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ITの資格について調べてみました。第4回

引き続き情報提供です。

 ITスキル標準V3 2011(以下、IТSS)では、IT技術者を「SE」、「プログラマー」といった名称ではなく、ビジネスの実状に沿うように職種や専門分野を分類定義し、それぞれに対して個人のスキルを評価する尺度を多面的に提供しています。

 IТSSのキャリアフレームワークとして横軸に職種と専門分野、縦軸に能力レベルの深さを表現しています。横軸は、職種を以下の11に分類しています。

1,マーケティング
2,セールス
3,コンサルタント
4,ITアーキテクト
5,プロジェクトマネジメント
6,ITスペシャリスト
7,アプリケーションスペシャリスト
8,ソフトウェアデベロップメント
9,カスタマサービス
10,ITサービスマネジメント
11,エデュケーション

 そしてこの職種ごとに専門分野を設けています。

 縦軸は、IT技術者個人の能力や実績に基づいて7段階のレベルがあります。レベルは、当該職種/専門分野においてプロフェッショナルとして価値を創出するために必要なスキルの度合いを表現し、職種や専門分野を横断的にとらえています。そしてキャリアパスを明確にするためにも以下の7つのレベルで整理しています。

◆レベル7 (世界のハイレベルプレーヤー)
 プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、社内外において、テクノロジーやメソドロジ、ビジネスを創造し、リードするレベル。市場全体から見ても、先進的なサービスの開拓や市場化をリードした経験と実績を有しており、世界で通用するプレーヤとして認められます。

◆レベル6 (日本市場のハイレベルプレーヤー)
 プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、社内外において、テクノロジーやメソドロジ、ビジネスを創造し、リードするレベル。社内だけでなく市場においても、プロフェッショナルとして経験と実績を有しており、国内のハイエンドプレーヤとして認められます。

◆レベル5 (企業内ハイレベルプレーヤー)
  プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、社内においてテクノロジーやメソドロジー、ビジネスを創造し、リードするレベル。社内において、プロフェッショナルとして自他共に経験と実績を有しており、企業内のハイエンドプレーヤとして認められます。

◆レベル4 (後進育成に貢献するハイレベルプレーヤー)
  プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、自らのスキルを活用することによって、独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベル。社内において、プロフェッショナルとして求められる経験の知識化とその応用(後進育成)に貢献しており、ハイレベルのプレーヤとして認められます。スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められます。

◆レベル3 (要求された作業をすべて独力で遂行)
 要求された作業を全て独力で遂行します。スキルの専門分野確立を目指し、プロフェッショナルとなるために必要な応用的知識・技能を有します。スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められます。

◆レベル2 (指揮の下に要求された作業を担当)
 上位者の指導の下に、要求された作業を担当します。プロフェッショナルとなるために必要な基本的知識・技能を有する。スキル開発においては、自らのキャリアパス実現に向けて積極的なスキルの研鑽が求められます。

◆レベル1 (最低限必要な基礎知識を有する)
 情報技術に携わる者に最低限必要な基礎知識を有します。スキル開発においては、自らのキャリアパス実現に向けて積極的なスキルの研鑽が求められます。

 下記の全体図を見ると、職種と専門分野によっては、プロフェッショナルとして価値を創出するにはいたらない下位レベルは空白となっているものがあり、また、価値を創出するために必要なスキルの上限以上の上位レベルが空白となっているものがあります。IТSSで表現しているのは、あくまでも、プロフェッショナルとして価値を創出するために必要なスキルの度合いです。それぞれの職種/専門分野におけるサービスの価値の大小や組織内での職責のレベルを表現しているものでは無いそうです。

全体図
全体図


 IТSSで表しているのは、あくまでも、プロフェッショナルとしての実務能力のレべルです。職種と専門分野が異なってもレベルが同じであれば、活動領域や成果物の違いはあれ、実務能力のレベルとしては同等です。なお、ITSS V3よりレベル1、2については、職種、専門分野を共通化し、達成度指標、スキル熟達度等の指標を統一されました。このレベルの人材については、経験や実績をもって人材の評価を行うよりも、視野を広げる意味でまんべんなく幅広い知識の修得を促進する観点で、保有すべき知識、スキルを定義します。日常の業務遂行をしながら、基本的な知識、スキルを身につけた上で、専門別のスキルを習得することが重要です。スキル開発においても、自らのスキルの研鑽を止めることなく、また、下位レベルの育成に積極的に貢献することが求められます。

 ITスキル標準(ITSS)を元にした資格の対応表として「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップer11r3 (2021年7月1日現在)」という対応表が特定非営利活動法人 スキル標準ユーザー協会(http://www.ssug.jp/docs/)から公開されています。メールアドレスを登録するなどして取得することができます。「情報処理技術者」試験については、職種、難易度ごとに体系化されていますが、数多い民間資格・ベンダー資格もこの体系にあてはめ、資格の価値を全体的に判断する目的でまとめていますが、私にとってあまりにも専門的で詳しく述べることはできかねます。

 次回、分かる範囲で資格を取り上げて「IТ資格を調べてみました。」の記事を終了とさせていただきます。

出典:独立行政法人情報処理推進機構(https://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/)
特定非営利活動法人 スキル標準ユーザー協会(http://www.ssug.jp/docs/

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