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〈らんたん・そさえて〉代表・あらきさんに聞きました💫

こんにちは、広報のはやさかです🛩️

今週末、8月10日(土)の上映まで本当にもうまもなくということで、上映作品やzineの見どころについて、〈らんたん・そさえて〉代表のあらきさんにあれこれ聞きました!

土曜も暑くなりそうなので外出をためらっている方、ぜひお読みください~

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🌻水木洋子脚本作との出逢い🌻

大学に入学した5月の空きコマに大学図書館で、旧作の邦画や以前から気になってた監督の作品をいろいろ観た。溝口健二の『虞美人草』とか、あと確か黒澤明の『羅生門』とか。成瀬巳喜男が書いて石田民三が監督した『化粧雪』を観て好きだったので、『流れる』のDVDを観たら完全に成瀬巳喜男に目覚めてしまった。その流れで観た『浮雲』がおそらく初めての水木洋子作品で、とにかく圧倒された。言ってみれば究極的にだらしがないハナシのはずなのに、映画にはどこか品格と覚悟が漂っているから。
そのあと『驟雨』を観たら、わりと辛気臭い表情の佐野周二と愛嬌を振りまかない原節子が主役で、金勘定の話はやたら出てくるしテンションが大幅にあがるような見せ場もないのに面白くて、水木洋子を気にするようになった。
決定的に好きになったのは『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』。
脚本の勉強をしていた(している)ので、その面でも水木洋子はわたしの心の師匠。

🌻上映企画「今ひとたびの水木洋子  情念と交差する、社会への眼差し」🌻

『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』『夜間中学』のセレクトについて▼

上映作品を選ぶときに考える現実的なポイントを除いて言うと、どちらも心からおすすめできて、尺が長すぎず、上映機会の少ない作品をチョイスした。

『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』はお年寄りを珍しがらずフラットに描きながら笑いをつくってるところや、サトとくみのそれぞれ好き勝手しながら仲良くほっつき歩く関係性が好き。十朱幸代演じる女の子が自分のおばあちゃんと重ねる思いもすごく分かる。

映画『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』より

『夜間中学』はいろいろな偶然が重なって上映できることになったんだけど、やっぱりまっすぐさと抒情性が美しい。終盤の鮮太の手紙に出てくる美しいフレーズをしおりにしたいくらい、水木洋子(そして瀬田貞二)のせりふがいい。

(C)KADOKAWA/本多猪四郎監督『夜間中学』より

この2本に共通するある種のまっすぐさはいまの世の中に必要だと思い、それが最終的な決め手となった。すぐに裏をかいたりはぐらかしたり相手を小馬鹿にするコミュニケーションではなくて、お互いを慮ってお互いを補い合うコミュニケーションをしていくこと。“自立”が難しくても自分自身がそこに立つ覚悟をもって1人の人間として生きること。笑いや爽やかさのなかにそんなものが見つけてもらえたらちょっと嬉しいなと思っている。

🌻映画系zine『りんどう』第1号 特集「まるごと水木洋子」🌻

『りんどう』というタイトルについて▼

由来を大きく分けると2つあって、1つはお花のりんどう。太陽にまっすぐ向かって咲くのと色がかわいいから。1つは水木洋子が1942年に書いたラジオシナリオ『林道』。あと音もかわいいし。
最初は映画関連のワードにこだわって考えようとしたけど、「アララギ」みたいに短歌や俳句の同人誌はもっと自由じゃん?という反抗心がでてきたのでその縛りはやめた。思えば映画はフレームの外側にあるものに目を向ける行為なので、映画の枠にこだわる必要はなかった。こじつけみたいですが。笑 

