喜劇王チャップリンが残した言葉
サイレント映画の喜劇王チャールズ・チャップリンは、その作品を観たことがなくても、名前は知っているという人が多いのではないだろうか。
タイム誌の「20世紀の最も影響力のある100人」に選出されたりと、映画の発展に大きな功績を残した人である。
そんな喜劇王チャップリンが残した功績は、映画だけにとどまらない。
チャップリンが残した言葉
映画以外におけるチャップリンの功績として、今では広く使われている言葉のうち、チャップリンが関わったものが二つある。
フェラチオという言葉を広めた
ひとつに「フェラチオ」がある。
今では広く使われているフェラチオというラテン語を語源とする言葉は、チャップリンが活躍していた1920年代、まだ一部の上流階級の人だけが使う言葉で、一般的ではなかった。
チャップリンは二番目の妻、リタ・グレイとの結婚生活が上手くいかず離婚協議になる。その裁判において、リタ・グレイ側がチャップリンの私生活を暴露する。私生活というより性生活の暴露という方がふさわしく、結果、マスコミが飛びつき一大スキャンダルとなる。
その暴露の中で、リタ・グレイが「フェラチオを強要された」というものがあり、それがきっかけでフェラチオという言葉が広く知られ使われるようになった。
チャップリンは、裁判の席でもリタ本人にも「オーラルセックスは結婚した夫婦は誰もがやっていること」と主張しており、フェラチオ自体が珍しかったのではなく、フェラチオという言葉が珍しかったということが窺える。
いずれにしてもチャップリンがいなければ、日本であればフェラチオは江戸時代のまま「口取り」と呼ばれていたかもしれないし、「尺八」になっていたのかもしれないのである。
ロリータという言葉を広めた(可能性がある)
もう一つチャップリンが関わった言葉に、ロリータもしくはロリコンがある。
ロリータ・コンプレックスの語源は、中年男性が少女に恋をするウラジーミル・ナボコフの小説『ロリータ』がもとになっている。
そしてナボコフが小説において少女の名前をロリータとしたのは、前述したチャップリンの二番目の妻リタ・グレイにちなんでいるという説がある。リタ・グレイは自身のことを「リリータ」と呼んでおり、そのことにインスパイアされた結果「ロリータ」なのではないかという説である。
ただし、これは一つの説なので確証はない。
ただチャップリンは、相当なロリコンであったことは事実である。チャップリンは計4回結婚しているが、
であり、かなりの年下好きということがわかる。
少女ともいえる年齢の女性に恋をする中年男性チャップリンに着想を得て、ナボコフが小説『ロリータ』を書いたとしても不自然ではない。
歴史の多面性
チャップリンは映画産業に多大な功績を残した人物であり、妻にフェラチオをさせようが重度のロリコンであろうが、その功績が無くなるわけではない。
しかし、チャップリンのドタバタコメディ作品から連想されるイメージとは異なる私生活や性癖は、歴史には多面性があるということを教えてくれる。
教科書で習う広く浅い歴史をきっかけに、興味を持った時代の歴史をより深く知れば、教科書に書かれていない歴史を知り、そして、歴史的事件に対して異なる印象を持つこともある。
歴史は多面的である。だから、歴史は面白いと思う。
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