古代小麦(エンマー小麦)購入ガイド

まえがき

歴メシ! を読んだ。歴史書に記されたレシピを現代でアレンジして再現するという内容で、作るには食材をそろえるのが大変なレシピばかりの中、古代ローマ時代のプルスという粥なら古代小麦の一種であるエンマー小麦さえ手に入れれば作れそうだった。ネット通販さえ駆使すれば買えない食材はほぼ無いといっても過言ではない現代ではあるが、このエンマー小麦は少々曲者で、ネット通販で買うまでに少々知識を必要としたのでここに記しておく。ちなみに味はよかった。その他の栄養面は、長きにわたる品種改良が加えられ生産量を追求してきた現代の小麦や米などの品種と比べて高いらしい。

エンマー小麦を買うには

古代ローマがあった場所、すなわち現在のイタリアでは今でもエンマー小麦を食べているらしい。イタリア語でファッロ(Farro)という。エンマー小麦を買うためにはファッロと表記されている商品を買えばいい。ただし注意点がある。このファッロ、実は以下の3種類あり、うち1種類がエンマー小麦で、他は別種の小麦なのだ。

Farro piccolo ( Triticum monococcum )
ヒトツブコムギ。ドイツ語でアインコーン(Einkorn)とも呼ばれる。3種類の中で一番粒が小さい。

Farro medio ( Triticum dicoccon )
これがエンマー小麦。ドイツ語でもエンマー(Emmer)。エンマー小麦のエンマーはドイツ語だったのだ。

Farro grande ( Triticum monococcum )
スペルト小麦。ドイツではディンケル(Dinkel)とも呼ばれる。3種類の中で一番粒が大きい。製パンなどにも使われているよう。

ここまで読んで、確実にエンマー小麦を買うにはFarro medioと検索すれば良いと思うかもしれないが、3種のファッロはあまり区別されていない。イタリア人の認識で言えば、ファッロは粒の大きさが違っても全部ファッロだということだろう。幸い、スペルトとファッロは区別して売られていることが多く、ファッロとして売られているものの多くはエンマー小麦であるようだ。

購買時の諸注意

ファッロを買うにあたって注意する点がもう少しある。搗精(とうせい)、そして価格だ。

搗精
外皮を取り除く工程を搗精という。米でいうところの精米である。何分搗きにするかで調理時間と栄養価が変わる。

全搗き: 麦の外皮をすべて取り去った状態。調理時間は15-20分。事前の浸水の必要はない。外皮の栄養分は取れない。
五分搗き: 麦の外皮を半分ほど取り去った状態。調理時間は25-30分。事前の浸水の必要はない。外皮の栄養分がとれる。
玄麦: 麦の外皮がすべて残っている状態。調理時間は20-60分だが、浸水時間による。理想的には一晩浸水すると良い。栄養価は一番高い。

価格
国内ECと海外ECで価格を調べたが、以下のように違いがあった。

国内EC: 500g/約1080円 程度
海外EC: 680g/約700円 程度

諸費用を含めても海外ECが安い場合には個人輸入を検討しても良いかもしれない。関税に関して調べたが、麦は関税よりも輸入納付金を納める必要があるようだ。

商業用の米穀等及び年間100kgを超える個人用の米穀を輸入する場合には、食糧法、関税法等の規定に基づき、納付金及び関税を納めることが義務付けられています。

商業用等で麦等を輸入する場合及び個人用として関税定率法の免税の適用の範囲を超える場合には、食糧法、関税法等の規定に基づき、納付金及び関税を納めることが義務付けられています。ただし、関税定率法で救援用、学術研究用、標本用、見本用等に該当し、関税が免除となる場合には納付金も免除されます。

c.f. 農林水産省 米麦等を輸入される方へ 米麦等の輸入納付金を納付する場合

数kg程度のエンマー小麦を16,000円程度(課税金額10,000円以下)までの金額以内で個人輸入する分は課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用となるのではなかろうか。免税が適用された場合、納付金まで免除になるかどうかまではわからない。詳しくは税関に問合せしてほしい。

結論

黄桜株式会社と京都大学がエンマー小麦でビールを作っているらしい。飲みたい。

付録

小麦の話

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