誰のものでもない

　夏と冬が行ったり来たりする空と、それを鬱陶しく感じ始めた４月の朝。「雪以外なら、なんでもいいよ」と言った日が、こんなにも恨めしくなるとは思ってもみなかった。今日は30℃、昨日は17℃。エアコンでも、そんな極端な設定にしない。
　休日出勤を終えたら何をしよう。映画館に行きたいなと、朝から1日の終わりを楽しみにするのが習慣になってしまっている。もうすぐゴールデンウィークだけど、暦通りの飛び石連休。特に予定を入れることもない。ニュースで見る楽しそうな人間活動は、あくまでもテレビの中の出来事で、ガラス一枚挟んだこちら側の世界では起こらないイベントだ。
　汚れた色の雲が、山と空の境界線を隠しているから、ドライブには向かない景色。くたびれた靴下を放り込んだ洗濯機の中の色だ。

　と、わざとダウナーなことを書いてみる。だけど、そんな気分で週末を過ごす気はさらさらない。飛び石連休だって気ままに出かけるし、仕事帰りの映画館だってアニメ「ブルーロック」の予告を見て、面白そうだなと公開を待っていたんだ。
　１日全部、僕のものだ。スキップ再生はしたくない。できれば早送りも。
　汚い空でも、面白いことは起こる。