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2021年1月の記事一覧

画文集『花と言葉』、全文公開します

新年が始まりましたがみなさんお元気でしょうか。 昨年作った画文集『花と言葉』。新しい年になってもじわじわとお求めいただいています。ありがとうございます。 個人的な話になりますが、今年前半は仕事と展示でしばらくばたばたしそうで、『花と言葉』のもととなったお話を聞いて絵を描くことがしばらくできなさそうです。ときどきお問い合わせいただくのですが、わたしのキャパシティの問題でなかなかお応えできずすみません。 そこで、個別で対話するかわりになるかはわからないのですが、ここで『花と

かわらない日常から消えた夜のひかり

 東京の夜がすきだった。ちっとも孤独を感じさせないひかり多き東京の夜。道知れず、ふらっと小道に入っても、灯りのついた拠り所がかならずある。あたたかい人たちの幸せをみて、あたたかい料理をたべた。  東京の人が冷たいなんてうそだ。赤ちょうちんの垂れた暖簾をくぐったそのとき、孤独からは程遠く、あたたかいを体現したような湯気にもくもくと包まれる。みな各々の居場所で、各々の料理を飲み下す。誰も急いていない。ぽつりぽつりと、静かに声が聞こえてくるのを待っている。見知らぬ人の煩悶をみて、

すべての手紙を出し終えた日

最後の手紙を出し終えたあとの世界にて珈琲を飲んでいます。手紙を書き続ける日々がとうとう終わってしまった。みんなこの町から出かけて行った。私の呼び声、私の歪な文字の祈りよ。いってらっしゃい。気をつけてね。 書くことで守ってきたこと、書くことで守られていたこと、それから言葉では語り得ないもの。行動は表情は言葉の外にあり、語ろうとする傍から越えられない壁が生む影に立ち尽くしていることに気づかされる。手紙を書き終えたここからは、いよいよ書けないものに向かってゆく。あとはやるだけだ。

ケアと男性|第3回 子育てすると「戦線離脱」?

この連載が書籍になりました! 第3回目以降が気になった方、ぜひご購入ください。 「最前線」からの離脱 子育てをし始めて、気づいたことがある。それは、ぼく自身が「他者評価」に大きく依存し、それを当たり前の前提として受け止め、その評価軸に思った以上に雁字搦(がんじがら)めになっていた、ということだ。 家事育児を妻とできる限り共有しようとすると、出張が制約されるし、ましてや飲み会なんてもってのほか、ということになる。それは自分のこれまでの仕事のスタイルを変える、という大きな変更