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「あなたは本当に日本人ですか?」と問われる日常


はじめに

はじめまして。

私は現在、夫のマレーシア赴任に伴い帯同家族として当地で暮らす日本人。

筆者を簡単に自己紹介すると、日本生まれ日本育ちの30代女性。
父親はインド人、母親は日本人のアジア系ミックスルーツを持つ日本人。

私の結婚相手(夫)は、日本人。(特にミックスルーツ等ではない)
※この後の話に夫も登場するため言及しておく

だいぶ前から自分の想いを言語化してみたいと思っていたものの、なかなかきっかけが無く。

書きたいと思う瞬間があり熱が冷めないうちに想いのままに綴ってみようかなと思う。

noteを書くきっかけ

ミックスルーツ、日本でいわゆるハーフと呼ばれる方の発信は近年すごく増えてきたと思う。

日本人のミックスルーツの方の記事や発信には共感できることも多く、読むだけで救われることもある

ただノートや各SNSでは特に「白人系ルーツ/欧米系ルーツ」の方の発信が台頭しているように感じる。

私の情報の掴み方が足りてないのかアジア系のミックスルーツの方の発信はなかなか目にできる機会が少ない気がして。

もちろん人口比率もあるし、アジアといってもたくさんの国があるから一括りにできる話じゃないけど。

自分の経験や人生を言語化することは、自分にしかできないことのひとつだし、

同じような境遇の方を含め悩んでいる誰かの目にとまってくれると良いな。

わたしも昔、誰かが書いたこういう文章を読んで救われたこともあった。

「この気持ち、この経験、自分だけじゃないんだ」と思える

例えば、国際恋愛や国際結婚でミックスルーツの子を育てている・未来に育てるかもしれない方にも。

実生活でミックスルーツに関りがなくても「こんな日本人もいるんだ」という話として見てもらえたらいいなとも思う。

生まれから30年以上ミックスルーツとして生きてきて
楽しいことも辛いことも、いろんな経験をしてきた。
書きたいことは山ほどあるけど、少しずつ整理しながら。

多民族国家マレーシア

現在私は夫とふたりマレーシアの首都、クアラルンプールに住んでいる。

マレーシアと言えば、

『マレー系・中華系・インド系の3民族を筆頭に様々な民族が共存する多民族国家である』

こんなうたい文句とともに、日本人の移住したい国No.1とも言われているらしい。

移住前に思っていたことは

【わたし、日本にいるより目立たなくなるのではないか?(外見)】

という期待だった。

日本では、街で顔をじろじろ見られるのが当たり前な生活を送ってきた。

他民族が共存しているのなら、当然様々な顔をした人種の方々が暮らしているはずだし

クアラルンプールは国際都市だから外国人も多いはずだし

やっとフリーダムな生活が待っているのかも、そう思ってた。

ところがどっこい、待ち受けていたのは真逆の景色だった

パスポート提示もなお聞かずにはいられない

私たちがマレーシアへ入国したのはコロナ渦で、入国後まだ隔離生活が必要だった

私は夫とともに入国の手続きを受けた後、2週間隔離ホテルに滞在

隔離から明けるための手続きを夫婦でしていたとき、周囲からの目線に気が付いた

とても何か言いたげに、数名のマレー系女性たちが私と夫を見ている

「Are you really Japanese?」
「Are you really from Japan?」

この質問はこのあとのマレーシア生活で、幾度となく繰り返されることとなる。

打ち砕かれた期待

たしかに私の経験上、日本でも外国でも見た目で日本人だと思われることはほぼない。

でも、手続きの場面では夫婦で日本のパスポートを提示しているし、名前も日本人である

それを確認している当の担当者でさえ

「Are you really Japanese?」

と聞きたくなってしまったのだろう。

気になっていた人が他にも数人いたようで、

私が(これまでの人生で何百回もしてきた同じ内容の)説明をした後にも

その内容が何人かで耳打ち共有されているのがわかった。

私はこのとき、前述の期待が打ち砕かれる予感を既に感じた。

日本人顔のステレオタイプ

当地マレーシアにおいて、私が感じている違和感はいくつもあるけど

やっぱり「日本人顔のステレオタイプ」のイメージが根強いんだな、と感じる。

もちろんこれはマレーシアに限った話ではないし、

他の国に旅行や短期滞在した際に幾度となく経験してきた。
(その話も追々また別で書きたいと思ってる)

諸外国においてもそれは仕方がない事だと思う。

日本人と言えば肌の白い、いわゆる日本人的な顔を想像するのだろう

まさか、こんな顔の日本人がいるなんてと予想もできないということか。

異人種カップル?

