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Communicative Language Teaching(CLT)

 コミュニケーション能力を上げるにはコミュニケーション活動が必要です。現代の英語教育で注目を集めているのが、Communicative Language Teaching (CLT)というアプローチです。このCLTでは、基本的な原理を設定しながらも、どのような教授法であるかは、具体的に示されていません。原理にしたがっていれば教師の創意工夫により、より効果的な指導ができるというものです。しかしながら、このCLTは、名前だけを知っていても意味がありません。コミュニケーション活動を行っていればなんでもCLTというわけではありません。コミュニケーション能力の記事でも書いたようにコミュニケーション活動もコミュニケーション能力も、定義されていないことが大きな問題です。そこで、この記事では、CLTについて書いてみます。

 CLTの特徴についてBrown (2007)は7つの定義を挙げていますがその中でも特に大切な4つを和訳してみました。

①授業の目標が文法や語法のみに設定されず、コミュニケーション能力(grammatical discourse, sociolinguistic, strategic)の要素すべての向上に設定されている。
②言語技能が意味のある目的のために使われる場面を想定して、実用的に、実際に使うことができるように設定されていること。言語の形式を学ぶことが中心ではなく、使用の目的を支えるために学ぶように設定されていること。
③流暢さと正確さはコミュニケーションを行うための補足的なものであり、より言語の使用ができるように、正確さよりも流暢さがより重要とされている。
④授業では、生徒が言語を使用して、表現したり、理解したりすることができるようにしなければならない。

 日本語訳が上手ではありませんね。ただ、どこかで見たことのある表現が多いことに気づいたと思います。そう、中学や高校の外国語科の学習指導要領の目標です。学習指導要領は上手にまとめられていますね。

 また、コミュニケーション能力とCLTの研究を紹介します。

Savignon(1972)は、アメリカの大学のフランス語コースで48人の大学生を対象にCLTの研究を行いました。学生は、コミュニケーショングループ、文化グループ、コントロールグループの3つのグループに分けられました。すべての学生は、週に約4時間ALMを通してフランス語を学ぶクラスがありました。さらに、各クラスには週に1時間の追加で授業がありました。コミュニケーショングループの学生は、フランス語で有意義なコミュニケーションをとることを奨励するコミュニケーションクラスを行いました。カルチャーグループは、フランス語と英語での文化に対する意識を高めることを目的とした1時間の活動を行いました。コントロールグループには、語学教室で通常のクラスと同様のALMと文法練習がありました。 18週間の学習コースの終了時に、コミュニケーショングループはコミュニケーションテストで他のグループよりも高いスコアを達成しました。さらに、各グループの文法の正確さには有意差はありませんでした。この研究は、言語学習者がコミュニケーション能力向上のためにコミュニケーション活動が不可欠であるという証拠を提供しました(p。158-159)。

 コミュニケーション能力を高めたければ、コミュニケーション活動をさせると良いという研究です。当たり前と言えば、当たり前ですが、学校の英語の授業がそうなっていないのが、事実です。学習者は古典的な方法で外国語を習得することはできません。学習者は実際のコミュニケーション活動を必要としています。

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