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プロ野球とVtuberコラボあれこれ、と雑感

 最近、プロ野球とVtuberのコラボレーションが次々と生まれています。

 既に始まっているものとしては、「キズナアイ×読売巨人軍コラボレーショングッズ」10/3から発売されました。キズナアイは以前、BS日テレで冠番組を持っていたりと、日頃から運営側に日本テレビ系列とのコネクションが目立ちますので、今回もその一環で生まれた企画ではないかと思います。

ちなみにプロ野球球団とのコラボレーションが発表された順としては、にじさんじ「パ・リーグ6球団 × にじさんじ」に続いて今年2例目でした。

<11/29追記>コメントにてご指摘を受け調べたところ、Vtuberとして最初にプロ野球とコラボしたのは2018年の「富士葵パリーグTV実況」のようです。こちらのお話を受けて、文章を一部修正しました。

 余談ですが、私はこのコラボグッズを見て、やはりキズナアイデザインは秀逸だなとあらためて思いました。

 頭の上のピンクのピョコピョコというアイコンをつければ、Gマークだろうがなんだろうが、みんなキズナアイのグッズにすることができるというのは、やはりデザインの勝利だと思います。

 しかもキズナアイは、3Dでの運用しやすさの為に、片袖分離の上半身にショートパンツにハイソックスという簡素な作りの通常衣装にしたことが、多分開発時にはそこまで意図してなかったろうとは思うのですが、今回のようなコラボグッズでのコスチュームチェンジ時に日頃との差を生みやすくコラボグッズでのコスチュームがより映える効果を生んでいるように感じます。

これは、日常的に衣装を頻繁に変えていたり、また着ている衣装も現実離れした割と派手なものが多い後発のVtuber達にはあまりない持ち味ではないでしょうか?


 また、さらに今回キズナアイの運営がよく対応出来てるなぁと思ったところなんですが、以前キズナアイは甲子園の紹介をする動画で阪神タイガースのマスコット「トラッキー」と共演したことがありまして。

今回の読売巨人軍コラボ発表でそのあたりがちょっとだけ話題になったんですが、コラボ発表の時にはきちんとその動画を非公開にしてるんですね。こういうきちんとした処置や配慮は、Vtuber運営として他企業も見習ってほしいところだなと思いました。


 次のプロ野球の話題は沖縄の琉球ブルーオーシャンズ沖縄のご当地Vtuber根間うい10/5、バーチャル応援大使に就任しました。

 琉球ブルーオーシャンズは2019年に生まれたばかりの新しい球団という事もあり、今後どういったプロモーション活動が行われるのか未知数な部分が大きいですが、根間うい沖縄テレビに冠番組10/4から持ったことも合わせて考えると、地方局番組での1コーナーでの宣伝等が中心になるのかもしれません。



 次は、にじさんじ

 発表は9月上旬と最も早かった「パ・リーグ6球団 × にじさんじ」の方は、10/10パーソル パ・リーグTVでの舞元啓介魔使マオの異色コンビによる試合実況を皮切りに、10/16から楽天コレクションやセブンイレブンでコラボレーショングッズ販売などが行われるようです。

こちらは現時点では、良くも悪くもコラボレーショングッズの「等身大アクリルスタンド: 330,000円」に、話題を全部持っていかれてる印象があります。

また参加メンバーとしても、今回はライバー人気重視の選出のようで、野球に興味があるメンバーからあきらかに興味がなさそうなムーブを見せるメンバーまでさまざまです。

なので、このメンバーで今後この企画はどういった展開を見せるのか?それともただのグッズ販売で終わるのか?などが色々と気になるところではあります。

ただ、案件依頼側のパ・リーグに関しては、10年以上前からパシフィックリーグマーケティング株式会社という6球団の合弁会社がこの手の案件に携わっており、過去にもウルトラマン仮面ライダーからアイドルマスターシリーズに至るまで、数多くの野球に特に関連性のない相手とのコラボ企画を行っている実績があります。

