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スリランカ人サンちゃんのカレーのうまさの秘密は香りづけにあった

自らをミスターオーガニックと称する豪快なスリランカ人サンちゃんとあったのは、つい数日前のこと。
さんざん国際的な仕事をこなしてきたこのミスターオーガニックは今は儲けの世界ではなくやりたいことをやるのだという。

それはスリランカと日本との文化の交流だし、通貨がとてつもなく下落してているスリランカ人の受け皿となることらしい。
そして、そのアウトプットの一つにはカレーがある。

そんな話を聞いた私
「果たしてそのカレー、本当においしいの?」
なんてことが頭によぎる。

私もさんざんカレーを食べ歩いてきたし、自分でも作る。それにスリランカカレーはココナッツをよく使うが、それほどハマったためしがない。
油もたくさん使うから、どうも胃腸もすっきりしない。
そんな疑問を抱きつつ、それでも自信満々のさんちゃんと一緒にカレーつくりに入ることにした。
急遽つくることになったので、足りない材料もあるがさっそく買い出し。

材料
レンズ豆、玉ねぎ2玉、パプリカ1個、ナス2本、ニンニク3かけ、ショウガ、唐辛子4本、トマト2個、ココナッツミルク
シードスパイス:マスタードシード、フェヌグリーク、クローブ、シナモン、ブラッククミン、クミン、フェンネル
パウダースパイス:クミン(ロウ+ロースト)、ターメリック
:ごま油、オリーブオイル(ほんとはココナッツオイルらしいけどなかったので)

香り付けの基本

さんちゃんのカレー作りの基本は、油に香りをつけていくことにある。この香りをつける行為は油の温度によって大きく変わるらしい

※最初に断っておくが、この作り方はスリランカカレーをベースにしたさんちゃんオリジナル。もともと科学者で国連の仕事などもしていたことから、科学的にうま味を十二分に引き出す方法を模索して本カレーになったのだという。

だから同じ材料でも温度の管理で何種類もの香りを油につけることができるというのがさんちゃん流。
さらに、例えば、スターターでニンニクと唐辛子、マスタードシード、フェンネルシードを香り付けた場合、それら4つが合わさってもう一つの香りが付くのだという。

温度は高いところから低いところへ

もう一つの大事なポイント。それは温度は高いところから低い所へということ。
低い温度でついた香りは高温になるとその香りを飛ばしてしまうのだという。
さんちゃんはとにかく香りの話を料理中にしつづけた。私がとなりで野菜をカットしている間も、香りが付き始めたタイミングで、
「ほらいま、香ってみて」
といって、フライパンを向けてくる。
香りが付く瞬間が大事なのだそう。確かにふわっといい香りがする。そのタイミングを見て徐々に火を弱めていく。
だから料理の順番は必然ときまってくる。
高温で香りが出る材料から始まり、より香り(と旨味)が低温ででる材料へ移る。

例えば、ナスや唐辛子、ニンニクは180℃で香り(と旨味)がつくしピーマンは120℃、シイタケなどは100℃という具合。
スパイス類もまたそれぞれの段階で投入していく。特にスパイスはそれぞれの段階で違う香りがつくので、同じスパイスも何度も階層を重ねるように油につけていく。
このあたり、材料と温度の相関はまたしっかりと教えてもらいたい。なにせ私が材料を切っている間にどんどん投入して料理が進んでいくものだから、半分くらいしか内容がわかっていない。

料理手順

そんなわけで料理手順は明確には示せないけどベジカレーでも旨味たっぷりの秘密は少しわかった気がする。
一つは先ほどの香り付けの手順、高い所から低い所へ各段階で香りをつけていく。
そしてもう一つは温度の調整でうま味を野菜からしっかり出してあげること。
ということで以下はざっくりとした手順。材料などはもれもあるかもしれないけれど、とりあえずこの手順ならそこそこのカレーにはなると思う。

