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『儒烏風亭』とはなんだろうか?を多少真面目に考えてみる

久しぶりになんだか誰の役にも立たない、自分がただただ思っただけのオチすらない話を書きたくなったので、とりあえず書きます。

いつものnoteとはまたちょっと毛色が違いますが、ご了承いただけると幸いです。だいぶ内容はいい加減なので、なんかおかしかったら教えていただけると幸いです。


まずは、中身の希少さの話

さて、ホロライブプロダクションに所属するVtuberに「儒烏風亭らでん」という、一風変わった人がいます。

「ちょいと一席付き合ってみませんか?」

伝統と革新に身を包み、落語家に浪漫を抱くおばあちゃん子。
新旧和洋を問わず文化・芸能を愛しており、美術館通いの結果、金欠気味の日々を過ごしている。決してお酒の買いすぎが原因ではない。
落語と出会ってからはより話すことが好きになり、噺作りにも挑戦中。

ホロライブ公式サイト内公式紹介文より

上記の公式紹介文からも垣間見えるのですが、彼女は文化・芸能・美術などの見どころやそれにまつわる雑学、歴史的側面などのアカデミックな話題の雑談などのコンテンツが特に魅力的な方です。

なので、どちらかといえば、おバカでおっちょこちょい、ややもすると若干非常識な個性やエピソードトークが目立ちやすい「Vtuber」というコンテンツの中でも、特に知性的な側面が際立っているという、Vtuber界隈でも割と希少なタレントさん、という印象が私としてはあります。

その話は、実に毎回面白いのですが、その一方でごく一般的なVtuberさんの雑談視聴と異なり、話の前後をキチンと押さえて聞いていないと「今、何について彼女が話しているのかわからなくなる」ことすらある彼女の雑談では、私は時折、まるで何かの有名教授のアカデミックな講義を受けているかのような気分にもさせられるのですが。

 もっとも彼女自身も日常的なうっかりエピソードなんかはお持ちですし、また、自身の好きなものを語る際の勢いには、だいぶ狂人的な熱量やこだわりを感じることもできる方なので、そういう所については実に配信者的、Vtuber的な方なんだなとも同時に思います。

(一応念のために書いておきますが、もちろんこの印象はあくまでも個人の主観なので異論は当然認めます。)

とにかく私にとって彼女は、いつも見ているVtuberたちとは少し違う見方と時間の使い方を要求される、そんな不思議で特異な存在だったりします。


次に、最近よくわかった姿形の話

で、この「儒烏風亭らでん」という方についてなのですが。

この方から垣間見えるアカデミック的なこだわり、というのは別に中身だけに限った話ではなく、例えばそれは彼女の外観からも見えてくるものがあります。

例えば初配信からデビュー3日目まで、ずっと被っていた「能面」なんかはその中でも最も分かりやすい例ではないでしょうか。

他にも、下の三面図から見える彼女の姿形に注目すると、衣装のゴスロリ服のスカートは洋式のステージで使用される緞帳のイメージなのに、その一方で、服装全体の色味は主に歌舞伎で使われている和式の舞台の「定式幕(じょうしきまく)」と類似の三色カラーリング(黒色、柿色、萌葱色)だったりしますし。

また、首のチョーカーが家紋の「三ツ組橘(みつくみたちばな)」モチーフだったり、落語家要素であるところの扇子や羽織に入っている紋のデザインが日本神話由来の「八咫烏(やたがらす)」だったり、といった形で、彼女の姿形には、そのいろんな箇所に、歴史や文化を感じさせる要素が詰まっています。

こういう彼女を構成する要素は、先日の配信【カオミン先生インタビュー】らでんのデザイナーカオミン先生にいろいろ聞いて来ました。【儒烏風亭らでん #ReGLOSSによると、それぞれの要素の発案元が誰なのかは、運営サイドだったり、イラストレーターさんだったり、本人発信だったりと色々あったようですが。

いずれにしても彼女らしいアカデミックなこだわりみたいなものが、彼女の雑談配信などと同様に、その姿形にも随所につまっているのはとても面白いなと思います。


そして、いまだにわからない苗字の話

さて、ここまで。
外側から中身まで、色々な所に誰かのアカデミックな意図やこだわりが含まれていそうな彼女「儒烏風亭らでん」をザッと紹介してきたのですが。

そんな彼女を形作る構成要素中で、私は一つ、どうしても意図が図りかねているものがあります。

それは彼女の名前、特に苗字の方です。

らでん」という彼女の名前については、まず間違いなく螺鈿細工から取っているだろうというのは、彼女の配信内での発言や、彼女の瞳の真珠光のような青みがかった七色あたりから、誰でもある程度の察しはつくと思われるのですが。

