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001_彼女との出会い


大きな仕事やプロジェクトが終わったら、
自分へのご褒美として、
セクキャバ、いちゃキャバに
飲みに行くことがあった。
年に行っても
1回、2回程度。

夏頃、
相当酔っ払った後に
最寄り駅にあるいちゃキャバに行き、
たまたま席についてくれた女の子が
ナンバーワンの子だった。

ドレスの合間を這って、
おっぱいを片手で揉んでも
イヤな顔一つしない。
顔も可愛いし、話も面白い。
そんな時間が楽しかったので、
数日後、今度はその子を指名で
店に行った。

きっと、
あのときは相当酔ってたのか、
スタイルが全然記憶とは違っていて、
隣に座られたときに
少し顔に出してしまった。

彼女もプロだから気づいたのか、
ボクがシラフだったから、
会話は前回ほど弾まず、
ボクはワンセットで
店を出ることにした。
もうこの子を指名することはないなと思い、
その店をあとにした。

それくらい楽しくない時間を
過ごしてしまった不完全燃焼のボクは、
隣の雑居ビルの地下1Fに足を運ぶ。

同じいちゃキャバで、
何度か訪れたことがある店だが、
指名する子はいない。

とにかく入ろう。
さっき話すことがない分、
ビールを飲みすぎて、
だいぶ酔っぱらってはいた。
一杯飲み直して帰ろう。
そんな軽いノリで入店した。

店には客が1人だけ。
入ってすぐの席を案内された。

カウンターには、
暇をもて余してる女の子たちが数名、
手持ち無沙汰にケータイをいじっている。

「あの中の誰かかぁ。まぁ、誰でも大差ないな」

そんな心の声が
言葉に出てきそうな程、
惹かれる女の子はいなかった。


ガチャ


目の前の扉が開き、
やる気のないボーイが出てきて、
その後にもう1人女の子がでてきた。

次の瞬間、
酔いが一気に覚めるほどの衝撃が走った。

「はじめまして、さやか、です。」


これがボクと彼女の
最初の出会いだった。

日が変わる午前0時。

ボクは心の底から、
当たりを引いたと思った。


何を話したか詳細には、
覚えてないが、
前に彼女と出会った日のことを聞くと、
ボクは酔っているのが、
わかる感じで、
楽しそうにいろんなことを
話していたようだ。

記憶にあるのは、
キスがダメな店なのに、
キスをしようとして、
こっそりしてくれたこと。

サービスタイムで
僕の脚の上にのってきた時に、
彼女の下を触ろうとして、
笑顔でダメだよって言われたこと。

けど、
彼女の会話は知性があって楽しく、
顔は間違いなく好みだった。

彼女がいるなら、
この店に、
いや、この店というより、
彼女に会いにこよう。
午前3時、
ボクは勝手に決心していた。

見送られるとき、
彼女と連絡先を交換した。


この時から、
ボクは心を彼女に預けてしまうことになる。


その時は、
そんな未来のことも知らずに、
左手を挙げてタクシーを拾った。