9/4~11

日曜
なんとなく午後に下北沢へ行き、古着屋を何件か覗いて厚手のジャンパーを買った。突然涼しくなったことに焦って、なんとなく服を買いたい気持ちが膨らんだのだと思う。アララを更新しようと喫茶店でパソコンを開いたら昨夜きちんと電源に刺さっていなかったせいか充電が17%しかなく気持ちが折れる。オードリーのラジオを聴きながらストローをくるくるするだけの時間を過ごして、下北沢から帰ることにした。
昨日に引き続き手持無沙汰感がぬぐえない土日を過ごす自分に哀しくなる。
中野。1年ほどパワハラにあっていた友達が、仕事に細かい、上司だったら最悪な人がわかるようになってしまったと話して、佐久間はその筆頭だろうと。この前の佐久間チャンネルのオークラゲスト回を見て確信に変わったという、俺もまじでそう思いながらいていたので分かり合えた気がした。

月曜日
午後になってからそわそわし始めて気づいたら18時半、キングオブコント決勝進出者発表。霜降りやチョコンヌ、アルピーらが落ちていたけど、空気階段、ニッポンの社長、蛙亭の勝ち残りが嬉しい。好きな芸人は比較的面白いと評価されて露出も多いので、安堵感が大部分の感情だった。空気階段が決勝に行けなかった3年前、りんご音楽祭から帰る新幹線で一人聞けないままだった踊り場を聴いて山里に感謝するあの気持ちは、なかなか味わえないのかもしれない。ニューヨークはすごいな、M1と併せて4大会連続ファイナリストになるとは。全体的に若くよく知ったメンバーなので、ファニーチケットでアーカイブ購入するライブにすら思える。
カナメストーンがYouTubeチャンネルで、M-1一回戦の日に着る私服コーデを紹介していた、いろんな切り口があることに感心する。Aマッソチャンネルの村上編集回(1~4)、ゲラニチョビチームのTHE Wと絡めたツアー企画を久しぶりに見て、人は1年足らずでこんなに新しいことを覚えられるのだと感動した、実践の重要性。
FM「sonara music」がトリビュート週企画をするようで、月曜日の嵐カバーに参加するアーティストが好みで初めて聴いた。ヒグチアイ「とまどいながら」、モノンクル「復活LOVE」、長谷川白紙「MONSTER」、諭吉佳作/men「CARNIVAL NIGHT part2」特に後半2人が良かった。

火曜
仕事帰りに『文學回』10月号を買って、プルースト16冊を1冊ずつ読んだ16人によるリレーエッセイが面白かった。物語について書くことは、批評的な視点で書く以外に、自分事として自分の生活と混ぜ合わせて文章にする歓びがあるんあだあと思う。アララを始めたときに大事にしていたくせに、意味や流行に飲まれてすっかり忘れていた感覚を思いした。違う土俵で窮屈な思いを勝手にしていた自分を解き放つうえでの読書にもなって、とても嬉しかった。
特集の途中に、町で一番の素人こと『プルーストを読む日々』柿内正午が彼が敬愛する保坂一志と対談していた。
MARVELの新しいソシャゲをダウンロードして一時間くらい触っていた。同じキャラが複数人に操れるソシャゲとマルチバースのマーベルは相性が良すぎる。オンライン対戦も想定してか、「シークレット・ウォーズ」の世界観が採用されていた。綺麗なグラフィックを見ているだけで楽しいのだけど、きっと3日で飽きると思う。
『しくじりお笑い研究部』でみんながTAIGAさんに激辛ルーレットの「セーフ!」を教えていた。

水曜
仕事帰り20時駅前のロータリー、ズボンが濡れてしまうことを逡巡しながら抜けた改札先のベンチは一つ残らず座られていて、マック前のガードレールで発注を待つウーバー配達員の横に並んで缶ビールを開けた。幽閉されているかのような気分や状態を語るときの例えで必ず用いられるのが「真っ白な部屋」、松尾スズキ『OD』やエヴァで目覚めるシンジが人々の記憶にあるのだろうか。なんでもフリに使う監督松本は白い壁からチンコを出していたな。現実はそんなにフィクションらしさを用意しない。あまり片付いていない机の前で今日も一日過ごした、締め出されているのか閉じこもっているのかは分からない生活の今日が中間地、缶の液体が全て体内に移し変わるまではせめてもの冷却期間、察しろやヘイター、9月になってから寂しくなるくらいに涼しい。

星野源『POP VIRUS feat MC.Waka』回のオールナイトを聴きながら帰った。俺は聴けるってことですよね?と自然にフっている若林の一挙手一投足に人はきっと注目している、今年の有料配信ライブで最も数字を達成したのはおそらく若林だろう。
2番のリリックが全部好きで、「阿佐ヶ谷高架下から来たテレビの希望 月明かりの下が俺らのラボ」にあちこちオードリーとANNの3組を想う。
「(大御所かどうかは)自覚です、自覚を持ってください」キャプテンの言葉が蘇る。彼は大御所じゃない、希望だ。彼の構えに光が纏う。
「遊ぶ」という言葉を彼が使っているのが珍しいなと思った。おかしいでもない、普通じゃないとされる自分の普通、それを趣味と語れど遊びと称したことはあっただろうか。
箒とプロレスするかのように、ひまわりに寄り添う若林。

