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#この街がすき

頼りなく外へ出る|まちは言葉でできている|西本千尋

唐芋通信  記憶が確かであれば、子どもが2歳になるかならないかの頃、近所に住んでいた友人が、「奥田直美さんという方がね、編集していてね」と言って『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』(『ち・お』)という育児書を見せてくれた[*1]。 「直美さんは、京都の西陣でね、ご夫妻でカライモブックスっていう古本屋をやってらして。直美さんが石牟礼文学に親しいことからね、カライモなんだって。カライモは、ほら、熊本とか、南九州の方言でサツマイモのこと!」「西陣で、カライモブックス、そうな

赤信号と猫の店

地元の市街地の車線も信号機も多い国道沿い。少し長めの赤信号のおかげでちょっとした楽しみをみつけたのは2年ほど前。 今ではそこの赤信号でひっかかることを期待しながら仕事帰りの車を走らせている。 そのお店は白い二階建てのつくりで、色あせた看板に店名、日用雑貨、文具などと大きくかいてあるのだが、外から見る限り商品らしきものは奥の方に少しだけしかない。 お店が閉まっている日は、ひと昔前お昼のサイコロトーク番組に出ていたライオンちゃんと、その奥さんと子どもたちであろう四人家族のライオ