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コーヒーは嫌いですか〜肩を張らずにフランス132

 長年コーヒーといえば « l’Or de Maison de Café »だった。ひょっとするとフランスに来て間も無くの頃から変わってなかったかもしれない。

 日本にいた時は紅茶派だった。ホットもアイスもミルクを入れて飲むのが習慣だった。夏に外商で昼食後なんかは決まって「アイスミティー」だった。

 コーヒーを選ぶことは滅多になかった。苦味はそれほど苦にならなったが、何というかあの匂いで気分が悪くなった。どうしようもない時はホットではなく「レーコー」を注文した。

 フランスに来てからはどういう訳かコーヒーを飲むようになった。砂糖入りミルク無し。「コーヒーホワイト」というようなものはこちらにはない。大体知る限りコーヒーにミルクを入れる習慣はない。「カフェ・オ・レ」か「カップッチーノ」になるのでちょっと違う。

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 当時いくつか試して、一番香りの良い « Maison de Café »にしたのは覚えている。それ以来浮気もせず飽きもせず、プロモーションを狙っては買い置きしていた。今でも嫌いなわけではない。香りが心地いいブレンド感は変わっていない。

 いつからか砂糖無しミルクなしのブラックカフェを飲むようになった。ある日突然そうしようと決めてそれ以来コーヒーはブラック。元より苦味は気にならなかったのですんなりと慣れてしまった。

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 ある日また気まぐれに別のメーカーも試してみようと思った。 « Carte Noire » « San Marco » « Velours » « Grand Mère » « Lavazza »。滅多にやらない単品買いで比べてみた。

 30年も経つと流石に味覚も変わるもので、驚きの結果となった。

 香りよりも味で選びたくなった。

 そもそもコーヒーの味に敏感でなかったので、濃いか薄いかくらいにしか感じていなかった。紅茶派だったのはその辺にも理由がある。

 市販のコーヒーにこれだけの違いがあるとは想像していなかった。濃いだけに感じるもの、ただただ薄いもの、香りはあってもスプーン一杯余分に入れないと味の出ないもの、などなど。

 最後に2つ残って、今の自分が選んだのが « San Marco »。
 香りは « Maison de Café » に劣るとはいえ味が一番好みに合った。酸味が少なくまろやかで深みのある味。濃くしすぎても「苦っ!」とならない独特の風味。 « Maison de Café »だと酸味が強くなる。


 ということで « San Marco »に決定。

 当分はこれでいこう。

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