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約束時間は守りましょう〜肩を張らずにフランス136

 うちの地方には妙な習慣がある。

 例えば仕事関係で朝9時に集合令がかかっているとする。実際に集会が始まるのは決まって9時15分あたり。どんな時期のどんな内容の集会だとしても必ず15分は遅れて始まることになっている。ディレクターも時間通りに始めるために声を上げようともしない。みんな当たり前のようにコーヒー片手に悠長に立ち話。誰も「もう9時10分ですよ」とは言わない。15分になるとパラパラと席につき始める…

 この風習を当たり前ととるのはうちの地方の連中だけ。他の地方から来た同僚なんかはかなり怪訝な顔をして眺めている。 « Quart d’Heure ……… »と呼ばれ、結構バカにされた言い方をされている。

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 医者の時間に遅れて行く人はいない。役所とか大事なアポイントの時間を守らないと流石に人柄を疑われるし、そもそも入れてもらえないかもしれない。

 それではここで問題。

 知人に呼ばれた時はどうする?やっぱり時間前についた方がいいと思う?

 国民性の問題かもしれないが、経験から言って時間前に呼び鈴を押すのは失礼に当たる。渋った顔をされたことが少なからずある。フランス人の大雑把な国民性はこれまでにも何回か記事の中で書いてきた。時間厳守はプライベートでは必ずしも当てはまらない。準備周到で無いわけではないが、どこか「決めた時間から」と考えているところがある。
 逆に5分か10分遅れて行った場合はなんともない。このくらいは遅れでないというよりも、ちょっと待っただけで到着してくれてちょうど良かったと思われる。だからむしろ遅れて行った方がいい。相手は虚をつかれた顔をすることもなく招き入れてくれるだろう。(ただこの習性、ひょっとすると地域性の違いがあるかもしれない。パリから遠くないとはいえ完全に地方に住んでいるので、パリでこれをやってうまく行くかは保証できない。角が立たない相手で試した方がいいかもしれない。)

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 時間感覚というのは国民によってかなり幅がある。南のラテン系の国民、スペイン人やイタリア人が時間にルーズなことは有名。フランス人はそこまでではないが、それでも地域性は出る。南と北ではかなり行動基準に差がある。

 日本人はどうだろう?

 日本に帰っていつも感心するのが時間厳守。どこへ行っても何をしても秒刻みでピッタリ。これはすごい!一番身近なところではテレビ。昔日本にいた頃にはなんとも思わなかったが、テレビで腕時計なんかを合わしていた記憶がある。番組は時間ピッタリに始まるし、コマーシャルも15秒ドンピシャ!これはすごい(2度言ったが何度でも言える)!

 恐らく約束時間前に到着して呼び鈴を押されて顔をしかめる人はいないと思う。流石に限度があるが10分くらい前なら普通にOKじゃないだろうか?

 日本人の時間厳守は「決めた時間まで」な気がする。1秒でも遅れれば遅刻常習犯のレッテルを貼られる危険性がある。「そのくらいいいじゃん」では通らない空気があると思う。

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 良し悪しではなく国民性の違い。日本にいたらそういうものだからそれに準ずればいい。

 « A Rome, fais comme les Romains » 「郷に入っては郷に従え」

 フランスに来る日本の方がフランスの知人に招待された時にはご注意を。

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