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1+1は? レバレッジの勧め


よくビジネス界では「1+1は2にも3にもなる」と言います。
「1+1は2だろが、学校で習わんかったか」とちゃちゃを入れるつもりはなく、なぜ、そう言えるのか。
ちなみに、ポジティブに言えば「1+1は2にも3にもなる」ですが、ネガティブに言えば「1+1は2以下にもなりうる」ということにもなります。
さて、結論だけで言えば、これはレバレッジをかけるからできることなのですね。学校で習ったテコの原理ですね。
このレバレッジによって「1+nは1+n以上にも1+n以下にも、1+nで終わることも可能」になります。
 
もう少し説明してみましょう。
 
少し復習ですが、テコの原理は4つの部位から成り立ちます。
「作用点」「支店」「力点」そして力を伝える「てこ」ですね。
そして、力点に力をかけ、支点を中心として、てこを回転させる。その結果、作用点が対象物を動かす。ですね。
 
自分たちの力を力点にかけ、作用点の対象物を動かそうとすると、力点と作用点の真ん中に支点があれば作用点にかかる力と同じ力が必要ですが、てこの長さが変わらなければ、支点と力点の距離が支点と作用点の距離との比に応じて作用点にかかる力が変わるわけです。
簡単に言えば、耳元でドヤされるのと、遠くからドヤされるのは、心理的圧迫の力が違うと同じようなものですね。
 
さて、ビジネスに置き換えると、作用点が対象物にかかる力、力点が自分がかける力、では、支点はなにか。

支点は方策ですね。

支点=方策を何も考えずに置いて力をかけても、作用点、支点、力点の距離の関係でその時々の作用点に対しての力が変わってしまいます。
なので、支点をどこに置くのかは慎重に判断しないといけません。ここで「1+1は2にも3にもなる」が出てくるわけですね。これは、自分一人の力量にもう一人分を足せば倍になるから、楽になるということもありますが、もう一つの意味は、他の経験を持ち込むことによって、支点の位置を適正に保つことができるということになります。(ちなみに一人分を足すで楽になるは、別の面から見た場合、過剰コストの投入=利益の減少という、負の側面が出ます。)
こう言うと、プラスの要素の人間が来ればそうかもしてないけど、マイナスの要素の人間が来たらどうするのか。と問い詰められそうですが、マイナスの要素の人間が来たら使わなければ良いだけです。力点の横に置いておけば良いでしょう。(ただ、マイナス=力がないと評価されているのと、実際に力が無いのは別なので、ここにもちゃんとレバレッジをかければ良い結果が出てくる可能性はあると思います。ちなみに、今まで戦力外と言われてきた人たちを復活させてきましたので、多くはレバレッジのかけ方だと思います。)
なので「1+nは1+n以上になる」ということになります。
 
それではどこに支点を置けば良いのか。

多くのビジネス書にはこうすれば良いといった「支点」が書かれていますし、こうやって使えばよいと「支点の位置」も書いてくれていますが、豈図らんや、現実の方はそれほど簡単ではなく、そうは問屋がおろしてくれない。
結局、これらのことはハウツーではなく、ノウハウということになってしますのですね。なので、「1+nは1+n以上になる」は言うは易し、行うは難しと相成るわけですが…
ところが、実際は気づかれない多くのところでこの「1+nは1+n以上になる」は実践されているのです。
 
佐藤優という人の本に「武器を磨け」という漫画「キングダム」(私は連載もアニメも映画も見ていないのですが😁)のシーンをもとにした本があります。

この本には『力をつけると言っても「一発大逆転」のような発想は非常に危険である。現実性がない。巷にはそうした発想を現実のものにする手法を並べたビジネス書も多くあるが、一種のポルノだろう。読んで追体験することで「いい気持ち」になる点で似ている。』と巷のビジネス書の多くを喝破しているところが、個人的には面白いのですが、実はこの本には多くのレバレッジを効かしたシーンがいくつも現れます。

気づかれにくいのですが、最も簡単にわかるのがP.115からの信が王騎将軍に教えを請うシーンがあります。信一人の頑張りだけでは、自分の夢に届かないと悟った信は(支点がなければ自分の力以上のものは出ないからですね)、王騎将軍に教えを請うことを決めます。これをてこの原理で見れば、信が力点で王騎将軍が支点=方策、その支点=方策を用いて自分の力だけでは到達できない力を効かして、大将軍へのステージに向けて自分自身を上げていく。レバレッジを効かすとは、こういうことなのですね。(この場合、王騎将軍側も信に教えを与えることで互助的でもあるがゆえに見えにくいということでありますが…)

なので「1+nは1+n以上になる」のnはゼロでも良いし、「キングダム」自体を読んでいないので「武器を磨け」からの又引になりますが、nが1だとしたら、信に気づきをもたらせた羌瘣が1に該当するかもしれません。なお、「キングダム」≒歴史上の秦の興隆におけるスケールの大きなレバレッジは、やはり呂不韋の「奇貨居くべし」でしょう。
 (「奇貨居くべし」の史実に近いわかりやすい説明は

https://www.aozorabank.co.jp/bank/story/finance/money-talks-3.html

を読んでいただければと思います)

ここから引き出せるように「1+nは1+n以上になる」はレバレッジの支点をどこに置くかによるということになります。

あと、呂不韋のように、金も力もなく、ビビって勝負も出来ない私たちが、レバレッジを気づかれないところで使う以外に重要なことは、ピタゴラスイッチのように小さなスイッチ=レバレッジをいつでも仕掛けられるように、たくさん準備することだと思います。こちらは、斉の宰相・孟嘗君と馮諼の「狡兎三窟」が良い例かもしれません。

また、レバレッジを利かすためには、その圧に耐えるてこの棒=自分自身の力量も必要になります。自分自身の力量がなければ、てこの棒は折れてしまします。レバレッジを使うことの効果は大きいですが、力量を超えた場合、自らに還るリスクも大きいことにも注意が必要です。
 

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