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数えないこと

数ほどわかりやすいものはない。

なんでも数にして表したら、多いか少ないか、大きいか小さいか、すごいかすごくないか、分かる。

数が持つ力を知っている。
それは大きな説得力をもって、簡単に人の判断を誤らせることができる。

数が絶対的な力を持った世界に不安になることがある。ときには、数えないことも必要なんじゃないかとふと思う。

数えずに、感じること。想像すること。考えること。数は答え合わせのように、あとで確認すればいい。

なにかを数えているうちは、結局のところ数えられるくらいのことしかできない気がする。

数を数えるときも、結局のところ本当にそれが確からしいか、信頼していいものか、根拠を探して見極めないといけない。数は分かりやすく簡単なようで、証明が難しい。

数の力に対抗できるもののことを考える。

複雑で分かりにくくて測りにくいもののこと。数ではない方法で分かりやすく伝えることができるもののこと。

私もよく数に頼ってしまう。確認して、安心する。安心して人に伝える。

その安心は正しく機能しているんだろうか。曖昧で割り切れなくて、余ったものを切り捨ててないだろうか。複雑なものを単純化したせいで歪みが起きていないだろうか。

あえて、数えないこと。ときどき、間違った答えを出してもいいから、感覚だけに任せてなにかを選び取ってみたい。そうした選択肢が、秩序だった平坦な日常を少し変えてくれはしないだろうか、と期待してみたりしながら。

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