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2023年に。「いろは歌」で振り返る(2)

2022年の<美術展>[note投稿]を「いろは歌」に載せて振り返る、今回は後半戦です。
すでに年が明けて、1月も中旬なのに…遅いっ!。お許しくださいませ。

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「う」…<美しきシモネッタ展>を鑑賞したことで、一昨年に引き続きボッティ・チェリにハマってました。
資料を読んで考察を繰り返しても、やはり掴みどころのない画家。きっとまた来年の投稿にもボッティ・チェリが登場することになりそうです。

「ゐ」…[イヴ・サン・ローランがピカソ作品をドレスに⁈]。2022年はピカソ美術館・パリのInstagramについて二度投稿しました。

ピカソ美術館・パリのInstagramより

世界各地の美術館が取り組んでいるさまざまなイベントを、日本に居ながらにして見ることができるなんて。。。幸せです。

「の」…ノルウェー冬季オリンピック(1952年)の記事を紹介したのが[画壇の明星⑨・ロートレックとタイムリーな話題]

国際文化画報・1952年4月号より

スキー発祥の地で開催されたオリンピックで、興味を引かれたのがスキージャンプの写真。屋上に登って得点を出す審判員の方々。そして「やーっ!」と両手を頭上に掲げてジャンプする“見事なフォーム”の選手たち。70年前のみんな、頑張れーーーー!。

「お」…<岡本太郎展>は楽しかったぁ。やはり美術展鑑賞は会期初めの朝一番に限ります!。貸し切り状態の展示室内で、気になった作品に近づいて好きなだけ鑑賞。あれっ、さっきの絵にも同じような色づかいがあったような…と、前の部屋に戻って確認。
型破り、突撃型の岡本太郎氏の作品展は、縦横無尽な鑑賞法がベストマッチでした。

「く」…[クラーナハの実力]の記事ではクラーナハが描いた『パリスの審判』8作品を並べて比べてみました。どこから見ても安定のクラーナハ。彼の実力を見せつけられたのです。

「や」…野球界で2022年も大活躍したのは大谷翔平選手。二刀流で規定打席と規定投球回の「ダブル規定」を初めてクリア、素晴らしい!。
同じく記録に拍手を送りたいのが、東京国立博物館の創立150周年。[150th Anniversary]の投稿で過去の特別展<ツタンカーメン展><モナリザ展>を振り返りました。
行こう行こう、と思っていた 2022年10月から開催された特別展<国宝 東京国立博物館のすべて>は、残念ながら行くことができませんでした(涙)。

「ま」…マネ、<日本の中のマネ展>で訪れた練馬区立美術館。
[マネって何者?]の投稿でも触れましたが、まだまだ理解不能の画家=マネ。彼に少しずつ少しずつ接していくのが、これからの楽しみです。

「け」…[芸術とはなにか]の投稿で、トルストイが定義する「芸術」についてご紹介しました。自分で「芸術」を定義することなど、今の私には100年早いのですが、「芸術」の鑑賞者として何かを感じ取って行きたいと思います!。

「ふ」…フォルクヴァンク美術館は、ドイツにある聞いたこともない美術館。そこの作品の展示会なんだぁ…と、失礼ながらあまり期待していなかった <フォルクバンク美術館 自然と人のダイアローグ展>。その反動もあったのでしょう、たくさんの感動をもらいました。
担当学芸員の陳岡先生、ありがとうございます!

「こ」…<ゴヤの名画と優しい泥棒>。2022年 久しぶりに足を運んだ映画館で観たのは、美術館からゴヤの名画が盗まれた実話をもとにした映画。その名画が <ロンドン・ナショナル・ギャラリー展>(2020年開催)に展示されていた ゴヤ『ウェリントン公爵』です。

フランシスコ・デ・ゴヤ『ウェリントン公爵』(1812-14年)

この作品が展示されていた部屋は、ムリーリョの作品があって奥に進むとベラスケス、右側の壁にはムリーリョ、そしてエル・グレコもあったなぁ…。「スペイン絵画って好きかも!」と気づいた、あの展示室を思い出しました。

「え」… [円から音楽をきく]の投稿は、2022年のカレンダーで見つけたカンディンスキーの描いた「円」(習作)と、完成品『いくつかの円』を見比べた記事。

カンディンスキー
左)『いくつかの円(最初の習作)』
右『いくつかの円』(1926年)

カンディンスキーが「円」について “高音、しかも静か” と発言し、“純粋芸術としての音楽を、絵画においても色彩を通じて再現できる” と表現していることに、とてもとても刺激を受けました。
私もカンディンスキーが描いた線や点や色から、直接「音」「リズム」や「メロディ」をきくことができたような気がしたのです。「絵画」なのに、五線譜に音符を記した「楽譜」であるかのように…。
私の中に流れてくる「調べ」は、画家の生み出した音楽であると同時に、私自身が作曲した私だけの音楽でもあるのですね!。

「て」…[テンペラの魅力=クリヴェッリの魔力]では、テンペラ絵具の美しい発色・ツヤに強く惹きつけられました。欠損の少ない保存状態で観ることができるのは、クリヴェッリの絵画技法が優れていたおかげなのですね。
ヴェネツィアのクリヴェッリと、15歳違いのフィレンツェのボッティ・チェリを比べてみたら面白いぞ!。と[ボッティ・チェリ]の投稿でチャレンジしましたが失敗(涙)。もっと研鑽を積んで再チャレンジします!

