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近代絵画の幕開け ‘日の出’

≪ パリ滞在記・その21 ≫
 〜Musée Marmottant Monet マルモッタン・モネ美術館・① 〜 

マルモッタン・モネ美術館に行ってきました。
美術史家ポール・マルモッタン氏の邸宅がそのまま美術館になっており、夫妻の絵画や調度品コレクションとモネの作品そして印象派絵画が常設展示されています。行った時は特別展<モンドリアン展>も開催中でした。

美術館はサービス業。
スタッフの掛け声は、日本の場合「いらっしゃいませ」、フランスでは「どうぞ楽しんで」という感じでしょうか。
しかし邸宅美術館はお宝拝見の場所。
「ようこそ」の掛け声に「お邪魔します」という気持ちです。

さて常設展の地上階から拝見。
上品な造りの部屋には、豪華な調度品と壁に掛けられた数々の絵画があります。
クラーナハ、ルノワール、シスレー、カイユボット、コロー、シャガールなど。

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ルノワールが描いたモネ、ルノワールが描いたモリゾの娘などにワクワク。面白いです。

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次々現れるこんな名画にまさにお宝発見!と驚きの連続。

階上に行くと、彩色写本のコーナーやナポレオン1世のために作られた調度品など様々な展示があります。ベッドが小さい!子供用ですかね?

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またベルト・モリゾのコーナーでは、多数のモリゾ作品に加え、モリゾ家の相関家系図の展示もあって楽しめます。マネが描いたモリゾは、オルセー美術館のバージョンより 二人の親密な関係がよくわかるような気がしました。

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そしていよいよ地下にあるモネの部屋へ。
モネの次男ミシェル・モネ氏が、父親の作品を多数遺贈したことで美術館名にMonetが追加されたそうです。モネの作品だけが展示された空間に思わず「おーっ!」声が出ました。

これまでも個人的に好きな『睡蓮』に出会いましたが、ここに並ぶ『睡蓮』 結構好きです。

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『チャーリング・クロス橋』の題材で、初めて“これ、いい!”と思えたり…新発見の連続です(写真の下部分は接写。筆致がよくわかります)。

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しかし、なんと言っても『印象、日の出』。
以前、大塚国際美術館でこの銅板を見たとき、「新しい時代の幕開けだ!」と自分が第一回印象派展にワープして、この作品を見た衝撃を体感(した気分になって興奮しました)。
それ以前の絵画と異なり、一枚だけスポットライトを浴びているような気がしたからです。

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実際に見る『印象、日の出』はライトを浴びているのではなく、作品自らが光を発して輝いていました。
モネが描いた朝日は、穏やかにして力強く、シンプルにして神々しく、見る者をジンワリ温めてくれるのです。思わず涙が出そうになり、何時間でも眺めていられそうでした。

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1985年にこの絵を盗んだ憎っくき悪人。転売目的ならば絶対許せませんが、“どうしてもこの絵と離れたくなかった” のだとしたら、少し気持ちがわかる気がしました。6年後に無事戻ってきて本当に良かったです。

マルモッタン美術館に来ることができて幸せ!せっかくだから企画展も見て帰ろう、と軽い気持ちで見始めた<モンドリアン展>。
これまた素晴らしかったので、次回につづきます。
・    <その21>終わり

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