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子猫がやってきました/AND PET#27

一歩を踏み出したきっかけ

今年の夏、お盆としては3年ぶりに実家に帰省しました。新盆を迎えたぼたんに留守番をさせることがどうしてもできず、我ながらどうかしていると思いながらも骨壺と一緒の帰省です。実家では、ぼたんとは一度しか会ったことがなく決して猫フレンドリーではない父が、猫草を供えてくれました。

猫草が何か分からないながらも買ってきてくれた父。ありがとう。

そして夏の終わり。住まいのある市のお祭りが今年は開催され、花火が上がりました。ベランダからそれを見ながら、花火が始まると窓に駆け寄って外を見ていたぼたんの姿を思い出して、また涙。でも悲しさや寂しさや後悔とは少し違って、ぼたんの魂が花火と共に空に昇っていくのを見守るような、そんな不思議な感覚でした。

「ああ、ぼたんは本当にいってしまったんだなあ」

お盆と花火を経てそう思えたことが、新しく猫を迎え入れる心の準備が整ったことのサインだったのでしょう。

そして今、この原稿を書いている隣で子猫がすやすやと寝息をたてています。

どのような猫と暮らしたいかを考える

どのような猫と暮らすかは、もちろんご縁次第。でも、この時期はたくさんの猫が保護されています。どの子もかわいいし、優柔不断な私はものすごく悩んでしまうこと間違いなし。実際、ぼたんを引き取った時も長時間悩み、スタッフさんにご迷惑をおかけしました。

今回はそのようなことがないように、事前にさんざん考えて、成猫1匹と子猫1匹、合計2匹と暮らそうと決めました。その理由を整理してみます。

・子猫を育てたい

猫の平均寿命は約15歳。20歳を超えるご長寿猫もいます。子猫を譲渡する場合、飼い主の年齢を制限する保護団体が多いのはそのためです。私も自分の年齢を考えると、子猫を育てる最後のチャンスが近づいています。まず子猫は譲れない条件でした。

・大人の猫も魅力的

成猫は子猫に比べると譲渡率が低いようですが、成猫には成猫ならではの魅力があります。成猫は体格や性格がある程度はっきりしているので、引き取る際の判断材料が多く、より相性がいい猫と巡り合えるでしょう。また、子猫に比べると落ち着いているので、飼い主初心者や高齢の方に合うように思います。ぼたんも大人になってから我が家にやってきた猫です。これもご縁でしたが、どことなく性格が似ているところもあり、私にとって最上の出会いになりました。

ぼたんは被り物もしぶしぶつけてくれました。優しいね。

・多頭飼いをしたい

リモートワーク主体の飼い主ですが、当然のことながら仕事中は猫の相手をできません(ほんとか?)。子猫の場合、遊び足りなさが問題行動につながるので、2匹引き取りたいと思いました。友人たちが全員多頭飼いなので、その暮らしに憧れがあったのもあります。

・年齢差のある2匹と暮らしたい

ぼたんが旅立った時のことを思い出すと、どうしてもひとりでのこされるのがつらかったから。これは100%飼い主のエゴです。

子猫のウイルス検査のこと

ここまで考えて、まず引き取ったのはメスの子猫です。なぜ子猫だけなのか。それはウイルス検査が関係しています。

猫には猫エイズ(FIV)と猫白血病(FeLV)というウイルス感染症のリスクがあります。どちらも発症すると命にかかわる恐ろしい病気。ちなみにぼたんも猫白血病のキャリアでした。

猫エイズの場合は抗体検査を行いますが、生後6カ月くらいまでは母猫からの抗体が残っている場合があり、感染した場合も抗体がつくられるまで約2カ月を要すとされています。また、白血病は抗原検査になりますが、こちらも感染後、検出までに1カ月ほどかかります。つまり、生後6カ月を過ぎ、かつ他の猫と接しない暮らしを2カ月以上経過しないと、ウイルス検査をしても正しい結果は得られないということです。

現状では猫エイズや白血病である可能性があり、他の猫が一緒に暮らせばその猫にも感染させてしまうリスクが生じてしまいます。中にはもう1匹がワクチンを打っていれば問題ないと考える人もいるかもしれませんが、そのような危険を冒す勇気は私にはありません。

引き取った子猫は生後4カ月。まずは2カ月、我が家で過ごした後に血液検査を行い、もし感染が判明すれば同じ病気の成猫など、その結果次第で条件に合った成猫を引き取るつもりです。

はじめまして。名前は「こはく」です。お転婆です。

文・横山珠世
女一人と猫の暮らしから人と猫が共に健康で幸せに生きていく術を考える、株式会社ジャパンライフデザインシステムズの編集兼ライター。『セルフドクター』や書籍などの制作・発行に携わる。


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