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ある日の昼前に〔詩〕

根拠の無い
愛だとか優しさとか
そういったものを大切にした世界に
納得できない時間が訪れる

だから分析し
シンプルな項目に細分化して
順番に書き出していく
それが解明するのは当たり前なくらい
彼は優秀だったから
世界は
再現可能な「根拠の無い」ことを
完全に複製して
価値が薄くなったことを気にせず
口にする

彼はひとり
黒板に書き出していく
自分が納得するまで
チョークを押し当て
誰に見せるわけでもないのに
順番にこだわって書いた
そんな
ある日の昼前に
シンプルな項目が綺麗に並んだ

彼は数学者ではないから
そういった学者が思う“それ”とは
違うだろうが
その
順番と個数と
プラスとマイナスが意味が無いようで
かけ合わさったマイナスが
シンプルに溶け合う

勉強したての子供が思わず挙手したくなるような

パズルゲームなら最後に全部消えてしまうような

そんな
収まる所に収まった“綺麗”

少し開いた窓の隙間から
カーテンを押して入る風
汚い部屋の埃に
昼前の光が反射して目眩がする
毎日吸い続けるチョークの粉に
トリップする
彼は黒板を見渡す場所に立ち満足した

彼には分かる
根拠など無い





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