天才青年はぎゅっとハグしてくれた

今日は友人ハマさんの命日だ。去年はたまたま新橋に居合わせたメンバーで集まって献杯したものだが、今年はきちんとしめし合わせて新橋に集合した。めざす店は「もつ焼ウッチャン」。ハマさんが好きだった「水道橋でん」、あるいは「蒲田いとや」の源流となる店なのだそうだ。なるほどメニューが似通っていて刺も串もマカロニサラダもうまい。友人がスマホで膨大な量のハマさんの写真(ほぼ食ってる姿)をスライドショーにしながら七味唐辛子の脇に立てかけ、ビールのコップを添えて献杯した。そんでいつもの通り飲んでいたら、友人の友人が合流することになる。話には聞いていたが会うのは初めての人で、ひとことで言うと天才青年である。知性のレベルがついていけるかやや心配したがそんなのは杞憂で、初対面であってもめちゃくちゃ話がおもしろかった。人に話して秘密がまもられる確率は、P二乗分の1。P=秘密を話した人の数。という話がおもしろくてメモをとった。

二軒目は去年と同様、魔窟・ニュー新橋ビルの隠れた名店カラオケ飲み屋へ。去年は「痛快ウキウキ通り」を歌いながら号泣したが、あれから一年経ったしもう大丈夫かな、と思ったのに「強い気持ち・強い愛」の後半、先日のライブで聴いたときと同じところでやっぱりダメだった。

 長い階段を登り 生きる日々が続く
 大きく深い川 君と僕は渡る

歌いながら号泣しているわたしの脇を、居合わせたサラリーマンスーツ常連さんがトイレに行くふうで通り抜け、「(ママに事情を)聞いたよ」とかいってそっと肩をたたいていく。ニュー新橋ビルにはやさしい世界がある。

天才青年はスピリチュアル方面にも感覚が鋭敏らしく、誰にも言ってないわたしの交友関係なども言い当ててくる、わたしは、なんでわかるんや、とおののく。天才青年曰く、ハマさんはもちろんここに来ていてわたしの隣にちゃんと座っており、いま何を言ってるのかもわかるそうだ。ヒロコさんに、だいすきだよって言ってます、だって。そうだね、わかってる。何度も泣いてしまうわたしを天才青年はぎゅっとハグしてくれた。

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