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テニスにおけるオリンピック代表選手決定の方法①オリンピックでの代表の決め方とは?

 私のブログでも一度記載したネタですが、noteでも共有すると前回宣言したので展開しようと思います。
 今日から数回に分けて、テニス競技におけるオリンピックにおける代表選手の決定について議論したいと思います。

 オリンピックにおいて国を代表する選手がどう選ばれているか、ご存知でしょうか。漠然と、国が選んでいる、と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは不正確です。

 オリンピック憲章によれば、オリンピック競技大会に競技者やスタッフを派遣する権利を有するのは、NOCです(オリンピック憲章27.7.2)。日本で言えばJOCですね。もっとも、個々の競技でNOCが代表選手を決めることはできませんから、実際は、NOCに加盟する各競技の国内競技団体(以下「NF」といいます。)が、各競技の選手をNOCに推薦し、NOCがIOCに出場選手を登録することにより、選手はオリンピックに出場する資格を得ます。
ここにいうNFは、たとえば我が国のテニス競技でいえば(公財)日本テニス協会です。日本テニス協会が、選手をJOCに推薦し、JOCが推薦された選手をIOCに選手登録するわけです。

 では、NFが自由に代表選手を選べるのか?
 いえ、必ずしも、そうではありません。
 オリンピックにおいて一つ一つの競技について管理と指導の責任を負うのは、国際競技団体(以下、「IF」といいます。)です(オリンピック憲章26.1.5)。テニスで言えば、ITFですね。IFは、オリンピックにおける競技のフォーマットを決めるのはもちろん(たとえば、男子シングルスのドローサイズは64)、そこにどのように国別の選手が選ばれるべきかを決定します。こうして決められる競技のフォーマットに合わせ、選手がどのように選ばれるべきかを定めているのが、IFによって作られる「Olympic Qualification System」(以下、「OQS」といいます。)というものです。

 IFは、OQSによって代表選手の枠を割り当てます。割り当ての方法は、大きく分けて「NOC」と「athlete by name」があります。
 前者は、NOCに代表枠が割り当てられる方法です。この方法の場合、NOCが代表を選考し(NOCは個々の競技において代表を決める能力を持たないので、実際に具体的な代表選考を行うのはNFです)それに従ってIOCに代表選手が登録されることとなります。この場合、NFが代表選考基準を定めて、それに従ってNFが代表選手を決めることとなります。
 後者は、IFが個々の選手個人に対し、その制定した条件に従って代表枠を割り当てる方法です。この場合、IFに指定された基準に従ってNOCは代表選手を登録することとなりますから、(IFの定めた基準にNOCによる何らかの裁量が定められていない限り、原則として)NOC(NF)が独自に代表選考をすることにはなりません。
 これら大別した2つの方法に沿い、どのようにNOCなり個人なりに出場枠を与えるかについて、各競技の特性に従った条件が定められています。

 次回は、

 じゃあ、テニスはどうなっているの?

 というお話をします。

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