「あ」…[悪魔の辞典・戒めの言葉]。古本屋さんで、その題名と魅力的な装丁に惹かれて購入した『悪魔の辞典』。
◉「責める」…他のものを罪ありと、あるいは無価値なりと断言する。その者を不当に扱ったことに対して、自己を正当化しようとする場合が最も普通。
◉「大胆不敵」…無事安全な立場にある人に見られる最も著しい特質の一つ。
攻撃的な一面を持つ自分への戒めの言葉集として、手元に置いておきます。

「さ」…挿絵の面白さに気づかされました。
[マネって何者?]投稿では、エドガー・アラン・ポーの詩『大鴉おおがらす』に挿絵を提供したエドゥアール・マネとギュスターヴ・ドレの挿画を、
そして投稿[未知の風景を探求すべし!]では、『ドン・キホーテ』のギュスターヴ・ドレの挿画版を取り上げました。
フランス語やスペイン語で本の内容が正確に理解できなくとも、ページをめくるだけでドキドキしそうです。

「き」…<キース・ヴァン・ドンケン展>は、チケットをいただいて最終日の前日に滑り込みました。なんの知識もない私は、混雑した会場で数点の気になる作品を見つけるのが精一杯。まだまだ…です。

「ゆ」…夢のような美術展だったのが、
「め」…<メトロポリタン美術館展>。事前にしっかり予習して大阪展、そして東京展に足を運びました。
①来日してくれた作品たちも
②全く同じ作品を、全く別の会場・異なる学芸員が構成した美術展を満喫できたことも
③東京展が待ちきれずに新幹線で大阪展に行ったことも!
いろいろな意味でとても贅沢な美術展だったのです。
特に②は、とてもいい経験になりました(後述)。

「み」…ミレイの新収蔵作品『狼の巣穴』がお披露目された国立西洋美術館の常設展。[国立西洋美術館のミレイ]投稿後に実際に展示室で作品を見てきました。
事前の投稿で画像とにらめっこしているだけの時は、全体が赤くて何が描かれているのかよくわからなかったのですが、実物はやはりイイですねぇ。

ジョン・エヴァレット・ミレイ『狼の巣穴』(1863年)

左から二番目のエヴァレット(ミレイの長男)は、何かを警戒するような目つきで右手を前に出して攻撃体制…。おおーっ!、自分たちの陣地で毛皮を被って遊ぶのは狼の子供たち、そしてグランドピアノの下は、まさに狼の巣穴なのですね!。
またじっくり鑑賞しに行きたいです。

「し」…<シダネルとマルタン展>は心に沁み入る美術展でした。
[二人のアンリ]という記事を投稿した後、ひろしま美術館の学芸員さんのコラムで素敵なフレーズを発見して、すぐに[ひろしま美術館<シダネルとマルタン展>]を投稿したのです。

西洋美術は、本来宗教や歴史などその社会に伝わる物語を絵解きするために発達してきた

ひろしま美術館・学芸員コラム〜シダネルを巡る旅〜より

「絵解き」というワード、いただきました!。

「ゑ」…『エジプトへの逃避途上の休息』というそれほど知名度が高くないヘラルト・ダーフィットの作品を美術展のトップバッターに抜擢したのが<メトロポリタン美術館展>の大阪展。東京展のトップバッターは、フラアンジェリコでした。
同じ作品を全く違う展示方法で見た大阪展と東京展。本当に色々な楽しみ方ができました。
[メトロポリタン美術館展 最初の一枚]
[メトロポリタン美術館展 大阪と東京]
で熱く語っております。

「ひ」…<百鬼見参(北斎)展>では、描かれた鬼、鬼、鬼の姿に感心したりクスッと笑ったり。
印象に残っているのはやはり北斎の【肉筆画】。作品の前でドキドキしました。
初めて訪れたすみだ北斎美術館は、監視員の制服が可愛らしかったです。

「も」…[モノクロームの世界]で、ルノワールの描いた作品をモノクローム画像に加工して楽しみました。穏やかで明るい色彩で人々を魅了するルノワール作品の鑑賞法としては邪道かもしれませんが、モノクロームのルノワールがとても好きなのです。そういえば。
2020年の投稿[ルノワールの黒]で、ルノワール(Renoir)の名前の中に黒(noir)が入っているのを見つけて大喜びしたのを思い出しました。

「せ」…セザンヌのおかげで【現代アート】を少し身近に感じることができた一年でした。
友達にはなりたくない ちょっと偏屈へんくつなおじさん(←お許しください)が描くよくわからない作品。それなのに、絵画鑑賞を始めた5年半前から気になって仕方がない画家でした。
いろいろな時代の絵画を見て、美術史の流れを少しずつ知るようになって「なるほど、やはり彼の果たした役割は大きかったんだね」と。
そして2022年。セザンヌが開いた扉の向こうに広がる 無限の世界を覗いて、ちょっとトキメキました。まだ足は踏み入れていませんが、2023年の自分がどう感じるのか…楽しみです。

「す」…<スコットランド美術館展><スイス プチ・パレ展>…と、まだまだご紹介できていない美術館が満載ですが、そろそろお時間となってしまいました。

「ん」ーーーっ。2022年の振り返り、楽しかったです。

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2022年は28カ所に出向いて、57本のnote記事を投稿したようです。

2023年も美術館や舞台・映画に足を運び、たくさんの本を読んで深い考察を加えたいと思います。合言葉は、
「体験」「感じる」「学ぶ」「考える」そして「まとめる」力を鍛える!

<終わり>

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