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耳鳴りが酷い。
切れる前の蛍光灯のような音が右耳から聞こえ、
大きなクラクションを鳴らされた後に世界が包み込まれるような音が左耳を覆い続ける。
もう間も無く耳が聞こえなくなるのではという不安と、いっそ無音になってくれないかというストレスとが交互に脳裏でループする。
・・・。
気づくと自分は睡眠中だった。
瞼を開け、変わらぬ症状にうんざりして起き上がった。キッチンでコップ一杯の水を注ぎ一気に飲んだ。
朦朧とした状態を抜けても耳鳴りはおさまらなかった。
そういえばしばらく熟睡していない。
ベッドに戻り眼鏡をかけ、スマホで自分に仕事のメンションが来ていないかをチェックし、その後ウェブで「老いと耳鳴り」を検索する。
そこには悩み多き壮年のそれの、原因と結果とが溢れていた。耳鳴りが先か、心労が先か、はたまたこれも宿命か。ふむふむ、そうだよねと相槌を打ち合う壮年の集合体が強烈な無意味さを放ちながら隔絶された空間に佇んでいた。
回想が膨らむ。
たしか、英語を習いたての時、似たように耳鳴りが止まない時があった。
新任の英語教師が聞き取れない英語を小さな声で繰り返した。
live
live
life
lives
「これらの単語はたくさんの意味があるんだよ。読み方もあって、lifeの複数形も一緒なの!」
と、解説になると威勢のいい声で説明を始めた。
理解を深めず、沈黙を守るクラスメイトを横目に、
ぼんやり天井を眺めると、自身に少しずつ眠気が押し寄せてくる。
あの時の耳鳴りは睡魔を呼ぶサインだった。
頭の中でホテルカリフォルニアが流れ、イントロが終わるとともに僕は眠りに落ちた。
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