2024 第32節 福島ユナイテッド×大宮アルディージャ
狂気か天才か?福島の逆足サイドバック、首位大宮に肉薄!
エル・ロコの奇策。90分の駆け引き。
2023年10月13日、J3リーグ首位の大宮アルディージャと6位の福島ユナイテッドが激突。NACK5スタジアムに1万人以上のファンが詰めかけた。大宮のJ2昇格がかかる重要な一戦。福島の寺田監督が仕掛けた奇策が、試合の焦点となった。
試合開始から数分後。福島の寺田監督は、まるで神がかり的な閃きを得たかのように、奇策を仕掛けた。左右のサイドバックを入れ替えるという、一見狂気じみた采配。逆足のサイドバックたちは、まるで左右逆の鏡に映った自分と戦うかのように、慣れない位置でボールを追いかけた。
試合は打ち合いに。大宮が先制するも、すぐさま福島が追いつく。その後の畳み掛ける決定機。この時間帯が福島にとってのハイライト。
試合は大宮の勝利。しかし、福島の攻撃は、首位チームを脅かすほどの鋭さを見せた。物語はまだ続く。残り6試合、昇格プレーオフをかけたサバイバル。ここからは戦術も大事だが、それ以上に大切なのは、チームが持つ見えない力。普段以上の何かを発揮できるか。それが、すべてを決めるのだろう。
フォーメーションの裏側。
両チームの初期フォーメーションと戦術スタッツ。
大宮の鉄壁。3-4-2-1が生み出す攻守の要塞。
大宮は3-4-2-1フォーメーションを採用。特徴は以下:
強力なプレス:2シャドーがCB、トップがピボーテ、ボランチがIH、WBがSBをマーク
攻撃時の5トップ:WBが高い位置を取り、事実上の5トップを形成。
福島が仕掛けた「逆足サイドバック」の真意。プレスを翻弄せよ。大宮の強みを逆手に取る作戦。
福島は4-3-3でスタート。しかし、試合開始数分で興味深い変更が。左右のサイドバックを入れ替えるという大胆な戦術変更を実施。
左利きの鈴選手を右サイドに、右利きの松長根選手を左サイドに配置。「よりつながりを持てることが意図としてあった(森選手)」とのことだが、この変更の意図はプレス回避だったのではないかと考える。
プレス回避:大宮の強力なプレスを考慮。サイドバックからのビルドアップを狙う。
福島は基本的にサイドバックにボールを出さない。サイドに圧縮されてロストすることを避けるため。
しかし、逆足のサイドバックを置くことで、ワンタッチでトップへ差し込むことが可能となる。
今までは、キーパーやCBからファルソ9の樋口へのボールでチャンスを作り出した。それをサイドバックからやろうとしたのではないかと推測する。
だが完全な成功とは言えず。鈴選手が不慣れな位置でボールをロストする場面も。それでも、強豪相手に臆せず積極的に戦う姿勢は評価できる。
大宮の猛攻。5トップ形成で仕掛ける波状攻撃。
高いプレー強度:ボランチやCBを中心に、全体的に高い強度を維持。
効果的な攻撃パターン:5トップ形成で福島の4バックの裏を突く。
WBの活躍:特に左サイドの泉選手が目立つ活躍。
福島の反撃。首位相手に見せた驚異のxG 2.99。敗戦の中の光明。福島が掴んだ今後への希望。
試合は2-3で大宮の勝利。しかし、xGでは福島が2.99、大宮が2.46。福島の攻撃力の高さを示す数字だ。
福島が敗れた要因として守備の脆弱性、大宮の5トップ攻撃に対して4バックだと構造的に弱い点。また、プレスの連動性やボール奪取には改善の余地がある。
J2昇格へのサバイバル。残り6試合、福島の挑戦は続く。
今更前述の守備の強化は望めないだろう。それならば攻撃力と戦術的冒険心を残り6試合でさらに磨く必要があるのではないだろうか。次節富山戦では、4バック相手という久々の対戦。新たな戦術的アプローチに期待。
寺田監督の大胆な戦術採用。リスクを伴うが、J2昇格を目指す激戦区では必要不可欠かもしれない。
エル・ロコの夢、まだ終わらない。
福島vs大宮の一戦、逆足サイドバックの起用、チームの可能性を広げる重要な一歩。
今後の福島の試合、この経験がどう活かされるか。寺田監督の新たな戦術的冒険に注目。J3リーグ終盤戦、福島の挑戦は続く。狂気か天才か。答えは、ピッチ上で教えてくれるだろう。