ピサロ「進化の秘宝」って、なんだろう?
こんばんわ。ねこぐらしと申します。
待望だったドラクエモンスターズ3が発売されて早1ヶ月。
残念ながら私のswitchはスティックがお陀仏してしまったので、未だ楽しめずにいます。
さて、そんなモンスターズ3の元ネタとなっているドラクエ4の魔界系男子ことピサロ様。
彼がラスボスとして怪物に変化する際、進化の秘宝と呼ばれるアイテムを使用していました。
リメイク版ではピサロ様の変貌の様子が精細なドット絵で表現されていて、子供ながら興奮したのを覚えています。
腕が生えたり、目が増えたり、それはそれはグロテスク。
進化って、こういうことなんだな!と、幼い私に見当違いの概念を覚えさせた罪深い作品でもあります(のちにポケモンで無事上書きさせました。
ということで今日語りたい議題は「進化」についてです。
進化ってロマン。
ポケモンは進化(evolution)していない。
冒頭でポケモンの話題を挙げましたが、実はあの生物達の「進化」の概念は、現実のものと異なります。
同一個体が別形態へと変化する現象は「変態」です。
進化は、基本的に種族全体が世代を通して変化していくことを意味します。
”とものり”って名前を付けたピカチュウがライチュウに進化したとしても、”とものり”って個体が変態しただけなので、進化の概念には当てはまりません。
なのでポケモンの「進化」は誤用だったり。そういうゲーム用語として認識するのが楽ですよね。
ただ、最近のポケモン、アローラの姿って概念が加わりましたよね。首の長いナッシーとか。
あれに関しては、進化っていっても良いんじゃないかなって思います。
ダーウィニズムって?
ここ最近、私の周りでダーウィニズムという単語をよく耳にするようになりました。
私から解説するのもなんですから、この場をお借りしてchatAI君に答えて頂きましょう。
ダーウィニズムとは、TV番組『ダーウィンが来た!』より世間からの認知度がグッと増したチャールズ・ダーウィンの進化論だそうですね。
さらに詳しく調べてみると、進化(evolution)という言葉を普及させたのはイギリスの社会学者:ハーバート・スペンサーという方で、現在のダーウィニズムの内容はこのスペンサー論が基礎になっているとか。
むしろ「最強者生存説」に関しては、ダーウィンは考えを改めたそうです。
ダーウィンが積極的に訴えていたのは「変化を伴う系統」(descent with modification)でした。
自然選択によって生物が姿や形、特性を変えていくのは「進化」ではない。
ただその環境に適応していくだけ。あくまで「変化」
そうでなければ、現在のような多種多様な種が誕生していることに説明がつかない。進化が進めば生物は単一化していくはずだ。
「それぞれの種や個体が多種多様なベクトルを選択をしているだけ」と、晩年のダーウィンは「進化」について言及を避けていたそうです。
「進化」が「生命」を作った?
ダーウィニズムの話と並行して、生物の死とはなんだろう、と興味深いお話をされている方がいました。
生物学者の小林武彦先生という方で、彼の出されている著作の中のお話です。
どんな生物でも逃れられない特性があります。
それが死です。
長寿な種はあれど、死を克服できた種はありません。
著者の中では、生物は「進化」によって自死遺伝子(自分で自分を殺すための遺伝子)を埋め込まれている、といったことを説明しています。
ざっくり要約すると「進化」ってプログラムが偶然38億年前に動き出し、そのプログラムが自然選択を繰り返すアルゴリズムを組み込んだ「生命」を産み出して、いまだに実験を繰り返している、とのこと。
私の解釈の問題かもしれませんが、かなりびっくり理論ですよね。
「生命」が「進化」するものだと思いこんでいた私としては、この説は衝撃的でした。
「進化」が主体にあり、その結果に生命がいる。
生命は、ある意味、進化の実験体(モルモット)。
こちらは明確に「進化」と表記されていました。
どうも単純な「環境適応による変化」では説明がつかないそうです。
進化の秘宝ってなんだったの?