それからもうひとつ。この質問を受ける時は決まって大抵夫と一緒のときである

そもそも入国や役所関連の手続きをするときは夫と一緒の事が多いのもあるけど

恐らく夫は、マレーシア人が期待するステレオタイプな日本人顔なのだと思う。

ステレオタイプな日本人顔の男性と、まったくステレオタイプな日本人顔でない女性

どうやら異人種同士のカップルに見られているようである

だからこの疑問が湧くのだろうか

「Are you really Japanese?」

例にもれず手続き関連の場面では、日本のパスポートを提示しているにもかかわらず

多民族国家共存の実態

これは私の予習不足もありマレーシアで驚いたことのひとつでもあった

主に3つの人種の人々が暮らしているためもちろん様々な顔の方々が街を歩いている

しかし、ほぼ同じ民族同士のカップルや家族ばかりしか見かけないのである

※個人の肌感覚として

もっと人種間のカップルや家族がそこらにいるのかと思っていた私には衝撃的だった

全員がそうである、ということではないが主な傾向として

  • マレー系:イスラム教徒

  • 中華系:仏教徒またはキリスト教徒

  • インド系:ヒンズー教徒

それぞれのルーツを持つ人々は長い歴史の中で先祖代々の宗教を信仰していることが多い

居住区域や食事をする場所さえも別々のエリアで住みわけられていることも多い。

マレーシアの歴史上大きなキーワードと言える「ブミプトラ政策」による人種間の分裂もあるのかもしれない

多民族国家の結婚観

基本的には同宗教間、同民族間で交際相手や結婚相手を探すらしい

マレー系ならマレー系と、中華系なら中華系と、という具合に

父の祖国インドでも共通する部分があるのを知っているから、納得は容易なのだけど(この話も別で書きたい)

そのあたりも勉強不足なので、まだ少ししかマレーシアで暮らしていない私が一概に語れるような簡単な話ではない

もちろんマレーシアでも異教徒間・異民族間の結婚やカップルがゼロというわけではない

(一部歴史上プラナカンやババ・ニョニャと呼ばれるマレー系×中華系のルーツを持つ方々もいたり)

ただ、現状では異教徒間での結婚には大きな壁が立ちはだかる

双方の家族の理解、宗教の改宗、食文化の違い、衣服の違い、言葉の違い

同じに国に住む「マレーシア人」同士なのにこんなにも壁が大きいのだ

同じ大学でともに学んでいたり、職場で隣同士で座っていたりするのに。

その感覚は日本人にはないものだから、私にとっては大変興味深いことでもある

隣人と簡単に恋に落ちたりはできない。固く守るべき宗教上の交際ルールだって各々存在する。

平凡な日本人夫婦

そんな背景もあるからなのか、それとも関係ないのかは

実際に私たち夫婦に何度見もの目線を送る人々にしかわからないし、真相は謎だが

恐らく【異人種または異教徒同士のカップル・夫婦】のような好奇の目でみられている可能性もある

夫婦で歩いていると「何度も夫と私の顔を繰り返し比べ眺めてくる人」の多さ

よほど顔の種類が違うもの同士の組み合わせが物珍しいのか

これが「多民族国家」の地で実際に私たちが経験していること

私たち夫婦は何の変哲もない平凡な日本人夫婦・カップルである

私の顔が、マレーシアの人々がイメージするであろう
「ステレオタイプな日本人顔」でないことを除いて。

さいごに

最後まで読んで下さりありがとうございます。

思いつくままつらつら書いているのであまりまとまってはいないけれど

今後もミックスルーツとしての経験をはじめ、マレーシアで感じていることや、日本、インド、その他の国で私が体験してきたことや思うことなど

色々な思いをその時の言葉で綴っていけたらなと思う。

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