように共感するため、
相手の目線からは「わかってくれた」
という繋がりや安心感を得られます。
落ち込むメンバーには時に
業務上のアドバイスではなく、
感情的共感を介した支援が必要ですよね。
この力は、普段から小説や映画に触れて
登場人物に感情移入する体験を積むことで
磨かれると言われています。
3.共感的配慮(Empathic Concern)
「相手が何を求めているのか」を察知する力です。
取り留めもない悩みや愚痴の中にも、
言外のニーズを受け取り、
手を差し伸べて支援する共感のあり方です。
特にリモートワークが増えて
相手の様子を直接確認できない中で、
チーム内のコラボレーションを
促すためにも発揮したい共感のレベルです。
*
この3つに「どれが一番大事」という
序列はありません。
自分が無意識に行なっているものはどれか。
逆に普段あまりできない弱みはどこにあるか。
それによって自分の心理状態や周囲との関係性に
どのような影響を及ぼしているだろうか。
パフォーマンスに思わぬ悪影響を与えていないだろうか。
これらを自覚しながら自分自身の
リーダーシップの実践を磨いていくことにこそ、
このような概念類型の意味があります。
あなた自身はいかがでしょうか?
ぜひご自身の体験に紐付けながら
考えていただければと思います。
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