雑記60。異世界への入り口。
異世界への入り口は普段のちょっとしたところにあるんだよね。
彼女はそう語り始めた。
彼女が言うには家と家の狭い隙間とか、土管の置いてある公園にある電話ボックスとか、そんなありふれたところに口を開けているという。
「その先には何があるの?」
と彼女に聞くと意外な言葉が返ってきた。
「ほとんど同じ世界」
「何が違うの?」
「何かちょっとだけ違うの」
「だから何が?」
「例えば母親が変に優しいとか」
「他には?」
「弟が妹になっていたりとか」
「それはかなり違うと思うけど」
「君がその世界にいないとか…」
「…。」
「だから言いたくなかったんだよ……。」
「いなくなってほしくなかったんだ……。」
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