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初任時代の映像を振り返る⑨「対応」

「え〜!!!」

時折フラッシュバックのように呼び起こされるある男の子の大声。

帰りの準備の際、宿題を配るときだ。

毎度毎度そうだった。

私はたじろいだ。

なにも言えなかった。

何と言えばいいかわからなかったのだ。

子どもに負ける自分に嫌気がさした。

「どうしたいいんだろう…。」

夜遅くまで眠れずに頭の中で反芻された。

子どもに対してどのように対応するか。

今日はそれについて述べていく。

1.怖くさえすればいい

眉1つ動かさず、笑顔にならないよう努める。

それが私の1日だった。

とにかく“怖そうな先生”を目指した。

授業中は特にだ。

したがって、自然と子どもたちへの対応も雑になる。

映像の1場面を切り取ってみよう。

「今日は折り紙を使います。」

子どもたち「イェ〜〜!」

私;反応なし。そのまま淡々と話し続ける。

弱い自分を見せたくない。

教師の権威を見せねば。

そう意気込んでいた。

しかし、授業に楽しさや明るさはなかった。

2.当時の私へ

それって本当のあなたなの?

当時の自分に問うとしたらそう言いたい。

今の私なら全力で楽しそうに笑顔で授業を進めていくだろう。

それが本来の自分だと気づけたからだ。

気づかせてくれたのは誰か。

6歳の小さな天使たちだ。

去年1年生を担任した。

あるとき、給食の時間こう言われた。

「先生は、いつもにこにこしてるね。どうして?」

それを言われるまで、私は気づかなかった。

自分が満面の笑みを浮かべている様子に。

子どもたちは忘れてしまったかのように何度も同じ質問をしてきた。

私はこの子たちの言葉を信じた

いくら私が“怖い教師”になろうとしてもなれないのだ。

先生はこっちの方がいいよ。

そう子どもたちに背中を撫でられた気がした。

笑顔は私の強みである。

だから、それを子どもたちに存分に使おうではないか。

今では、そう心に決めている。


3.なおも対応は難しい

いきなりだが、体育館で子どもに

「死ね!!」と言われたら皆さんならどう対応するだろう?

ちなみに指導とは違う。

飽くまで“対応”である。

「何てこというの!」と感情任せに叱るか?

「そんなこと言っちゃいけません。」と優しく諭すか。

どちらも、私は負けだと考える。

こいつは大したことないと子どもは勘ぐるであろう。

私ならこうする。

2パターンある。

① 惚ける

まず、後ろを振り向く。

その後、言った子に向かって無言で首を傾げる。

いかにもなにを言われたかわからない困った顔をする。

「誰のこと?」と聞く。(少しきつい口調で)

「今教室中に聞こえたから、驚いたよ。」

「もう一回いってくれる?今度はもっとはっきり!」

「みんなも聞きたいよね!」

「あれ?聞きたくない人?」

「聞きたくない言葉を学校で、また友達がいる学校で言ってはいけないよね。そう思う人?」のようにとぼけた後に詰める。少し笑いも入れる。

② 徹底的に叩く

「立ちなさい。」

「今、何と言いましたか?もう一度行ってご覧なさい。」

「そういう言い方はしてなかった。みんなに聞いてみよう。今のような言い方だと思った人?」

「前にいらっしゃい。」

「もう一回聞きます。もう一度言ってごらんなさい。」

「先ほど言えたのであれば、今ここで言えるはずです。言ってごらん。」(ここでもうノックアウト)

もしここでも反省の色がない場合は、

語気を強めて次のように話をする。

Aくん。なにも言わないのですね。ではクラスの人1人1人にAくんが何と言ったのか聞いてみましょう。」

「たった数秒前のことだから覚えてるよね?みんな。」

(必ず1人1人に聞いていく)

「みんな全く同じ言葉を言っていますね。あなただけです。なにも言っていないのは。」

のようにその子をどんどん孤立させていく。

もちろんこれは、罰ではない。

集団の教育力を持ってして闘っているのだ。

いじめにつながる芽は潰していく必要がある。


笑いを生む対応と教師としての覚悟を示す対応。

これらは力なので筋肉と同じように鍛えていかなければならない。

表面的な繕いなどすぐに子どもに見抜かれる。

まずは練習。鍛錬が必須となる。

実際にイメージをし、声に出してみる。

表情を作ってみる。

放課後、教室でやってみる。

変わるのも変わらないのもその時の選択しだい。

私はそうやって学んできた。

されども、対応はやはり奥深いものだ。

技術として使いこなせるようこれからも修業を積んでいく。

初任振り返りシリーズは次回がラストとなる。

ぜひ楽しみにしていただきたい。






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