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新春!にじさんじ麻雀杯二〇二一をやっと見終わったので、今更感想を書く

この記事は大会結果等のネタバレを含みます。未視聴の方スルー推奨です。

 ちょっとドタバタしたり、他のVの配信に浮気をしていたりしたので、一通りアーカイブを見終わるまでに日付が経ってしまったのですが、面白かったので『新春!にじさんじ麻雀杯二〇二一』の感想を書きたいと思います。

<1/15 ちょっとだけ追記しました>


 まず予選を見た感想ですが、思ってた以上に前回大会よりもちゃんと打てるライバーが増えたなあと感じました。

 前回が特に「麻雀エンジョイ勢の意図していないプレイ」にスポットが当たった大会だったので、私は今回もそれを期待して予選を見たのですが、今回はどちらかというと付け焼刃でもちゃんと勝ちに来てるライバーが多くて期待とは全然違いましたが、よりドラマティックな楽しみ方が出来たように思います。

 全部通して見どころのない卓はほとんどなかったのですが、個人的好みとしては、C卓ルイスのキチンとした麻雀での巻き返し、E卓で前回大会決勝戦の再現メンバーに雪辱を晴らしたグウェルG卓相羽ういはの剛腕を安い手の積み重ねでまくったジョー・力一I卓鷹宮リオンO卓文野環の成長っぷり、M卓家長むぎの異次元麻雀なんかが好きでした。

 また、こちらはトラブルではあるのですが、個人配信枠で畳配信(ゲーム画面を映さずに配信する事)や、他ライバーの音声をミュートにしたまま独り言の配信を行ったライバーが何人か出たことも、試合後のトークの材料としてちょっと面白かったです。

 それと、この記事を一度書き上げてからコメントをいただいて紹介忘れに気が付いたのですが、H卓空星きらめのラストの追い上げと予選突破と同時のチャンネル登録者数10万人突破は、この大会を象徴するような、いかにもにじさんじらしいお祭り感のある良い話題でした。

彼女は大会までに、本大会での協賛であるゲーム「雀魂」でのランクを、この大会では解説者クラスの「雀傑」まで上げていたりと色々と麻雀への熱意を感じる部分がありましたので、Vtuber界隈の麻雀での今後の活躍も期待したいところです。

(コメントをいただきましたしらかわゆう様ありがとうございました)


 それと、予選の話題と言えばもう一つ。

F卓長尾景が「最終局面で逆転を狙わず、意図的に安い手を作って早上がりして他ライバーの逆転のチャンスまで潰した件(ラス確)」については、noteで随分と配信日から話題になっていたので実は視聴前に内容を知っていたのですが、実際に視聴した感想は「そんなにPickUpしたくなるような話題には見えない」でした。

 そもそもラス確自体は点数が計算できない初心者麻雀なら割とあることです。なのでエンジョイ大会でラス確が起こっても、それ自体は特にどうという事もないような話だと思うのです。

 ただそれを今回の長尾景は「面白くなると思って意図的にやった」結果、前回の文野環が意図せずラス確を行って批判された時以上の「エクス奈羅花の逆転のチャンスをつぶしてしまったことに気が回らなかったこと」からのファンの反発を受けたことは、実に浅慮だなぁとは思います。

いずれにしても謝罪配信もしたみたいですし、エンジョイ大会で周囲の配慮不足でスベった程度の話題をあまり広げたり、過去の事案を引き合いに出して必要以上に今回の件を問題視するほどの事もないように、個人的には感じました。

 結果として、かつて「鬼ごっこのようなゲーム『13日の金曜日』コラボで、ベッドの下に潜り込み、対応手段がわからない初心者のコラボ相手を放置して一人でラジオ配信のムーブをした」ことで炎上したデビューしてすぐの頃のグウェル以来の『面白くなくて炎上』を今回長尾景はしたわけですが。

それについてはグゥエルがその後の活躍でリカバリーしたように、長尾景も今後頑張っていただければ良いのではないでしょうか。



 そして、翌日の準決勝と、決勝。こちらは予選よりさらに熱い展開が多かったように思います。

準決勝は半荘、決勝戦は半荘×2と、短期決戦だった予選の東風戦のそれぞれ4倍長期戦だったこともあり、ガンガン攻めたライバーが主導権を握り続けた予選とは打って変わって、丁寧なうち回しと知識がモノを言う場面が出てきたのですが。

そんな環境下でも、予選を豪運で勝ち上がってきた麻雀初心者勢がなんだかんだ見せ場を作ったり、それを上級者勢が上手くいなしたり、と、単純な実力勝負にならなかったところが面白かったように思います。

 そして、この準決勝・決勝で特に輝いたのは、今回大会からの「ルイス・キャミーの丁寧な褒める解説」と、ライバーの取れ高を演出した「役満賞」の存在でした。

 前者はどのライバーにどういう見せ場があるのかという「プラスの情報」を麻雀の知識が不足している視聴者層にも常に提供し続け、「前回大会で舞元啓介不破湊防御の巧みさを褒めたたえたことが今大会の不破湊の麻雀を語る上での個性」として終始取り上げられたように、麻雀における各ライバーのキャラクター性を浮き立たせる要素として、素晴らしく機能していたように思います。

また、後者は後者で三枝明那社築らの「役満賞狙いの為に上がりを意図的に見逃す」という挑戦者的なキャラクター性の見せ場の演出材料として十分に機能していたように思います。

どちらも今大会予選からあった要素ではありましたが、特に機能したのはやはり準決勝と決勝だったと個人的には感じています。

 ただ、やはり麻雀の配信って難しいんだなと感じたのもこの準決勝と決勝の配信でした。 

一つは、チャット欄の指示厨の多さです。

 今回、主にルイスが意図的にライバーの打ち筋ミスを指摘しなかったり、柔らかい表現で状況説明を行う中、チャット欄で解説の無知をなじるコメントなどが見受けられたのは、見ていて少々不快でした。

