なるようになれ。

頭を縦に振り、小刻みに片足を揺らしてリズムをとっていた。
低く芯のある女性ボーカルの知らない曲が、知らないけどカッコイイと感じる曲が流れている。

音楽以外に何があるだろう。中身を味わったあとに名前を確かめるものは。
大抵は大まかなルールを確認したり、見た目の印象で決める。
とりあえず味わってから名前を調べるなんて。余程気に入っている定食屋だって決まったものしか注文しない人も多いというのに。スーパーの試食を連想してみたが、あれだって美味しそうに見えるから試す。いきなり口の中に焼きたてウィンナーを放り込まれる訳では無いから主導権はこちらにあるように思う。

匂いとも少し違う。　
魅力的な匂いに、ふと「今のはなんだろうと」惹かれることはあるけど、そこで目的を完結しているわけではないし、呼吸をする動物の特性を利用した戦略的なアプローチなのだからまた違うだろう。
音楽は完結している。
聞いた人が楽しみ、好きな曲だなと感じた時点で本質的には完結しているように思える。

自分のせいかもしれない。自分の好奇心が退屈しているのかもしれない。
こんな取り留めのないことを書いている今には好奇心が反応しているから、着地点も無いのに楽しいのかもしれない。
好きなことに夢中になってる人は、スルリと外側をすり抜けて中で楽しむから、こんな疑問を感じる暇もないはずだろう。いつから無料のプロモーションを吟味するのに時間をかけるようになったのか。
汚れる場所まで把握してから砂場に向うのはつまらない。砂場に行くなら、なにを作るかに胸を踊らせるべきか。それよりもお気に入りのシャベルを握って、まず何より先に砂場に入りたかったはずだ。なのに、いつからか天気予報を見ている。

余計な経験がこびり付いた脳に邪魔されないように、好奇心を子供のままにしたい。