その一方で「儒烏風亭(Juufuutei)」という、画数は多いし、謎に母音が「U」だらけの彼女の苗字は、唯一無二でありながらどういう意図やこだわりが含まれているのかをイマイチ測りかねる部分があり、かといって、少なくとも私は配信の中で彼女がそれを語る姿をまだ見たこともなく。

(一応設定的には彼女は「儒烏風亭一門に入門した」形なので、本来は彼女が考えたものではない、という建前には当然なるのでしょうが)

この「これだけ随所にこだわりを見せるキャラクターが、苗字にだけ何の意味も含んでいないなんてことがあるんだろうか?」「なにを考えたらこんなへんてこりんな苗字をつけるんだろう?」という疑念は、彼女のデビューからずっと、私の中ではどこぞのオーパーツぐらい不思議なモノとして、心の中で半年ぐらい鈍く光っていました。

と、いうわけで、今回ここではこの謎の苗字「儒烏風亭」ってどういう意図でネーミングされてるの?と、私がどこに疑問を持っているのか?を勝手に考えたり、書いてみようと思います。


さて、ではまず謎の苗字「儒烏風亭」をどこから考えるか、なのですが。

まず最初に、とりあえずその単語が持つ独特の音「Juufuutei」に関しては、考えるの自体をここではあえて捨てたいと思います。

Juufuutei」は、かなり口にすると独特の音なので、もしかしたら、かつて「エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)」の音をもじって「江戸川乱歩」が誕生していたり、「くたばって仕舞え」の音から「二葉亭四迷」が誕生したような独特の音による成り立ちのように。

例えばこの謎に母音のUの音が多い「Juufuu」が中国語のビンイン発音で「祝福(zhùfú)」に似ている、みたいな感じで(これはかなり強引ですが)、「Juufuutei」や「Juufuuteiraden」についても同様に類似音をもじっているネーミングの可能性は必ずしも否定できないのですが、ちょっと思い当たるものがすぐには出てこない上に、流石に照合範囲が広すぎます。

という訳でここについては誰かいいのを思いついたらコメント欄で「これなんてどうですかね?」とか、いただけたら嬉しいです。

美術芸能芸術、少しずれて写真カメラ芸術家関連、ギリギリ外れてもお酒タバコあたりの用語から来る音の類似物とかがあれば、それっぽいような気がするのですが……。


では次に、漢字の組み合わせをちょっと考えてみたいと思います。

とりあえず「」「」「」「」の4つを考えていくにあたって、まず一番発想がしやすいのは最後の「」でしょうか。

この「」の漢字の元々の意味は、休憩所やガゼボ、あずまや、みたいなことになるのですが、ここは公式紹介文の「落語家に浪漫を抱く」という所や、彼女の自己紹介挨拶の「儒烏風亭一門は前座見習い!」という口上、日頃の彼女の発言などから、主に現代では落語家が苗字部分につける芸名の「亭号」を意味していると受け取るのが自然のようです。

皆さんもテレビなんかで、三遊亭とか、笑福亭みたいな落語家の亭号を聞いたことはあると思います。とか立川林家柳家明石家とかもそうですね。自分で名乗ったりもしますし、一門として師匠から弟子に引き継がれたりもする奴です。

調べてみるとなかなか変なものも含めて、歴史の中には結構多くの亭号があります。

じゃあその亭号の中に「儒烏風亭」という亭号がそもそもあるのか?と思い今回ちょっとネットで調べてみましたが、私が見た中では見当たりませんでした。

儒烏風亭」自体はあくまでも架空の亭号と見たほうがよさそうです。


ただ、一つだけここで、気になる亭号はありました。

落語家で亭号を最初につけだした人は江戸時代の落語中興の祖、とも呼ばれる方だったらしいのですが、その方は烏亭焉馬(うていえんば)というお名前だったようです。

(ちなみに氏名の漢字に「」の他に「」も入ってる落語家さんは関連の資料を調べた限りではこの方だけのようでした。なお「」が入ってる方は姓名共にいっぱいいますが「」が入る方は一人もいません)