急に俗な話に戻って大変申し訳無いんですが、じゃあピサロ様の進化の秘宝ってなんだったんだろう?
そもそも、ピサロ、作中では大魔王扱いでしたが、元々は心穏やかな魔族の少年でした。
彼は最愛の相手であったエルフ族のロザリーを、人間の私利私欲で殺されています。
彼は人間への復讐に取り憑かれました。魔族から始めた戦争ではなかった。
ピサロは「人間を滅ぼしたほうがよい」と決意しますが、それには克服しなければならない問題があった。
人間の力が強大であったことです。
特に勇者の家系がやばい。
魔族は何世代にも渡って、勇者の系列に何度も撃退されてきました。
だからこそ、彼はオープニングで勇者の里を滅ぼしました。
しかし人間の団結力はすさまじいもの。
勇者不在であっても、各国が草の根活動を続け魔族に猛反発。
人類を滅ぼしきるには、魔族の兵力が明らかに足りません。
ひょんなことから生き残っていることが判明した勇者の末裔。
ひよっこだった勇者もその血のおかげか、レベルがガンガン上がっていく。
魔族がすべて斃されるのも時間の問題でした。
「死」という概念を克服する必要がある、とピサロは考えました。
それこそ自身の肉体を変貌させ、不死身になる「進化の秘宝」というアイテムでした。
ピサロが「進化」を選んだことは悲しくも興味深い。
進化は、上位の存在になること。
人間に比べれば魔族は劣っていると、ピサロは無意識に認めていたのでしょう。
傲慢で、私利私欲で人を殺める、そんな人間が自分たちより上位だと認めるのは、どれだけ屈辱だったことでしょう。
・・・
正直、彼のバックストーリーを知った後
「え、この流れでピサロ倒すの?それこそ人の心なくない?」
ってなっちゃいました。
ピサロの人間くささは、単なる悪や魔として切り捨てるにはあまりにも抵抗がありました。
え?? 理不尽じゃない??????
いやいやいや、人間という種が巻いた種なのに、なんでピサロが最終的に無関係の人間に討伐されにゃあかんのでしょう???
ゆるさん人間どもめ。
すみません、書いててなんだか感情が湧きだってきました。
少し落ち着きます。ふーふー。
進化の秘宝を使った後のピサロは、ロザリーへの気持ち、人間への憎しみを忘れていました。
正確には、憎しみや怒りや絶望という感情は残っているけれど、記憶は何一つなくなっていた、というのが正しいでしょうか。
極めて原始的な感情だけが心に残ったまま、魔界に佇み続ける時限爆弾のような存在になった彼を、人類が放っておけるはずもない。
勇者たちがやるせない気持ちを抱えたまま彼を討伐したことで、物語は幕を閉じたのです。
進化の秘宝とは、勇者という種が魔族という種を淘汰することを想定した「進化そのもの」が仕掛けたプログラムだったのかもしれませんね。
(実はエンディング後に続きはありますが、ぜひみなさんの目で確かめてみほしい。)
思考を広げてみることの楽しさ。
ピサロは進化をしました。
体が巨大化し、焼かれても切られても直後に再生する細胞を手に入れ、トラウマたる記憶であるロザリーとの思い出も捨て去り、本能のまま破壊行動を続ける獣へ。
一見すれば、これは進化なのか?と首をかしげてしまいそうな姿。
自然の選択、すなわち、生命としての原初のプログラムが彼から理性という種を奪うことを良しとした。
ダーウィニズムになぞらえて、進化の積み重ねの果てに「最強生命体」がうまれるならば、なぜ生物に自死や自壊の遺伝子が備えられているのか。最強なら、死ななくて良いはずなのですから。
進化は、例えば勇者とピサロ、そのどちらかを無慈悲に、無感情に選び存続させる。
もしも、それに「神様」という名前をつけるなら、本質はとても無機質なプログラムなのかもしれない。
ちなみに今一番やってみたいことは、ピサロの人格を学習させたAIと対談してみることです。夢女子か。
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