ツインタワーの輝きの麓で るみ的ソシオロジー@マレーシア①

マレーシアって、どれくらい発展した国だと思いますか?


正直なところをいうと、私は実際に行くまでマレーシアのことをナメてた。
たぶん、教科書の断片的な歴史解釈に囚われていたから。

わたしの中のマレーシアは「ブミプトラ政策で経済的に優秀だった華僑を抑え込んで、追い出した国、シンガポールを勝手に追い出して、結局置いていかれた国」だった。


そんなふうに歪んだ、ナメたマレーシアのイメージを持ったまま現地に辿り着いてしまったものだから、クアラルンプールの街の何もかもがセンセーショナルで、「マレーシアごめんなさい」という気持ちと「あぁ、これだからこれだから海外旅行ってやめられないよな」という気持ちでいっぱいだった。


クアラルンプール市内には電車が10路線も張り巡らされているし、TBSバスターミナルはバスタ新宿にも負けず劣らずな大型施設。


特にペトロナスツインタワーのあるKLCC駅の周りは本当に強烈で、渋谷と日比谷あたりを足して2で割ったような、洗練されているけれどネオンがギラギラの、よく知った名前のお店がたくさん並ぶ文字通りの繁華街だった。



いよいよクアラルンプールのシンボルともいえるペトロナスツインタワーにご対面。425mの巨塔はとにかく圧巻のひとことに尽きる光景で、わたしを含め観光客はみんな綺麗な写真を撮るのに必死になっていた。


そんなツインタワーのふもとには、変わったレンズを持ったお兄さんたちが何人かいる。


Instagramで #petronastowers と検索すると出てくる、2つのタワーをバックにしてセンターに人が写ったいわゆる「イイ写」は、ほとんどこのお兄さんたちが撮ったものだ。


お兄さんたちは、スマホのカメラに被せられるレンズを片手に、観光客に片っ端から声をかけまくる。


「僕のこのレンズでとびきりカッコイイ写真をとらないかい?」



マレーシアに来てから想像以上の発展した街並みにずっと圧倒されていた。
街を歩けば高層ビルだらけだし、朝起きて「ここは日本だよ」と言われたら信じてしまうだろうな、と思っていた。
だから、このお兄さんたちを見たときに「あぁ、皮肉だな」と思った。



88階建てのギラギラと輝くツインタワーの中では、エリートたちが空調の効いた涼しい部屋でパソコンのキーボードを打ち鳴らしているのだろう。
そしてその麓では、マレーシアの暑い暑い夜にレンズだけを商売道具に駆け回り、お金を稼いでいる人がいる。


キラキラした夜景に、社会の表層だけを魅せられていたんだと思った。


日本の観光地にはそういうお金の稼ぎ方をする人はいない。
すごく発展しているように思えたマレーシアも、富んだ人もいれば必死にその日を生きている人もいるんだろうなと思った。



本当の姿はきっと、たった3日間マレーシアに滞在しただけの私には知りえない。そんな社会の縮図のほんの一部をペトロナスツインタワーの麓で垣間見た気がする。





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