そんな後方腕組みおじさん達の厄介さが、一試合の長さが伸びてライバーの打ち筋も定石に近くなった準決勝や決勝の場面では、特に目立ったような気がします。

アーカイブ勢は麻雀配信ではチャット欄を見ないのが正解かもしれないな、と今回の視聴ではちょっと考えさせられました。



そしてもう一つは、実況解説の難しさです。

 今回、舞元ルイス2名で配信を進行している場面では、ルイスがライバーの打ち筋を常に褒め、どちらかというと肯定側の立ち位置で喋る都合上、舞元は配信の話題を膨らますためにはそれに対抗した否定側の立ち位置で喋る必要があるのですが、麻雀の場合、下手に否定できるポイントを拾おうとすると、ライバーの下手さを単純にをけなしかねないので、結果、舞元が何もしゃべれずルイスに相槌を打つしかない場面と言うのがちょっとありました。

通常の麻雀配信だと、今回のルイスの位置に「実況係の女流雀士」、舞元の位置に「誰に何言っても怒られなさそうな年配の強いプロ雀士の解説」が配置されている理由が、何となく今回わかったような気がします。

もっとも、この2つ目の問題に関してジョー・力一が解説席に戻って「視聴者目線」で面白がって喋り始めた決勝戦ではあっさり解決しましたので、あまり大した課題ではないような気もします。



 そんな中、今回の『新春!にじさんじ麻雀杯二〇二一』、優勝を飾ったのは渋谷ハジメでした。

 予選N卓、準決勝、決勝とその全てにおいて、きちんとした麻雀の知識と技術、そして手配の作り方とそれにぴったりはまったツモ運の良さと、全ての要素を兼ね備えた申し分のない勝ち方だったように思います。

特に準決勝のラスト、僅か「100点差」での勝ち上がり方はとても泥臭く、それでいて実にドラマティックでした。

 そして、前回よりも巧みな麻雀を打っていた渋谷ハジメの今回の優勝は、Vtuberの麻雀の頂点を語る上で必ず話題にあがるようになった、雀魂でも最高ランク『魂天』を所持するVtuber千羽黒乃の「弟子としての成長」にスポットが当たったこともあり、今後のVtuber界における麻雀配信の反映する方向と話題性を、大きく広げたような印象があります。

実際、今回の麻雀のコンテンツ提供先「雀魂」は、今回の『新春!にじさんじ麻雀杯二〇二一』開催後その登録者数を大きく伸ばしたようで、「雀魂」初心者が入る「銅の間」の参戦人数が一時期は7,000人超えという事態にまでなっていたようです。確かこの人数は、私の記憶が確かならば、通常時の約3倍強ぐらいの参戦人数じゃなかったでしょうか?

また、実力のある麻雀Vtuberの弟子が成長して優勝に至るという今回のストーリーは、視聴者にも「実力のあるVtuberの配信を見て勉強すれば、自分の麻雀も上達するのかもしれない」という期待を抱かせる程度には、よくできた物語となったのではないでしょうか。

 なんにせよ今大会の渋谷ハジメの優勝は、麻雀とVtuberの双方に利益をもたらす、素晴らしい結果だったように思います。


そして。

にじさんじの大人気ライバーさん達が
これまで数百時間、数千時間、麻雀の配信をしてくれて
麻雀の楽しさを広めてくれた
だから僕も麻雀界を代表して
数百時間、数千時間、にじさんじの方達の魅力を広めたい

本配信を並走で見て同時視聴配信をしていた「雀魂」とも馴染みの深い麻雀団体「RMU」所属の看板麻雀プロ多井隆晴氏もこんなツイートをしてらっしゃいましたが、Vtuberと麻雀の双方の普及は今後もいろんな形で足並みをそろえる場面が出てくるのではないかな、と今回の配信を見て改めて私も実感しました。


 アバターでその姿を隠すがゆえに、他人との関係性が必要不可欠で個性を表現しやすいゲームを必要とする昨今のVtuberと、賭博という歴史的な闇の側面を持つがゆえに、普及する広告塔には生臭さを感じさせない鮮やかな存在が必要不可欠な麻雀

この2つの相性の良い結びつきは、少なくともにじさんじにおいては、今後しばらく続いていくのでしょう。

今回はそんなエンターテイメント同士の明るい未来図を見せてくれた大会でした。私も、次回の大会やそして他Vtuberによる麻雀企画についても、一視聴者として楽しみにしたいと思います。


<1/15追記>

 ちょうどこの記事を書き上げた同日に、ヨーテルさんという天鳳位の方がこの『新春!にじさんじ麻雀杯二〇二一』の感想をnoteに書いてらっしゃって、「何でこんなすごい人と同日に同じ題材で記事書いたんだ!」と、私は記事を衝動的に消したくなるような恥ずかしさを覚えたのですが。

(ちなみに天鳳位とは、10年以上の歴史を持つオンライン麻雀ゲーム「天鳳」の最高段位所持者に与えられる称号で、この称号持ってらっしゃる方は4人打ち、3人打ちでそれぞれ十数人しかいないというとんでもない称号です。天鳳位の方の中には有名麻雀プロや、麻雀戦術書を出版してる方も多数いらっしゃいます。そんな雲の上レベルの方と同題材に触れる恐怖と言ったらもう……。)

まあそんな私の羞恥心はさておき、このヨーテルさんnote記事が本当に素晴らしく読みごたえのあるものだったので、ご紹介をさせて頂きたいと思います。

麻雀に対してより真剣に向き合っている人の感想は、やはり当然ながら深いですね。とても勉強になりました。

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