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カネコアヤノの音楽にトリツカレている

音楽が好きだ。今も昔も。子どもが生まれてからは、ほとんど行かなくなったけど昨年ようやく行けたライブの一つが、カネコアヤノのライブだった。

特徴的な声と音楽。とりわけ『祝祭』という最新アルバムはバンド編成を組んだことで、トリッキーなメロディー展開が独特な彼女の声と合わさって新しい音楽を作っている。そして、新しいのにどこか懐かしい。本人もスピッツが好き、とどこかで語っていたけれど、スピッツのような懐かしさがある。

一人で歌うときの彼女は、インディーズ感がとても出ている。地べたでずっと戦ってきたダサさとカッコよさが混ざったざらざらとした感触がある。バンド編成になると、もちろん音も豊かになるし、一つ一つの音のつくりも洗練されている。
一人で歌う彼女もバンド編成できれいにマスタリングされた彼女も、どちらも好きだ。ちょうど、フィルム写真とデジタル写真のような、それぞれの味がある。

ライブでの彼女は、音源を聴いた時とは全く印象がちがう。小さな細い体から、信じられないほどの熱量の音があふれてくる。叫びにも似たような大きな声で、全身から感情をほとばらせて、ロックに歌う。音源のどこか落ち着いた印象とのギャップに驚かされて、その世界に引き込まれる。圧巻のパフォーマンスだった。

演劇の経験もある彼女は、構成や物語にもこだわっている。だから、アンコールはなかった。最後の最後まで力を振り絞ったことがわかる、なくても満足する内容だった。

そんなわけで、ライブを観た年末以来、ずっとカネコアヤノの音楽を聴いている。すっかりトリツカレてしまった。頭から音楽が離れない。

音楽がサブスクリプション中心になってから、私もCDを買わなくなった。多くの人がそうだと思う。なのに、カネコアヤノはLPやカセットテープを売っている。独特のこだわりだ。なのに、アナログ盤はすぐに完売になる。ライブのチケットもなかなか取れない。他にも憑りつかれている人が大勢いる。

2019年はきっと彼女はブレイクする、と言うつもりはない。わざわざ言わなくても何がきっかけでヒットするか分からない時代だし、それでなくてもすでに稀少価値が生まれているほどに、彼女は認められている。個性的なコアなファンがしっかりついているし、これからもただ音楽を作り続けてほしい。
たぶん、もっと多くの人に聴かれていい音楽だから。


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