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実はややこしい「ウイルス」と「微生物」の違い【2024.5.12更新

もはや小学生にすら知られることとなってしまった「ウイルス」という単語。

ところが「ウイルス」とは一体なんなのか?と聞かれると、実はよくわからないのではないでしょうか。また「ウイルス」と「微生物」の違い、案外わからないのではないでしょうか。

実は「ウイルス」と「微生物」の違いは、「生き物とは何か」というテーマを含んだ、結構ややこしいものなんです。


「微生物」とは

目で見えない大きさの生物です。顕微鏡などを使用して、はじめて見ることができます。

「微小な」+「生物」=「微生物」

ということですね。

「ウイルス」とは

「ウイルス」を説明する際、こちらのサイトのように「微生物」の文脈の中で述べられることが多いです。

それでは、「ウイルスは微生物」、つまり「ウイルスは生物」なの?という話になりますが、これがそうでもありません。「ウイルスは生物なのか」というのは専門家の中でも意見が分かれています。

専門家の間では「生物は細胞からできている」というのが、ある程度一致した意見です。私もあなたも、キリンもゾウも、ミジンコも乳酸菌も「細胞」からできています。

ウイルスは「非細胞性生物」といわれる事があります。遺伝子を持っている、増える、といった生物に似た特徴を持っていることから、このネーミングになっています。

「細胞からできていない、細胞からできたもの」なんて、ものすごく矛盾にみちた名前ではありますが、ある意味でウイルスの特殊性をあらわしているとも言えるかなと思います。

それでは「サイズ」が問題なのか?

一般的には、「ウイルスは細菌より小さい」という表現がなされます。具体例で言えば、乳酸菌が1 μm (1000分の1 mm)くらいの大きさですが、インフルエンザウイルスは0.1 μmほどの大きさです。

とは言え、世の中には何事にも例外があるものです。

「小さな」細菌

現在知られている細菌の中で、比較的小さいものといえば、「マイコプラズマ」ですね。先程の乳酸菌は1 μmでしたが、マイコプラズマは0.2 μm、なんてものも存在します。

インフルエンザウイルスが0.1 μmですから、マイコプラズマはウイルスよりちょっと大きいくらい。サイズ感としてはウイルスに近いんですね。

「大きな」ウイルス

一方、これまで見つかっている中で、大きいサイズのウイルスといえば、いわゆる「巨大ウイルス」というのがあります。

ピソウイルスは、なんと全長2 μm。乳酸菌が1 μmでしたから、その倍のサイズのウイルスということになりますね。

  • 0.1 μm インフルエンザウイルス

  • 0.2 μm マイコプラズマ(小さいもので)

  • 1 μm 乳酸菌

  • 2 μm 巨大ウイルス

こうして並べてみると、どうでしょう。生物の世界って、本当にいろいろな種類が存在するんだなあと実感させられます。「ウイルスは細菌より小さい」というのが一般的には言えますが、それが全てではないのです。

おわりに

世間を騒がせ、すっかり耳馴染みになった「ウイルス」です。「ウイルスって何?」と言われると、実は専門家によって意見の分かれる、実に不思議な存在なのです。

生物の定義についてより詳しい議論は、福岡伸一先生の著書をきっかけにすると、より深い理解が進められるかと思います。ご興味のある方は、ぜひご一読ください。


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