見出し画像

ブーゲンビリア

あなたの肩越しのブーゲンビリア
海風と喧騒、5時のチャイム
駅前の行列、頭の上にカラスアゲハ
古本屋のミステリ小説
結末は黒く塗りつぶされていて
ふたり、大笑い

あなたの頬に触れた日
風鈴と線香花火、8時のバラエティ
静寂と鼓動、てのひらの汗
駅前から響くレゲエミュージック
なんだか気が抜けてしまって
ふたり、キスをした

ぼくがいないと寂しい?って訊く
そんなの当たり前じゃない、ずっとそばにいて
甘い時間にブーゲンビリア
いまはたったひとり
いまはわたしひとり

寂しいって言ったのに
さよならぐらいは言っておいて
あのミステリは捨てたわ
あのバラエティは終わった
時間ばかり、過ぎるの

肩越しのブーゲンビリア
あの頬の温度
ミント味のキス
時間ばかり過ぎるの

もう誰もいない駅前
古くなったレゲエミュージック
カラスアゲハだけが舞って
時間ばかり過ぎるの

ぼくがいないと寂しい?
甘い名残にブーゲンビリア
色とりどりの過去、あなたは笑ってた
答えならもう知ってるでしょう?

いただいたサポートは、通院費と岩手紹介記事のための費用に使わせていただきます。すごく、すごーくありがたいです。よろしくお願いします。