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ブリコラージュ-日曜大工(その3)〜肩を張らずにフランス10

コロナで閉じこもっていた間は物置きの屋根の天然スレート « ardoise »を修理した。何十年もほっぽらかしだったのだろう、屋根組が表面化して腐り始めており放っておくわけにはいかなかった。

またまた余談だが、さっきも書いた通りフランスに限らずヨーロッパはどこも、家といえば石屋 « maçon »がまず造る。郊外を車で走っていると、壁だけになって屋根のない廃屋をちらほら見かける。スレートや瓦が剥がれ屋根組が腐り落ちた結果だ。

うちの物置がこの状態になることだけは何としても避けたかった。実は大工と瓦屋 « charpentier et couvreur »に頼むことも考えた。ただ壁も当時のままで決していい状態ではなく屋根だけ立派なものにしても何だかなあとなり、思いとどまってしまった。屋根と言っても2m位の高さなので目眩がするほどではない。まあ何とかなるだろう。

この作業は少し知識が必要だった。スレートを打ち付けるか引っ掛けるかするのでそれなりのやり方がある。道具も専用のものが必要。それからなにしろ屋根に登るのだ。一つ間違えると大変なことになる。万全を期してかかった。スレートそのものは家の隅に前の住人が捨て置いていったのが山積みになっていたので綺麗なものを選って再利用した。夏の1ヶ月はこれだけをやっていた。結果、死ぬまでもつだろう。

ちなみにいくらフランス人が « bricolage »好きだと言っても、流石に屋根に手を出す人は多くない。この話をすると誰も驚いて感心するので、うちに来る人たちは家に入る前にここを訪れることになる。

蛇口から先なら水周りの取り付け工事くらいは難しくない。使わなくなった洗面台もガレージに設置した。家の外の水回り、庭と畑のホースを地中に埋める事くらいはやった。蛇口にに接続してあちこちに分岐させる作業なんかは漏れに気をつければいいだけなのでいつもやっている。

ところで、自分でやらないことの筆頭が家屋内の水回り。上水道の管には手をつけたくない。一度酷い目にあった。日曜日だったので修理屋に倍の料金を払わされた。

その次が電気配線。許容量とか互換性とかが絡んでくるので、やらない。勉強すればそれほど複雑ではなさそうなのだが、何しろ全部フランス語なので間違えるのが怖い。やってもらうに越したことはない。

これだけ何でもやっていると物持ちになる(写真)。日曜大工に使う道具ってどうしてあんなに男心をくすぐるんだろう。物によってはそのまま武器になりそうなのもある。こう言っちゃ女性陣に申し訳ないけれどやはりこれは男の子の世界だろう。店に行って電動ノコギリかなんかの売り場を物色している紳士諸君の顔を見てみるといい。あれは何かしら武器(想像)を見つけてワクワクしている悪ガキの顔だ。

もうお分かりだと思うが、これだけのことは流石に一朝一夕ではできていない。この家に住んで20年以上。手のつけられていない部分はないと言っていい。今でも休みになると何かとやっている。と言うより何かやることがある。古い家に住んでいると必ずどこかにボロが見つかる。小さなボロでも幾つもあると終わらない。多分死ぬまで終わることはないだろう。

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