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にじさんじの清楚エロ枠、ニュイ・ソシエール3Dお披露目での挑戦は別にセンシティブな方面に限らない

 11/6配信の、にじさんじ所属ニュイ・ソシエールによる3Dお披露目配信【#おニュイ3D】ニュイさんって魔女だったんですか?【にじさんじ/ニュイ・ソシエール】は、色々な意味で刺激的で、日頃感想を書く身としては、なんだかすごく書くことがいっぱいある配信でした。

 お披露目された3Dアバターはにじさんじでは初となる、おんださんによるクオリティの高い造形で、3Dになりえるとは思えないほどの特徴的な2Dデザインを、多少胸がナーフされたなどとはみじんも思えない印象で見事に再現。

(ちなみにおんださんは、おんだ式ミクやホロライブの白上フブキ、アイドル部3Dの半分ぐらいを担当されていた有名3DCG原型師さんです。)

 そしてお披露目の内容も、競馬好きという本人の特徴を生かしたライバーたちが馬に乗って走る「競馬パート」、デビュー当時から設定はあったけれど誰も見たことがなかった炎の魔法使いっぷりを披露した「魔法パート」、黒子役でやってきた同期デビューの葉山舞鈴と二人でホラーゲームに挑む「3Dホラゲーパート」、そしてラストに『Lamb.』と『爆乳音頭』の2曲を披露した「ライブパート」と、全体を通してかなりギュッと詰め込まれた、ここ数回の3Dお披露目の中でも非常に中身の充実した配信だったのですが。

まずはそれよりも何よりも、今回は「いつ配信が強制終了するかわからない3Dお披露目」という点が実にハラハラドキドキさせられました。


 これはお披露目配信告知の際にニュイ本人の口からも語られていましたが、とにかく本人の3Dアバターが非常にセクシャルYouTubeの性的表現に対するコンテンツ判定に抵触する可能性があり、その上さらにそのデザインの影響で画面に占める肌色面積が大きい場合に起こるYouTubeのコンピュータ自動判定によるBAN(利用停止)を食らう可能性も非常に高い、という危険性があったためなのですが。

その為、この配信ではさまざまなBAN対策らしきものが取られていました。


 まず配信のサムネイルは当初赤色背景だったものから灰色背景へ変更されました。これについては後日談で語られていましたが、おそらく画面全体における赤色面積が大きいことで自動でグロ判定とみなされYouTubeから警告が出ていた為に修正したとのことです。

 またこちらについては別にニュイに限ったことでもないようで、次回3Dお披露目予定の「家長むぎ新3Dお披露目配信」のピンク基調のサムネイルもまた現在YouTubeの広告制限判定が出ているとのことです。こちらも修正されたりするのでしょうか?

【雑談】17歳になりました~っ【にじさんじ/家長むぎ】内発言より)


 そして内容の工夫としては、序盤の「競馬パート」ではワイプ画面演出等を多用してニュイ自身の3Dアバターをアップで映す構図を減らし、背景の競馬場のカラーリングにアバター衣装と同系色の黒色や赤色・レンガ色を増やす(本来の競馬場のカラーリングではあまり使用しない色を多用)などされていました。

また「魔法パート」では本人単体をアップにする場合の構図が、他の3Dお披露目ではよくあった「腰から上」の構図から「太ももから上」を映す構図に変更。

「3Dホラゲーパート」では、葉山舞鈴が手持ち看板で恐怖にしゃがみ込むニュイから見えるセンシティブな部分を隠す工夫をしている……、風に見せていますが、実際は2人を小さく右下に映すことで最も判定されにくい安全なパートになっていました。

そして「ライブパート」でも背景色は暗くして、モニターにも過去のMV等は使用せず色合いの切り替わりの多い映像を使用、またカメラのカットを非常に細かくとって、アップ時間は短く、様々な角度からダンスを見せる遠距離中心のカメラワークになっていたのは実にお見事でした。


結果的には配信中盤の「魔法パート」で一度機材トラブルによる中断こそあったものの、最後までBANされることはなく、配信アーカイブも残ったので、この様々な挑戦は成功したと言えると思います。

 また内容的にも全体としてバラエティ色が強調されたコンテンツとなっており、YouTube本来の「年齢制限」や「広告に適さない」等の判定にも現在まで抵触していない模様です。



