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【フィールドワーク】高齢者スマホ相談会

私たちの研究分野であるヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)は、人間がコンピュータをより快適に利用する方法を研究するものです。研究テーマの発案において、ユーザがコンピュータをどのように操作し、どこに問題を抱えているかを発見することは重要です。ユーザのニーズを抽出するための手法の一つとしてフィールドワークがあります。フィールドワークは実際にユーザがコンピュータを操作している場面に立ち合い、ユーザの様子を観察して課題発見に繋げるものです。フィールドワークの一環として、高齢者のスマホ相談会に学部4年の吉村さんに参加してもらいました。その際の様子や、実際にどういった知見を得たかをレポートしてもらいます。



杉浦研究室学部4年の吉村です。6月25日に大田区で開催されたスマホ相談会に参加しました。今回はこのイベントについてご報告させていただきます。

今回のスマホ相談会は高齢者向けイベントの一環であり、同場所ではボッチャ体験会も並行して行われていました。そのため、スマホ相談を目的としていらっしゃった方以外ともお話をすることができ盛り上がったとともに、実はスマホに関しての悩みは多くの人が抱えているのだと再認識することにも繋がりました。

ご相談内容

私がお話させていただいた方々は50代~70代で、ご相談内容の中でも特に多かったのがQRコードの扱い方とLINEで写真を送る方法です。

QRコードを読み取るためにはアプリをインストールしなければいけない機種も多く、その時点でハードルを感じてしまっている方もいらっしゃいました。また、アプリに表示される広告に惑わされてしまっているなど、本来の目的以前に引っかかってしまうポイントがあると難しさを感じるようです。

LINEで写真を送る方法についてご説明しているときに気が付いたのは、アプリ内にあるアイコンが分かりづらいのではないかということでした。歯車のアイコンは設定、虫眼鏡のアイコンは検索など、私たちが何気なく認識しているアイコンが、大人になってからスマホを持ち、連絡手段として持つ程度の方々には意味のあるマークとして認識されていないと感じたのです。そのため、写真やカメラのアイコンについても同様のことが原因となって使いこなせていなかったと言えます。

相談会の様子

ご相談の多くはこのようなスマホの具体的な操作方法でしたが、中には「インターネットってなんだろう」というような抽象的な話題もありました。もちろん正解はありませんし、私個人の意見としてお話をさせていただきましたが、インターネットに対する慢性的な恐怖のようなものがあり、若者がどのようにインターネットと付き合っているのか、自分はどう付き合えばいいのかという不安を抱えていらっしゃいました。新たな技術によって生まれるマイナス面についても考えていく必要があると感じました。

学び

今回ご相談を受けたりお話をさせていただいたりする中で、「難しい」の中には「やりたい操作にたどり着くまでが難しい」と「その操作自体が難しい」の2種類があると考えました。それぞれについて解決方法はありますが、それを的確に提案していくことが求められていると感じます。前者の場合、操作中に出てくる単語の意味が分からずに難しいと感じているケースもあります。例えば、このスマホ相談会の中でも「スキップ」の意味を聞かれたことがありました。このような小さいけれど確実に存在する障害を取り除いていくことでメリットを享受できるといいと思います。

今後に向けて

杉浦研究室では医工連携やUIに関するテーマも扱っています。今回わたしが感じた課題はコンピュータの力で改善できることも大いにあると考えており、今後研究テーマとして取り入れていきたいと感じます。また、今回のような機会は普段関わりのない方との交流のきっかけであるとともに学びも多く、これからも積極的に参加していきたいと思いました。


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