もしかしたら「儒烏風亭」の「」と「」はこの方にちなんで……、という可能性はひょっとしたらあるかもしれません。

では次に、「儒烏風亭」の文字から「」について考えてみます。

この「」という漢字については、まずこの漢字が前述の亭号についている落語家さん一門自体がめちゃめちゃ有名だったりします。

春風亭」というその亭号については、ちょっと落語に詳しい方ならどなたでもご存じの、聞きなじみのある苗字ではないでしょうか。

また、この「春風亭」一門の方のおひとり春風亭昇也師匠については、彼女自身が2022年の真打昇進披露興行を見ているぐらいの、彼女のホロライブでのデビュー以前からのファンのようなので。

案外この「儒烏風亭」という苗字自体も「春風亭」のモジり、というか類似性みたいなところからそもそも出来ている可能性は割とあるかもな、みたいな妄想がはかどったりもしています。

あるいは全く別で、例えば「」が「ミラノドリア」みたいな感じで、前の単語を「○○っぽい」的なニュアンスで受けている意図だけの文字、という可能性もありますが……。

そうなると前の漢字が「」と「」という、どちらも非常に何のことやら感のある文字を受けちゃうことになるので、どういう意図の苗字名づけなのかが本当に遠ざかっていくような気もします。

で、ここからがなんとも難しいのですが。

」については、前述の【カオミン先生インタビュー】の中で、「イラストの初期案では服装に入っている紋は当初カバー社の三角だったが、のちに『儒烏風亭らでん』という名前が知らされたので八咫烏の紋を入れた」と語られていました。

つまり「イラストに八咫烏があったから名前に「」が入った」のではなく「名前が先に決まってイラストがそれにあわせた」事が分かっています。

このことから彼女の命名をした人には、彼女の名前自身に「烏」を狙って入れた意図が何かあったのではないか?ということが考えられるのですが、じゃあここで「なんで彼女にカラス?」を考えると、実はあまりピンとくるものが浮かばなかったりします。

例えば、落語でカラスが登場する話は「明烏」「三枚起請」「駒長」「水神」など、まあ割と古今色々あるのですが、どれも内容が男女のやや艶っぽい話だったりするので、これが彼女のイメージに合うかと言われると、少々微妙な印象が私としてはあります。
これらの話を特に彼女が好き、というようなことも聞きませんし。

果たして「」には、一体どういう意図があるのでしょうか。

そして最後に「」なのですが。

こちらに関しては本当に「なんでこんな字を名前に入れるのかわからない」漢字で、意味がほぼ紀元前に孔子から始まった「儒教」関連ぐらいしか無いんですよね。

あとはあまり使われていない「やさしい」「よわい」「こびと」みたいな漢字の意味もあるにはあるようですし、一応コトバンクには「儒風」という似たような単語なんかも載ってたりするので、一瞬おやっ?となったりもしたのですが、いずれにしても儒教関連用語以外では、ほとんどがよくない意味の言葉です。

そして、こういう特定の思想・主義を表す漢字を名前に入れるという行為が、そもそもあまり、芸術等を語る時にも炎上を避けるために宗教や文化的背景をあまり含まない作品を選ぶような配慮をする彼女っぽくない感じもするのですよね。

なので私にとっては、この文字が一番不思議だったりします。



さて、という訳で。
ここまで毒にも薬にもならないようなオチすらも無い話をつらつら書いてみましたが。

この「儒烏風亭ってなんじゃらほい」って話題は、実は私はReGLOSS5人のデビューの時に、5人の名前の由来や名前の類似物をなんとなく検索してみた時からずっと思っていて、半年経ってもまだ解けない謎だったりするので誰かいい案だったり、「確かここで本人が喋ってたよ」みたいな話があればぜひコメントなど頂きたいなと思って書いた部分が実はあります。

もう正直、私としては集合知で無いと解けない謎のような気すらしています。この由来、いつか語られる日が来ないもんですかねぇ……。


とはいえ、こんな細かいことを考えるよりは、彼女の語るアカデミックな芸術・芸能・美術的な話に対して耳を素直に傾けているほうが、よほど人間的な成長、みたいな点ではタメになるのでしょうね。

なんにしても色んな意味で、これまで見てきたVtuberの方々とは違うところに魅力のある、気になる方です。

最近のVtuber界隈を見ていても思うのですが、これからはこういう得意分野語りにはっきりこだわりが感じられるVtuberさん達が、より増えて、より
バズっていくような、そんな気すらします。


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