さらには同社が現在「パ・リーグTV」という名称の動画配信サービスを行っている中で、パ・リーグTV公式キャスターのVtuber「パテピュア」という6人組を運営するなど、今回は案件依頼側がコラボVtuberにかなり理解度の高い企業だったりしますので、特におかしな出来事は起こらないのではないかと思います。

もっとも、同社のこれまでのイベントの傾向と推移を見るに、案件の追加の可能性や、今後の案件の継続性もあまり高くないのかもしれない、という懸念もあったりします。

 また、これに先立ってにじさんじでは、9/11にニコニコ生放送で舞元啓介社築横浜ベイスターズ中日ドラゴンズの試合を観戦する案件もあったのも、記憶に新しいところです。

なお、こちらは終始野球に詳しい二人がファン目線で雑談する楽しい企画となり、ニコ生アンケートの結果も98.7%という好評価を残したことが話題になっていました。


そしてにじさんじはもう一つプロ野球案件が。

広島ホームテレビの深夜バラエティ番組「カープ道」10/14放送分樋口楓が講師役で出演し、またそれに合わせて広島ホームテレビのオンラインショップ「ぽるぽるSHOP」樋口楓広島東洋カープのコラボレーショングッズの発売が同日から開催される、とのこと。

こちらは純粋にライバー本人が以前からファンを公言していたこともあり、それが上手く案件につながった形かと思われます。にじさんじの企業としての営業力の強さが垣間見れるようで、個人的にも良いニュースでした。


 さて、こうして色々と紹介してきましたVtuber×プロ野球のコラボレーション。

直近の某感染症の影響とステイホームの合言葉で、エンターテイメントとして試合の興行が顧客に提供できずに大きな被害を被ったプロ野球業界と、それとは対照的に、家にこもった人が増えた結果、市場拡大に大きく追い風を受けたVtuber業界が手を取り合う、というのはちょっと皮肉なとりあわせのような気もします。

ですが、日本のエンターテイメントとしては最大規模のプロ野球の球団とVtuberがコラボレーショングッズを出せるようになったり、地方局の番組に出演したり、という出来事自体は、Vtuberの認知度が多少向上したことの一つの証明のような気がして喜ばしい案件でもあります。

少なくともキズナアイについては、他の野球選手のグッズの隣に彼女のグッズが並んでいても、ほとんどの人が「なんだこりゃ?」と不思議がらない程度の認知度にはなった、という事でしょうし、

根間ういにしても地方局に冠番組が持てる程度の県民認知度に成長している、という解釈が出来ると思います。


 またにじさんじの案件に関しては、先日のにじさんじ公式のメンバーシップ配信「麻雀いちから杯」内で、田角社長もちょっとだけ口にしてらっしゃいましたが、この夏開催されて最大同時接続者数19万人をたたき出した舞元啓介主催の「にじさんじ甲子園」にじさんじの営業材料として大きく活躍したようで、今回はその結果生まれた案件のように思われます。

 なのでこれらのにじさんじの案件については、今後も上手く定着してゆくかどうかが、今回の案件の結果次第でだいぶ変わってくるのではないかと思います。

少なくとも、前者2人のVtuber個人の認知度による案件受注とは違い、にじさんじの案件は同時接続者数19万人という動員実績を企業側が目当てにして発注した案件であろうと推察されるからです。

なのでにじさんじについては今後の案件結果が良ければ、類似案件が出てくるでしょうし、逆に結果が芳しくなければ、以降プロ野球案件が全く姿を見なくなる可能性もあります。個人的には業界全体の今後の為にも、ぜひとも成功して欲しいところです。


 10月に入り、プロ野球の開催スケジュールもあとわずかになってきました。9月から立て続けに増えたVtuber×プロ野球のコラボレーションですが、今後も増えていくのでしょうか?

できることなら色々と面白い種類のコラボレーションが生まれてくれることを期待したいと思います。



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