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応募書類の前にジョブ・カードの作成をおすすめする理由。

 ジョブ・カードは、応募書類のひとつとして使える求人もありますが、数は少ないです。しかし、ジョブ・カードを作るのは無駄な作業かと言えば、そんなことはありません。❝急がば回れ❞ということです。
 履歴書や職務経歴書などの応募書類を作成する前に、まずはジョブ・カードを作成することをお勧めしています。

 ジョブ・カードは、平成20年に「個人のキャリア形成や、さまざまな人材の円滑な就職活動に役立つように」と厚生労働省によって作られました。
現在では人生100年時代のキャリアを考える道具(ツール)として、「生涯を通じたキャリア・プランニング」(キャリアを計画化し、現在時点での自分の目標を明らかにして語ることができるようにする)と、「職業能力の証明」(自分の職業能力を文章で表現することにより整理する)ことを目的に、ジョブ・カードが使われています。

 これは面接の準備につながります。応募先の企業の面接官は、履歴書や職務経歴書を見て、面接の質問をしてきます。ジョブ・カードを作って、自分で語る内容まで整理してから履歴書や職務経歴書を作成すると、面接の質問に答える準備もできているわけです。ジョブ・カードにはあらかじめ「生涯を通じたキャリア・プランニングと、何を学び、何を身に着けてきたかという職業能力」、これが文章で、自分の言葉で整理されているから、準備万端!ということになります。

 さらに、このジョブ・カードを自分なりに記入もしくは入力したうえで、のキャリアコンサルティング(相談支援)を受けることもできます。自分一人で考えるのではなく第三者の視点も参考にすることができるわけです。支援をするキャリアコンサルタントは、キャリアの専門家です。守秘義務がありますので、友人知人に言いにくいことなども、ご相談いただけます。
また、キャリアコンサルティングを通じて、ご自分の求職活動や今後の職業能力開発などに役立てることもできます。

 ジョブ・カードを、国はこのような位置づけをして、パンフレットやネットを使ってアピールしているのですが、なかなか周知はされていません。一方、民間の就職支援や再就職支援会社などでは、独自のキャリアシートを準備して進路指導に当たってもいます。支援援助の視点が、窓口のお仕事紹介、応募書類(履歴者や職務経歴書)の作成支援が中心になるためだと感じます。

 ジョブ・カードは、応募書類作成に役立ちますが、その役割は似て非なるものと考えます。
 ジョブ・カードは、将来にわたるキャリアプランを考えるものだと思います。自分が、どのような人生をおくり、どのような仕事をしていこうとしているのか、生き方にかかわることです。長い人生、一度足を止めてジョブ・カードを使って、考えてみましょう。キャリアプランは、❝今現在❞のキャリアプランであり、形式的・固定的なものではなく、環境や条件により変化する可変性ある柔軟な発想が求められるものだと思います。厚生労働省の『マイジョブ・カード』サイトでも、ジョブ・カードを作成するだけでなく、更新しやすいサービスが提供されています。
 そして将来にむかって自分の職業能力を整理し、新たに必要な能力を考えて把握することが大切です。これが、リスキルリングやリカレント教育などと呼ばれるものにもつながるわけです。

 将来を考える機会となると、転職、退職、求職と重なることが多いわけです。
転職、退職、求職の際には、その結果を出すという眼前の課題がありますが、その課題解決のためには応募書類が必要ということです。
応募書類は、応募先に自分のことを伝える道具で、応募先にたいする自分のプレゼンテーションをするものだと考えます。私のセミナーでは、応募先の人が「この人に会って話を聞いてみたい。」と思ってもらう書類、と説明しています。そのための送付状や送付用封筒も含めた応募関連書類一式の作成指導が、応募書類指導になると思います。一般的様式などのルールをまもりつつ、応募先に合わせることも必要で、また自分らしさも必要になるわけです。
手書きかデータ作成かの選択や、和暦表示か西暦表示の選択などはその典型かと思います。比較的様式が自由な職務経歴書のレイアウトのセンスや、作品集を付けるのか、写真を付けるのか、等々、さまざまな方法を知っていると、自分の最適解を見つけやすくなります。
 特に、民間の就職支援や再就職支援会社は、就職の結果が強く求められる場合には、どうしても応募書類の作成支援とその件数に目が行くように思います。

 今回は、特に応募書類に注目してお伝えしました。ジョブ・カードは、職業訓練を受ける時に必要になるだけでなく、さまざまな活用方法があります。ジョブ・カードをつかって、これまでのこと(自分がしてきたこと)を振り返り、これからのこと(自分ができること、自分がしたいこと)を考えてみてはいかがでしょうか。

以上


≪参考≫
ジョブ・カードがつくれる・わかるマイジョブ・カード(厚生労働省)
https://www.job-card.mhlw.go.jp/
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「リスキリング、リカレント教育、生涯教育の違い。」


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