ちなみにらんたん・そさえての名前は戦前あった出版社「ぐろりあ・そさえて」とmagic lantern(幻燈機)からいただきました。

水木洋子の映画全作紹介について▼

31作品。リメイクは今井正による2作品のみ入れた。テレビから映画へ翻案された作品もたくさんあり、どこからどこまでを「全作」とすべきか迷ったけれど、今回は「水木洋子が手がけた」という点を重視。

zine『りんどう』第1号 特集「まるごと水木洋子」

🌻会場のアテネ・フランセ文化センターについて、それから皆さまへメッセージ🌻

第一に憧れです。
アテネ・フランセ文化センターさんは非常に貴重な作品の上映や上映企画が沢山開催されてきた由緒正しき映画館で、日本の映画文化を支えるひとつの要所。映画を好きな皆さんも研究者の皆さんもここで多くの映画と出会ってきたと思うし、わたしもその1人です。そんな場所で自分の立ち上げた企画をアテネさんとの共催というかたちで実現できるなんて今でも信じがたく、ありがたく、気恥ずかしいような感じを抱いています。
あと、アテネに一度も来たことがない人が何かのきっかけで今回の上映に来てくれたら、アテネで開催されるまた別の上映の情報がその人のアンテナに引っかかりやすくなるかも…なんて気持ちもあります。アテネさんへのおせっかいのつもりはなくて、どちらかといえば人類知が深まることへの期待?
とにかくアテネさんのブランドを毀損しないようにアテネさんに恩返ししたいところです。

皆さんにとってのらんたん・そさえてが、いろんな映画と“軽率に出くわせる”場になれますように!

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はじめから意図していたわけではないそうなのですが、“ガール・ミーツ・ガール”と“ボーイ・ミーツ・ボーイ”な2本立てでの上映です。
(結果として、あらきさんの個人的な好みとしても◎とのこと!)

そして、上映後には、当日会場にて販売するzine『りんどう』に論考も寄せていただいた鷲谷花さんによるトークがございます。

ぜひこの機会に🏖️(はやさか )

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*上映企画*『今ひとたびの水木洋子 情念と交差する、社会への眼差し』
2024年8月10日(土) 13:00開場/13:30上映開始

場所:アテネフランセ文化センター(東京都・千代田区)


【上映作品】
『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』1962(昭和37)年

東京は浅草、1964年の東京五輪前夜。
レコード屋の軒先で意気投合した72歳のくみ(北林谷栄)と65歳のサト(ミヤコ蝶々)は街を彷徨いながらウィンドウショッピングや若者たちとの交流を楽しむが、実はふたりとも生きることに疲れ果てていて…。
笑いのなかに老後の幸せを問う鋭い水木洋子の視点が光る、傑作社会派喜劇。老け役の名手・北林谷栄と浪花随一のコメディエンヌことミヤコ蝶々をはじめ、豪華キャストによる競演も見どころ。

『夜間中学』1956(昭和31)年
夜間中学に通う少年・鮮太(吉岡興成)は昼間同じ机を使う少年・良平(安藤武志)から置き手紙を受け取る。手紙のやりとりを重ねるうちに鮮太と良平の間に友情がうまれ、周囲の大人たちはふたりの心の通い合いを温かく見守る。異なる境遇に育つ少年たちが互いに対するわだかまりや偏見を乗り越え成長する姿を、爽やかに描き出した名作。原作は『ナルニア国ものがたり』などの翻訳でも知られ、自身も優れた児童文学者である瀬田貞二。
日本大学芸術学部の実習作品として企画・製作された作品で、木暮実千代、小林桂樹、宇野重吉を筆頭に、日本大学芸術学部出身の出演者が勢揃いした。

【タイムテーブル】
13:00 開場

13:25 ご挨拶
13:30 『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』(94分)

〈休憩〉
15:15 『夜間中学』(44分)
+トーク:鷲谷花さん(映画研究者)
★zine販売時間:開場時~トーク終了30分後

【会場】
アテネ・フランセ文化センター
(東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4階)

【料金】
一律1800円(当日券のみ)

●二本立て、入れ替えなし
●途中入場不可
●上映30分前(開場時)よりチケット販売開始
●映像、音声が良好でない可能性がございます。何卒ご了承ください。

🕊️映画系zine「りんどう」🕊️
第1号「まるごと水木洋子」

💐会場価格1200円で、お求めやすくなっております。どうぞお見逃しなく!💐

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