低気圧のせいか缶ビール一本で猛烈な睡魔がやってきて寝た。
寝る直前、こんな仕事をしていて大丈夫なのか不安になった。乗り越えなくてはいけない悩みの種類が変わるだけで、季節の変わり目はいつだって悪いモノをもって忍び寄る。

木曜
朝起きて気が滅入る。最近は仕事を終わらしてから帰宅する間、仕事のことを徐々に忘れていくクールダウンの時間が長く必要になってしまった。一日のうちに仕事について考える時間が長くなって、昨日はそのまま寝てしまったから、一日中仕事を考えているということ、受け止めきれない。
『向井のしゃべり方』を聴いていて、『千鳥C-1グランプリ』のカラオケ寿司企画について話しているのが、それをうまいこと自分の話にしているのが、ラジオをたくさんできる機関になっている証に思えてなんともいえない気分になる。
岸本佐知子『なんらかの事情』を読んでも、情景だけがふんわり浮かんで、文字は上滑りする悪い読書になっていく。『いろはに千鳥』ななまがりクイズ回を見ていたとき、クイズとなるボケを考える千鳥が、このクイズはこのボケをやりたいと思ったから作ったはずだから、と逆算して考えていたのを思い出して、岸本さんはどういう思考回路でエッセイを書いているのか考えることにした。それでやっぱりいいなと思うのが、岸本さんの場合は、日常の感情ではない、フィクション的なボケから何かを書いている場合もありそうだな、ということ。少し滾ってくる。

今日も改札を抜けた広場のベンチで缶ビールを飲んだ。
ずっとゲラニチョビを見ていて、公開日に4年前と書いてあるのが信じられないくらいに内容をよく覚えている。寂しい気持ちはAmazonを開き、6文字すべてが一発でカタカナ変換されること不思議に思いながら、DVDを購入させた。こんな心持にさせている原因の仕事は11月末まで続く。それまでの間、「epoch TV square」とバナナマンライブが順番に、注文されていくだろう。プレイヤーもない部屋に届くDVD、サンタさんに頼むプレゼントは決まったかもしれない。

2020年M-1スピンオフ「漫才論争へのアンサーLIVE」をアマプラで見た。
コントイン するか否か、コントから戻るか否か、それが二人ともなのか一人なのか、で漫才レベルを測っていく会議は見ていて楽しかった。

金曜日
気候に合わせて自分がカーディガンを羽織るように、クライアントに合わせて代休が仕事の帯を締めて在宅に変わる。メーカーから来る要求の風は強い、余裕で企業を嫌いになる。
ヤンタンが何十年ぶりに週七帯番組リニューアルするにあたって、Aマッソのレギュラー番組が決まった。両A面開始からわずか一年で、両方表のコインはジャックポットに吸い込まれていったらしい。嬉しい。
「なおざり」をずっと「おざなり」だと勘違いしていて、しかし「おざなり」の方が言葉のイメージにあってるように今でも思うのだけど。メーカー腹立つ。不祥事メーカー組織改編期にあたる社内確認スケジュール調整腹立つ。
本当にこの一週間心がこわばっているようで、『なんらかの事情』を読んでも心が温まってこない。傘のことを、雨宿りをポータブル化したもの、つまりは珍道具だという文章に救われる。

土曜日(9/11)
目覚めたときから体を持ち上げる気力がわかないまま、昼過ぎまで布団で『結婚アフロ田中』を読む。
芸人審査員時代のキングオブコントがTVer配信されていて二年分見た。2本目ができるコンビ数が多いのもいいし、優勝者発表ブロックが2分しかないなかでの浜ちゃんの完璧な尺読みも見どころ。審査員が変わるインパクトを自覚しているのは当然として、それを無駄に演出がけて何に向けて開催しているのかわかりづらくしている今年のKOCと比べ、総じて近年の大会より生放送のラフなお祭り感が強くて楽しかった。
崎山蒼志「過剰/異常」がとてもいい曲で、繰り返し聞いた。この曲についても触れているつやちゃんのインタビューも読みごたえがある。

何も食べないまま家を出たら途中から変な汗が出たので立ち食い蕎麦に駆け込んでスタジオに向かう。霜降り甲子園のBGMで流れるOfficial髭男dism「宿命」がやたらいい曲に聞こえるようになった状態で仕事を二本終え、フラフラのまま乗り込んだ丸の内線から立ち食い寿司屋まで、電話を無視し続けて新宿に戻った。
蒸し暑いと感じない路上が自分たちの仲間だとすっかり忘れていたように、何かを忘れているのだけどそれを思い出せないまま、路上の2階みたいな場所でのんびり過ごした。回るジャングルジムのある公園からゆるゆる歩き、駅で切符を買うにんじん(=あき)とじゃがいも(=たろう)のウソップ海賊団は解散した。

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