365日活動は非効率!実は休憩している時にこそ上手くなっている
今ではあまり見ませんが、一昔前は、1年間全く休みなく活動する部活はよくありました。
練習量を増やせば増やすほど良いと考えていたのだと思います。恐らく、これは「自分がそうだったから」という経験値では、
これについて面白い実験結果が示されました。結論としては、技術の上達の多くは、練習中ではなく休憩中に起きてるという結果でした。
アメリカの国立衛生研究所(NINDS)の研究者グループが興味深い研究論文を発表しました。
ある技術について何時間も練習しても出来なくて、気分転換にしばらく仲間と雑談して、再度トライしてみるとスムーズに出来てしまったという経験って、ありませんか。
似たような現象を何となく感じている人は多いようですが、そのメカニズムは明らかにされていませんでした。この研究は、その解明を試みたものです。
実験の内容は、個人の能力差の影響を最小限にするために出来るだけ単純な作業を被験者に課すことで実施されました。与えられた課題は、4種類の数字キーに指定の5桁の数字を打ち続ける課題でした。
10秒間、出来るだけ早くキー入力をして、10秒休むというパターンを35セット行ってもらい、その間の被験者の脳活動を測定しました。すると意外な結果があらわれたのです。
キーを打てる回数が、練習中は、ほぼ横ばいなのに、休憩後の測定から急激に増えていることがわかったのです。このことで休憩による上達効果が証明されたと研究グループは見解を示しています。
そして、35回の休憩のうち最初の11回が伸び幅が大きいという結果になったとのこと。これは上達の度合いが初めは大きく、繰り返すほど緩やかになるということのようです。この辺は日常的な経験則と一致します。
気になるのは、休憩中に脳内で、何が起きているのかです。
そこで、被験者の脳波を調べてみると、どうやら休憩中の脳内で練習していた動作が、練習中の20倍という超高速で繰り返し再生されていたことが判明しました。そして、興味深いことに、脳内での高速再生の回数が多い被験者ほど、休憩後の上達度の跳ね上がりが大きくなっていました。
つまり、上達の個人差は、休憩中に起こる高速再生の回数に依存いるということになります。更に、追加の実験によると、休憩中の高速再生が行われているのは脳の「感覚運動領域」、「海馬」、「嗅内皮質(きゅうないひしつ)」の3カ所であることも判明します。
この論文では、休憩に入ることで、これら3カ所の脳領域が緊密に情報交換を行い、練習内容の圧縮・統合することで、上達効果をうみだしていると結論づけていました。
この結果から、ただ単純に練習を長時間を続けることが、いかに非効率的かがわかると思います。この研究では、数日間の休憩の効果にも言及しています。365日活動をしている部活動の指導者は、情報のアップデートをお願いしたいところです。
※元論文