 さて、なんだかYouTube対策についてだけ長々と書いてしまったので、ここいらで内容にも触れたいと思うのですが、まずは「競馬パート」から。

鷹宮リオン夜見れなアンジュ・カトリーナベルモンド・バンデラスエクス・アルビオでびでび・でびるリゼ・ヘルエスタ舞元啓介の8人の3Dアバターと馬のアバターを動かしての競馬を再現した箇所については頑張ったとは思いますが、いかんせん画像の荒さは目につきました。

特にここは完全に「事前に収録した動画」でしたから、クオリティについてはもう少し時間をかけることが出来れば、もっと画像の精度は上がったと思われるだけに、画像の荒さで「アンジュが馬にドーピングして1位を取る」などのネタが本番の配信中に拾われずに終わったところはもったいなかったなと思います。

しかもよくよくコマ送りして見ると、アンジュがドーピングしたフラスコ内の薬剤ってちゃんと、でびでび・でびる3Dの時の「ワイン風呂」と同じく「流体表現の効果で透過して揺れてる」っぽいんですよね。これだけ全体映像が荒いと正直誤差以外の何物でもないですが。

あと、舞い散る馬券演出がスーパーチャットと連動しており、金額に応じて万馬券が降ってた……らしいんですが、これに関しては全く分かりませんでした。

そして乗馬のシーン。ここについても前回の葉加瀬冬雪3Dでの「平均台の鉛筆」で見られた「実際にある物体に別の3D映像を投影する」効果を使ってニュイを馬の背中に乗せてましたが、手綱も鐙もセット出来て無いところを大目に見るとすれば、馬のモーションと3Dアバターの組み合わせはお見事でした

またこちらの「競馬パート」の技術的な見どころとしてはもう一つ。

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競馬の導入部分も、動画の部分も、そして乗馬の部分も、登場するアバター全てに影がついています。この効果により3Dアバター特有の「接地感の無さ」がこのパートではありません。

これは推測ですが、このパートでニュイ自身の3Dアバターが大きく動作する場面が、動画の競馬部分以外でほとんどなかったのは、ひょっとしたらこの影の表示効果を使っていた影響からなのかもしれません。実際この効果はこのパート以外では使用されていませんでしたので、この効果にはかなりのマシンへの処理負荷の高さが推察されます。

(11/9追記、コメントにご指摘があり記述を一部修正・削除いたしました。他にも情報をお持ちの方や誤り等お気づきの方がいらっしゃいましたら、コメント等でお知らせください。)


さて、続いて「魔法パート」ですが、こちらはもう挑戦的な悪ふざけ全振りです。

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炎の魔法を使う姿がどう見ても「かめは○破」「界○拳」だったニュイ、このパートでは一言もしゃべっていないのに動作で中身を推察されてしまった葉山舞鈴、左右の胸の巨乳化加工も均等にされてない雑さ加減なのにアバターの表情だけは妙にこだわって登場した舞元啓介(アバターのみ)、実はこの「巨乳化の魔法」企画の発案者だったことがニュイ後日談で明らかになった夜見れな(たぶん通話出演)と誰をとってもツッコミどころだらけ

最終的には視聴者からも「百鬼夜行」といわれる始末だったこのコメディパートは途中配信が機材トラブルによる中断になったことも含めて、最も視聴者層の注目を集めた部分だったように思います。

半面、技術的にはあまり変わったことはしていません。炎の魔法演出等に、最近の3Dお披露目でよくやっていた「特殊効果に効果音SEをつける」演出がなかったことは個人的には少し残念でした。


次は「3Dホラゲーパート」。ここはニュイの悲鳴による鼓膜破壊攻撃に耐えながら、葉山舞鈴の介護無双を楽しむコーナーでした。

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ニュイの大音量の悲鳴は、聞くたびにSkyrimの「揺るぎ無き力のシャウト」とかをちょっと思い浮かべる破壊力でしたが、そこをテキトーにあやしながらあの手この手でひたすら前に進ませる葉山舞鈴いい加減な合いの手と、悲鳴にあわせて一緒にビクつく姿はまさしく本配信のMVPだったように思います。

