【学会参加報告】光ファイバを用いた畳ディスプレイの試作(エンターテイメントコンピューティングシンポジウム2022)
こんにちは、杉浦裕太研所属のM1顧菲です。
9/1〜9/3に開催されたEntertainment Computing 2022にて「光ファイバを用いた畳ディスプレイの試作」というタイトルで発表を行いましたので、その報告をさせていただきます。今回発表した内容は、光ファイバを用いた畳ディスプレイについてです。
研究概要
コンピュータが生活の中に浸透することで、生活の中にユーザインタフェースが溶け込み、室内の様々なものがデジタル化されつつあります。私たちが普段生活している部屋の照明や装飾もその例外ではありません。これまでに、デジタルな装飾を用いて表現力や没入感を兼ね備えた装飾品を生活空間に取り入れる「アンビエントディスプレイ」の研究が行われてきました。アンビエントディスプレイとは、システムが使用されていない場合は装飾品としての役割を果たしつつも、望ましい場合にのみユーザの注意を引き付けて情報提示を行うディスプレイのことを指します。
もう一方で、日本の伝統的な工芸品として畳があります。畳は、和室の床材だけではなく、洋風デザインの部屋などの装飾や単なるマットとしてなど、様々な用途で使われています。
そこで本研究では、畳の表面をディスプレイ化する手法を提案します。素材としては情報損失の少ない細い光ファイバを使用しています。ダイナミックな生活空間を新たに演出する、畳表での発光型アンビエントディスプレイを実現することが目的としています。
関連研究として、従来のアンビエントディスプレイの実現方法と光ファイバのHCI分野での応用例を調査しました。
本研究では、プロジェクタとLED ドットマトリクスを用いた2つのプロトタイプを実装しました。
この二つの実装方法で、アルファベットを提示した結果が下の写真です。
この結果から、以下のことが分かりました。
ディスプレイの輝度に、環境光が大きく影響すること
解像度が不足していること
ピクセル同士が混ざってしまう現象が生じること
今後では、以下の課題を取り込む予定です:
ディスプレイ解像度の向上
実装方法を増やす
現状はディスプレイに厚みが必要なので、実際に実用可能な厚みで実装する
当日のフィードバック
実際に使えるようにコンパクトに実装する方法は課題の一つとして挙げられました。この解決方法として、横一列薄型のLEDアレイや光センサーの活用などの方法についての意見をいただきました。その他、柔道場(試合、技名)、ホテル(歓迎、空間展示)などの具体的な展示内容についても議論しました。
感想
自分で思いつかなかった使用シーンも議論されていて、インスピレーションを受けました。そして初めての発表で貴重な意見を得られて、大変勉強になりました。ECでは色んな思わぬ課題や、面白い発表とデモを体験して、研究とエンタテインメントの両面を改めて考えることが出来ました。
発表文献
発表情報
発表動画
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