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雑記92。鏡の向こうの世界。

何か吸い込まれる感覚があった。

鏡が少し波打ち、手が中に入った。
さらに力を抜くと体は鏡に吸い込まれた。

こんなところに入り口があるなんて…

ずっと探していた。

鏡の向こうの世界は、いつもの世界と何も変わらない、そう思えた。
少しだけ違和感がある。何だろう。少し冷たい感じ。
鏡の向こうだからと言って、文字が鏡文字なわけでもない。

元の世界に戻ろうと、もう一度、鏡に手を当ててみる。それはただの鏡に戻っていた。当てた手の周りが曇る。そして手を離すと手形が浮かんだ。

直感的にもう戻れないのだなと悟った。
しかし、後悔もなく、焦りもない。

それはそうだ。今までの世界で起きていた事を考えれば当然だ。それくらいに今までの世界は酷かった。特に自分のこれまでの人生は。

新しい世界には少しの希望があるのだろうか?少しワクワクもする。

そう思って、鏡の側を離れた。

続く。


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