たらい舟のロマン~夢の中の佐渡島
前回の記事で柏崎について書いて、或いは佐渡金山世界文化遺産登録のニュースに触れるうちに、子供時代をいろいろと思い出した。
柏崎の小学生の修学旅行といえば佐渡島だ。柏崎の子供はなぜかここで必ずたらい舟に乗せられる。
そして柏崎と佐渡の繋がりで全国的に有名なのは「佐渡情話」で知られる「藤吉とお弁」の民話だろう。
これがよく知られているあらすじなのだが、別バージョンでは番神堂の僧侶に拾われた後その僧侶に惚れ込んでしまい、今度は板切れに乗って泳いで柏崎へ通い詰めるエピソードも追加されており(参照:柏崎市立図書館「柏崎の水」)パリ五輪のトライアスロン選手も真っ青の神がかった運動能力を発揮している。
幼く純粋だった私はこの民話をサンタさん同様完全に真に受けていたため、「柏崎から佐渡って目視だと遠いけど案外近いんだなあ」と思っていた。
柏崎を訪れた与謝野晶子もこの民話に感銘を受けたようで、
「たらい舟 荒波もこゆ うたがはず 番神堂の灯かげ頼めば」
という歌を残している。お弁の恋情が晶子自身の生とともに痛いほど伝わってくるたいへん情熱的な作品だ。
……ちなみに佐渡-柏崎のたらい舟の横断は実際に成功者がおり、物理的に不可能ではないことが分かっている。
体力と腕力に自信がある皆さんは試してみてはいかがだろうか。