【短編小説】シンデレラの憂鬱
#眠れない夜に
シンデレラは憂鬱だった。彼女は「めでたしめでたし」で終わらないこの世の真実を知っていた。知りたくもなかった真実を。
最近彼女の銀髪と、深いしわは一日が過ぎるごとにひどくなったように感じられる。隠せば隠すほど目立たせろと言わんばかりに目につくそれらは、彼女の心をざわめかせた。
『「世界一」とまで称されたシンデレラの美貌も老いを前に成す術なし』
誰かが誰かに耳打ちする。人々は軽蔑の目で彼女を見る。
全ての人がわたしを笑い者にしている。
あの貴族も、あそこに立っ