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君の夢はまだ道半ば。

ずっと、心のどこかで、こんな日が来なければいいと思っていました。
サポーターという生き物は難儀なものです。
他のクラブのサポーターから褒められ、代表に選出され喜びながらも、ここから離れなければいい、世界に見つからなければいいなんて、一瞬でも思ってしまうのだから。いつも心に葛藤を抱えながら、それでも応援することを止められないのだから。

川崎フロンターレ背番号25、田中碧。
無邪気な笑顔が眩しい青年は、世界に認められる実力を身につけ、あっという間に階段を駆けあがって行ったのです。


私が初めて彼を見たのは、2018年のデビュー戦です。
メインスタンド中央寄りに座っていた私は、ユース出身選手の等々力デビューに周りがざわめく中、交代準備をして待機する32番を眺めていました。麻生に行ったことのなかった私にとって、初めて目にする背中です。
初めて出たリーグ戦で初めてゴールを決めて、あんたが大賞をかっさらっていく。初見からなかなか強烈なインパクトでした。
帰ってからよく調べてみると、彼は東京五輪世代の選手。その当時はまだ五輪代表候補としては呼ばれたことのない状況でしたが、巧さとガッツのある選手なんだなあ、これから候補に食い込んでいけたらいいなあと、ぼんやり思っていました。

そんな温度感で観ていた私が彼の魅力にすっかりのめり込んだのは、2019年トゥーロン国際大会の時です。
当時キリンチャレンジカップやコパ・アメリカと開催時期が重なっていたこともあり、2.5軍、3軍なんて揶揄された代表でしたが、それでも今までほとんど縁のなかった五輪世代の代表に初めて招集されたのです。やっとここにたどり着けた。そう思いました。
リアルタイムで試合を観ながら、代表のユニフォームを着て躍動する姿を追いかけているうちに、もっともっと応援したい、これから成長していく姿を見続けたいと強く思ったのです。
大会ベストプレイヤー3位のトロフィーを貰っているのを見て、国際大会でも評価される選手だとたくさんの人に認められたことがすごくすごく嬉しかった。
この選手は絶対代表入りするから、五輪も絶対選ばれるから見ててね、応援してね!と周りの人たちに言い回ったのが、何だかつい最近のことのようです。

2019年、ブラジルとの親善試合での2ゴール。ベストヤングプレイヤー賞受賞。E-1でのA代表初選出。2020年、チームの、そしてU-23の中心選手としての成長。年間ベストイレブン選出。2021年、チームの無敗記録への貢献と東京五輪代表選出。
2018年からスタジアムに通い始めた私のサポーターの歴史は、彼の成長とともにありました。
試合に出られなかった2017シーズンから、それより前のユース時代から応援し続けているファン・サポーターの方々にとっては、私の想いなんて薄っぺらくて浅いものかもしれない。でも、彼を見ながら歩んできたこの数年は、もちろん楽しいことだけではなかったけれど、濃くて充実した、後悔のない日々でした。

できれば少しでも早く帰ってきて等々力でプレーしてほしい。ピッチの中で縦横無尽に駆け回り、誰かがゴールした時は自分が決めたかのように全力で喜ぶ、あの笑顔を等々力でまた早く見たい。

どうか、私の願いが叶いませんように。
もし叶うのだとしたら、ずっとずっと、遠い未来のことでありますように。


君の夢はまだ道半ば。まだまだ、君の知らない世界がその先には必ずある。
その夢が夢でなくなって、もう出来ることは全部やり切ったぞと思えたら、どうか君の生まれ育った街へ、チームへ、戻れることを思い出してほしい。

日本へ帰ってくる時に袖を通すユニフォームの色は、フロンターレブルーにしてね。もちろん、サムライブルーなら大歓迎だよ。

怪我と体調にはくれぐれも気を付けて。
その旅路がたとえ苦しく険しいものになったとしても、輝かしく充実した、幸せなものであることを祈ります。
これからも、初めて見た時よりずっと大きくなったその背中に、止まないエールを送り続けるよ。


どこにいても君らしくね。
碧くん、いってらっしゃい!





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