個人的には、ゲーム中に言ったヘー○ルハウスのCMネタが葉山に通じなくてジェネレーションギャップかな?とニュイが悩むシーンとかが好きでした。この乳山同期2人はいつもコラボ配信の時に程よい距離感があって、個人的にはお気に入りのペアだったりします。


そして最後は「ライブパート」。1曲目の『Lamb.』は元々使う曲が配信日の約1週間前に使用不可能になって、急遽振り付けを覚えてる曲で、という理由で選曲しなおしたと後日談で語られていましたが、すごいダンスの完成度でした。

またこの曲を使うにあたって1週間で音源作成を担当した弦月藤士郎はなんかもうにじさんじになくてはならないMIX師になってますね。他の人に断られたり、1か月ぐらい製作期間を提示された音源作成を、1週間で完成させたってエピソードはちょっと驚きました。

そして2曲目はまさかの『爆乳音頭』。この底抜けに明るいバカソングのコーラスに、アンジュ舞元葉山に加え、本間ひまわり天宮こころまで参加していたと後日談で聞いて改めて聞き直してみたんですが、舞元とか全然わかりませんね……。こちらも振り付けや歌までお見事でした。

なお、今回はこちらも技術的なライブステージの注目ポイントがあります。

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それがこちら、スポットライトとは別の画面上部からのレーザー光線演出。そして床部分に3Dアバターを反射した姿が映ることで、競馬パートの影演出と同じく「接地感の無さ」を消す鏡面演出です。

これ、おそらくにじさんじではどちらも最近使われだした技術ではないかと思うのですが、実はこの手の光の演出はVtuber業界では主にホロライブの3Dライブで多用されている傾向があります。特に鏡面演出星街すいせいの3Dライブ配信等で目立っていたので気が付いた方も多いのではないでしょうか?

(詳しく知りたい方はこちらの記事で説明していますので参照ください)

 ただし、ホロライブ版の光学演出と今回の演出には大きく違う点がいくつかあります。

まずホロライブ版の場合、天頂方向からの照明で3Dアバター自身も照らされた箇所が輝く演出がありますが、にじさんじ版はその演出がないので、光がどの方向から照らされているかが3Dアバターではわからないのに、床だけ天頂方向から照明が当たっているという不思議な状態になっていること。

またホロライブ版の鏡面演出は反射率が高く、カメラカットが上部からのアングルになるとステージによっては反射した下半身が鮮明に映ってしまうためカメラアングルに制限がかかる問題がありましたが、にじさんじ版はそもそもの反射率が低く設定されている反面、下半身が映ってもぼやけているためカメラアングルには問題が少ないこと。

そしてホロライブ版の鏡面演出ではスポットライトやレーザーライト光線も自然な形で反射して映るのに、にじさんじ版はどのライトも床面には全く反映されていないこと。

このあたりが現在の2社のライブステージ演出の違いです。いよいよにじさんじも3Dライブ演出に光学演出技術の導入が見えてきたのは個人的には嬉しい限りです。

また、カメラワークに関しては健屋花那3Dの時ぐらいからの特徴ですが、事前に決まっている振り付けにあわせたカメラのスイッチングが本当になめらかでお見事でした。

今回の後日談でカメラ専門の担当者がライブパートのみ、リハ2回でカメラワーク確認と打ち合わせを行っていることがニュイの発言で明らかになりましたが、もはやライブカメラワークに関しては他Vtuberの3Dライブと比較してもほとんど遜色のないポイントになっているように思います。


その他にも後日談では色々と語られていましたので、興味がある方はご覧になってみるのをお勧めいたします。


 さて、いろいろと驚き、呆れ、笑い、最後にはなぜか『爆乳音頭』を聞かされているのにちょっとエモい、という内容的にも技術的にも不思議かつ充実した配信だった今回の3Dお披露目でしたが、個人的にはこれまで色々と3D配信で披露されてきた「どこで使うの?」的な技術がきちんと内容に反映できる形で3Dお披露目企画やライブで使用されていたことが特にうれしく思いました。

 これから年末に向けて3Dライブやイベントが目白押しのにじさんじですが、今度はどんな刺激的な企画と技術の進化で私たちを楽しませてくれるのでしょうか。とても期待できる材料が今回はもらえたように私は思います。

次が楽しみです。


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