見出し画像

【最高の勘違い】勘違い擬音語が真逆の結果をもたらした

擬音っぽい言葉の多いラオ語

パッパッ
というとどんな動作を思い浮かべますか?
これだけの情報では分かりにくいかもしれませんね。
でも、箒をもちながら「パッパッ」と言われるとどうでしょう?
「掃く」という動詞だとわかります。
パッは掃く。なんとも覚えやすいですね。

フライパンでご飯を返すシーンでも「パッ」は使われます。
「炒める」という動詞も「パッ」
これもなんとなく言われてみると想像できます。

こんな擬音っぽい言葉がラオ語にはいろいろあります。
なので比較的覚えやすい言語で、一度も勉強しないままラオスに来た私は、現地の人のジェスチャーから日々学んでいます。

調理用語でいうと
ソイソイは包丁で(ソイソイっと)カットするだし
タムタムは棒を使って(タムタムっと)叩き潰すだし
なんだか可愛くて愛着のわく言葉の多いラオ語

ミャーとなく猫はメオ
ベェとなくヤギはベェ
グァッとなく牛はグァ
ブーとなく豚はムー

動物もまた鳴き声から来ているようです。

サッサーはどういう意味?

そんなある日の事、紅バナナを作るためカットしてもらうようにスタッフにお願いすると「わかったよ」って返事の後
「サッサーサッサー」
というじゃないですか。

これまでの擬音っぽい言葉と彼の動作から
「さっさとやる」っぽい雰囲気を受け取って、
サッサーは早くやるという意味なんだ!ととらえた私

自分から早くやろう!って言ってくれるなんて!と嬉しくなり
「うんうん。サッサーサッサー」
と繰り返す。

それから暫く私はその場を離れてたのですが、戻ってきてもまだ作業中。
おもったより遅いなぁと思いつつ
「サッサーサッサーね?」と念を押す。
スタッフは
「うんうん。サッサーサッサー」と合点招致!と言わんばかりの笑顔で返事を繰り返す。

その日は思ったよりも作業が進まずに一日を終えた。
まぁでもこんなもんかなぁ。
と思い翌日も続きの作業
「サッサーサッサーね」
「うん。サッサーサッサー」
今日もこの合言葉。
でもやっぱり予定よりも進まない。

まぁ「早い」という抽象的な言葉はその人の感覚によるものだから、日本人の捉える「早い」とラオス人の捉える「早い」のはやさは違っていて当たり前。
なので、かれらが頑張って早くやるってことはこれくらいのスピード感なんだ。と、そのスピード感を下方修正しました。
時間の感覚が違ってて、ゆったりとした時間が流れていてそれはそれで素晴らしいなぁ。って。

それからしばらく、私と彼の合言葉は
サッサー
になったのです。
「サッサーサッサーね。」
「うんサッサーサッサー。」
そう言いながらとっても丁寧に作業してくれる彼らを見て、ゆっくりだけど丁寧で、返ってこれくらいのペースの速さでよかったなぁと思い直していました。
狭いラオスそんなに急いで何処へ行く。

サッサーの正体判明

それからさらにしばらくたった時の事。
バイクで遠くの町まで出かけようとすると、そのスタッフが
「事故らないでね。サッサーね」
と言ってくれたのです。
が、ちょっと矛盾を感じた私は
「サッサー?」
と聞き返しました
「うん、サッサー。」

ん?
気を付けてスピード出していってくるんだよ?ってのは流石におかしいです。普通気を付けてゆっくりね。ですよね?それは流石にラオスでも同じはずです。
で確認。
「時速60kmはサッサー?」
「オー危ない!ダメダメ。」
「時速30kmは?」
「うんうん。サッサーサッサー。それくらいがいいよ」

あれ?なにかがちがう
「30kmがサッサーなら60kmは?」
と尋ねると
「ワイワイ!ワイワイ!」

!?
あれ??
ひょっとしてサッサーがゆっくりで、ワイワイが早くってこと?
と思った私は
手をゆっくり動かして、「これはサッサー?ワイワイ?」と確認すると、やっぱり「サッサー」だという返事。
早く動かしたら「ワイワイ」というところで確信しました。

「サッサー」はゆっくりという意味だったのです!
私は、毎日
今日もゆったりやろうね~
ってラオス人が好む言葉を投げかけてたのです!
彼らはきっと、なんていい仕事環境だ!と思ったことでしょう(笑)
そらぁゆっくり丁寧に、そして楽しそうにやってくれるわ!

さて、そんな勘違いでしたが、私は今はあの勘違いが良かったと思っています。
なにせとっても丁寧に仕事をやってくれるのです。
「日本人の仕事はゆっくり丁寧にやらなきゃ」
という認識がついたのか、それからも丁寧に仕事をやってくれます。
なによりそのペースが心地いのか楽しそうにやってくれているのが一番いいことです。

そんなわけでサッサーがゆっくりとわかった私ですが、結局その後も合言葉は「サッサーサッサー」になりました。
早くすればいいってものでもありません。効率を求めすぎる必要もありません。
なにより自分たちのペースで無理なく楽しくやれる環境が、モノにも伝わっていくのだと思います。
あの時私が「ワイワイ(早くやれ)」なんて話してたら、急いで仕事をしたことのない彼らは、ストレスを感じながら仕事をすることになっていたかもしれません。これでは結局いいものはできてきません。

ホント最高の勘違いでした。
さぁ今日もさっさと仕事を済ませましょう♪

サポート頂いた場合は、食べれる森作りを中心に、南ラオスの自然を大切にする農場スタッフのための何かに還元させてもらいます。