① オイルベース

まずはフェンネルとマスタードシードと唐辛子

まずはオイルベース。油(ごま油、ココナッツオイル、オリーブオイルのどれか)に唐辛子、マスタードシード、フェヌグリークをいれたら温めていく。唐辛子が少し黒く焦げるくらい、フェヌグリークがこげ茶色になるくらい、マスタードシードがぱちぱちはじけるくらいがそのタイミング(=180℃)。そのままにしておくと焦げてしまうので、すぐに火から離すことが大切。
さらにそこに、ナスを180℃で塩を入れしっかりと炒めていく。これは今までのカレーつくりではしらなかった手順だけど、このナスをつくるだけでカレーに深みができるから超おすすめ(めんどいけど)
油はココナッツオイルとごま油の両方が通常らしいけれど、なければオリーブオイルとごま油でも代用可能

うま味を出すポイント!
うま味はナスだったら皮と身の間にある。パプリカだったらその付け根の緑色のところと種にある。だから皮は向かないし、種も全部使うこと。苦い!と思う場所がある温度でうま味に変わるらしい。

これくらいになるまでナスを炒めた

②玉ねぎベース

炒めたナスは別にしておき、再び油にマスタードシード、フェヌグリーク、唐辛子、ニンニクを入れたら、140℃(たしか)くらいで火にかけていく。今回は焦げるまで温度を上げない。そこに千切りにした玉ねぎを投入。
インドカレーだとみじん切りだけど、千切りでいいらしい。
これを狐色までよく炒めたら、ターメリックパウダー、クミンパウダーなどのスパイスを投入。

(今回使ったパウダーはさんちゃんのオリジナルブレンドで30種類くらいはいっているものだけれども、普通にクミンとコリアンダーとターメリック、市販のガラムマサラでも代用可能。ちなみにさんちゃんのパウダーはさらにロウとローストの二種類があり、実に60種類ものスパイスの組み合わせといえる)

玉ねぎが十分きつね色になったら、パプリカ、トマトもこの段階で炒め合わせていく

③水ベース

炒めた材料を混ぜ合わせ、レンズ豆、ショウガ、残りの玉ねぎ、トマトを投入し、100℃の水でしばらく煮込んでいく。
この際にシイタケやコンブ、鰹節などを入れるとより日本人好みの味になるらしい。ちなみにスリランカにも鰹節に似た材料があってそれをよく使うとのこと

別で120℃でクローブやシナモン、カルダモンをテンパリングし、水ベースへ投入。ココナッツミルクをいれてしばらく煮込んだら完成。

最後は塩で味の調整。隠し味に醤油をいれてもいい。

実食

ターメリックライスとサラダ(さんぼーる)を添えて

いやぁこれがほんとに美味しかった。
ベジカレーとは思えないくらい濃厚。
うま味たっぷり
野菜だけでこれだけのうま味を出し切るのはさすがという感じ。
油もたっぷり使ったけれど、全然胃もたれしない不思議。
唐辛子もめっちゃつかったけれど、辛さもちょうどいいくらい。

スリランカカレーレストランにも行ってみたけれど・・・

そんなカレーを頂いた夕方、さんちゃんは近くにカレー屋があるか聞いてきた。目いっぱいカレーを作って味わった夕方、またカレーなのだという。
まぁまぁいいだろうとちょっと遠くのスリランカ料理のレストランまで足を運ぶ。

ワダとかプティとか豆カレーとか

料理はさんちゃんお任せ。スリランカ人と何やら現地の言葉で話し合ってる。
初めての店なはずなのに、すぐ仲良くなるあたり、同郷というのはいいものだ。
さて、比べてみていかに先ほど作ったカレーが普通のスリランカカレーと違うかということを実感!
深み、うま味、複雑さ、どれも全く違う!
このスリランカカレー、別にまずいということではない。いわゆる想像した通りのスリランカカレー。ちょいココナッツ強めのスリランカカレー。
なんだかぺらっとした印象。

そんなわけで、とっても美味しいさんちゃんカレーの作り方を学んだって話でした。
全部をきちんとするのは大変だけれど、おすすめはナスをじっくり炒めてうま味を追加してみるってことかな?
あと、スリランカではマスタードシードとフェヌグリークを同じくらい入れているのにびっくりでした。
皆さんも是非一度カレーつくり挑戦してみてください。


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